定番パターンだけじゃない!サービスに最適化されたUser Onboarding

Sakamoto Kyon
7 min readOct 7, 2016

アプリにおけるUser Onboardingでは、ウォークスルーとチュートリアルを用意することが、最早定番になりました。

まずはウォークスルーでユーザーに「価値訴求」を行い、次にチュートリアルで「使い方」を体験してもらうことで、アプリへの導入をよりスムーズにすることが可能です。

User Onboardingの定番パターン

ウォークスルーの定番といえば、3〜5枚の画像を使ってサービスの価値をスライド形式で紹介するパターンです。

サービス価値の重要ポイントを分かりやすく伝えられる、とても良いUIだと思います。

(左)Dropbox Paper、(右)Inbox

一方、チュートリアルの定番といえば「コーチマーク」です。

実際の画面にオーバーレイさせて、ユーザーに一番使って欲しいUIの解説ができるので、こちらも先ほどのウォークスルー同様、とても良いUIだと思います。

(左)トクバイ、(右)Pinkoi

User Onboardingは、定番のパターンだけじゃない

どんなアプリでも、この定番のウォークスルーとチュートリアルを入れておけば良いのでしょうか?実際のところ、その考えはあまり適切ではないかもしれません。

ウォークスルーとチュートリアルで、ユーザーにしっかりと価値訴求・価値体験をしてもらうことは重要ですが、そのステップが増えることで逆にユーザーの離脱を招いてしまう可能性もあります。ユーザーは、早く、しかも簡単に、アプリを使い始めたいはずです。

良いUser Onboardingを提供するためには、そのアプリに本当にウォークスルーやチュートリアルが必要かどうか、きちんと検討することも大切だと思います。

では、定番のパターン以外には、どんなUser Onboardingがあるのでしょうか?

アプリの特性に合わせて定番のウォークスルーやチュートリアルをあえて用意していない(と思われる)アプリを、2つピックアップしてみました。

Today

「Today」は、目標管理のためのスタイリッシュなアプリです。読書や運動といった「習慣」ごとにダッシュボードが作成でき、目標達成の度合いやTODOを管理することができます。

Todayでは定番のウォークスルーやチュートリアルは使っておらず、起動後すぐに「習慣」を新規作成するよう促されます。

ウォークスルーやチュートリアルも無しにいきなり作成を促すのは、サービスによってはユーザー負荷が高く離脱につながります。しかし、Todayのようなツール系アプリであれば問題ないのかもしれません。

ツール系の場合そのアプリでできること(=価値訴求)が明確なので、ウォークスルーをつけると逆に冗長になってしまう可能性がありますし、Todayの新規作成UIはステップを踏んで簡単に作ることができるため、コーチマークのようなチュートリアルも必要ありません。

その代わり、初回起動時の画面にウォークスルーやチュートリアルの役割を果たすと思われる「ビデオツアー」のリンクを設置しています。

ビデオツアーでは、主要画面やそれ以外の便利機能の操作を動画キャプチャでまとめており、「基本的な使い方」や「こんなことができる」ということを、ユーザーに何となく理解させることができます。

動画はユーザー負荷が低いという利点もありますし、ツール系でかつスタイリッシュなUIを採用しているTodayにはビデオツアーが適していると思われます。

Allo

「Allo」はGoogleの新しいメッセージアプリです。ユーザー同士で会話することももちろんできますが、Googleアシスタント(人工知能採用bot)と会話できる点が大きな特徴です。

Today同様、画像を複数枚使ったウォークスルーや、コーチマークを使ったチュートリアルといった、定番のUser Onboardingはありません。というのも、価値訴求と価値体験を実際の「チャットUI」の中で実現してしまっているからです。

“こんにちは!あなたの検索のお手伝いをします。まずは許可が必要です。「Continue」をタップしてもらえますか?”
“ありがとうございます!設定が完了しました。何を検索したいか教えてもらえますか?下のメニューから選んでください。”

「次はこうしてください」という促しメッセージがGoogleアシスタントから送られてくるため、ユーザーがネクストアクションに迷うことはありませんし、多くのユーザーはチャットUIに慣れ親しんでいるため、使い方を説明するチュートリアルも必要ありません。

また、簡単なUIで起動から短時間で価値(botが検索をアシストしてくれる)を理解することができるため、起動直後にウォークスルーを挟むより、実際に便利さを体験してもらう方がより“Onboarding”させることができるのではと思います。

Googleアシスタントの質問には、テキストや画像の内容を解析して自動表示される短い返信候補「スマートリプライ」で答えることも可能。チャットUIをより簡単に使える工夫がされています。特に初心者には優しいUIなので、User Onboardingにも大きく貢献しているのではないでしょうか。

最早定番になったウォークスルーとチュートリアルの導入ですが、追加する際には、本当に必要かどうか検討してみることをおすすめします。また、一度追加したものでも本当に必要かどうか再検討してみるのも良いと思います。

もしかしたら、機能の無駄を削ぎ落とすことでウォークスルーが不要になるかもしれませんし、アプリ自体のUIを改善することでチュートリアルも不要になるかもしれません。

以上、サービスに最適化されたUser Onboardingについてでした。VASILYでは、ユーザーを“Onboarding”させたいデザイナーを募集中です。ご応募お待ちしております!

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Sakamoto Kyon

直近はリモートでベンチャーのデザインパートナーをやってます。得意ジャンルは女性向け💃 ファッション👗 社会課題を解決するサービスにも取り組み中です。ざっくりポートフォリオ → https://bit.ly/3UAgBuZ