あそこで使われている、あのフォント。についてまとめてみました

Sakamoto Kyon
5 min readDec 22, 2016

今回は、デザイナーであればついつい食い付いてしまう「フォントの話」についてです。ウェブサイトや公共交通機関など、日常的に目にするところでどんなフォントが使われているのか、改めてまとめてみました。

Apple

Appleのウェブサイトで使われている有名な組み合わせと言えば、「AXIS」と「Myriad」です。
他の日本語フォントと比較すると分かりますが、「AXIS」は直線フォルムで先進的な印象を与えるため、Appleのブランドイメージと良く合っています。
そのAXISに、Frutigerよりもやや有機的で愛嬌のある「Myriad」を組み合わせることで、冷たすぎる印象になるのを和らげていると思います。

Apple公式サイトのCSSを見ると、「Apple TP」というフォントが指定されていますが、これはAXISとMyriadのオリジナル合成フォントパッケージのようです。
ただ合成フォントにしただけでなく、フォントの大きさやウェイトを微調整していると思われます。

(上)Apple TP (下)AXIS+Myriad ただ組み合わせただけの下と比べると、Apple TPが微調整されていることが分かります。

鉄道

JRをはじめ、首都圏の鉄道ではモリサワの「新ゴ」の使用率が高いです。ゴシック体の中でも「ふところ」(画と画が構成している内側のこと)が大きく視認しやすいため、採用されているのでしょう。
また、写植時代に鉄道でも良く使われていたフォント「ゴナ」にかなり近い形をしているから、という理由もありそうです。

ふところが大きくどっしりした新ゴには「Helvetica」がとても合う反面、やや「大振り」な印象になってしまうという欠点があります。
東京メトロでは、アルファベットと数字にHelveticaよりややスマートなフォントを使うことで、全体的に少しだけ繊細な雰囲気を出せているのでは、と思います。

東京メトロは、同じ欧文でも駅名と路線番号でフォントを変えています。

高速道路

出典:https://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2010data/1103/1103hyoushiki-henkou.pdf

高速道路の標識は、「ヒラギノ」「Vialog(ビアログ)」「Frutiger」で構成されています。
VialogはFrutigerほど有名なフォントではありませんが、セリフ体特有の「認識のしづらさ」に配慮したデザインが特徴です。

誤認しやすい「I(大文字アイ)」「l(小文字エル)」と、「i(小文字アイ)」「j(小文字ジェイ)」は、セリフを付けて判別しやすくしています。
高速走行や遠方から見たときに誤認しないよう、こういったフォントを採用したと思われます。

NEXCOがフォントを検証したときのまとめは、PDFになってウェブ上で公開されています。なかなか興味深いまとめなので、ぜひダウンロードしてみてください。

2016 ヒット映画

出典:http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/23/youname-godzilla_n_12164140.html

今年の大ヒット作「君の名は。」に使われているのは、モリサワの「A1明朝」。
ゆったりしたカーブや写植特有の墨溜まりを再現しているのが特徴で、柔らかな印象と自然な温かみを感じさせてくれます。
意外と可読性も高く、弊社サービスiQONで明朝を使う場合は、このA1明朝を利用することが圧倒的に多いです。

もうひとつのヒット作、「シン・ゴジラ」。使われているのは「エヴァフォント」としても有名なフォントワークスの「マティスEB」です。
エヴァンゲリオンのイメージが先行しておりアクが強い印象ですが、ベーシックな中に程良い柔らかさとシャープさがある、実はとても使いやすいフォント。
漢字と仮名のバランスが良く、文字組みしやすい点もおすすめです。

以上、「あそこで使われている、あのフォント」についてでした。

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Sakamoto Kyon

直近はリモートでベンチャーのデザインパートナーをやってます。得意ジャンルは女性向け💃 ファッション👗 社会課題を解決するサービスにも取り組み中です。ざっくりポートフォリオ → https://bit.ly/3UAgBuZ