教師教育の新しいスタンダードになる?「対話型模擬授業検討会」

2018.08.16 Thu. 模擬授業&検討会 @東京学芸大学教職大学院

中から外の人 - SALTeacher
6 min readAug 16, 2018

皆さん、対話型模擬授業検討会をご存知ですか?

今年度、私は東京学芸大学の教職大学院に派遣研修としてお世話になっているのですが、私たち現職教員の受講できない授業「カリキュラムデザイン 授業研究演習」において行われている、模擬授業の検討方法です。

そこで担当している渡辺貴裕先生と、昨年度までこちらにいらした岩瀬直樹先生によって、

昨年6月には、日本教師教育学会として論文が発表されています。

より深い省察の促進を目指す対話型模擬授業検討会を軸とした教師教育の取り組み

Teacher Education Practice Centering on Dialogue-Based Review Sessions of Mock Lessons to Promote Deeper Reflection

大学の附属図書館にあるそうなので、今度チェックしに行きたいと思います。

こちらのベースとなる理論は、

コルトハーヘンによるALACTモデルです。

初めてお聞きしたのは、一緒に「対話的な学び研究会」を主催していた

山下先生のプレゼンテーションでした。

F. コルトハーヘン

2000年と2006年に、アメリカ教育研究学会「教授及び教師教育部門」の「教授及び教師教育における模範研究賞」受賞。2009年に、アメリカ教師教育学会優秀研究賞を受賞。

「教師教育学-理論と実践をつなぐリアリスティック・アプローチ」

こちらも今年度中に読みたいと思います。

本質的な諸相への気づきを得るために、

模擬授業に参加した後、8つの窓を使って整理します。

Do 何を行なったか

Think 何を考えていたか

Feel 何を感じていたか

Want 何を望んでいたか

上記の4つが授業者と学習者それぞれにあり、

書籍には、9つ目の窓「コンテクスト」があるそうです。

今日は3つの模擬授業を大学院の1年生が行ってくれて、それぞれの授業について検討会を行いました。

中3数学

三平方の定理を使った水平線までの距離を求める学習

・既習事項「三平方の定理」を出す流れが秀逸

・水平線についての興味・関心が高まった

・生徒の探究心を大切にしようという姿勢が素敵

春学期の講義「道徳教育の理論と開発演習」で模擬授業を行なっていた姿も見ていたのですが、

生徒一人一人の考えを大切にする素敵な先生になると思います。

小1算数

1から5の数概念を掴む学習

・本当はこうなったらいいという理想をもっている

・スライド資料やペットボトルに色水を入れた教材を手作りするなど、熱心な準備

・立ち振る舞いが、より柔らかくなってきている

春学期の講義「国際バカロレアの教授・学習と評価システム」や「道徳教育の理論と開発演習」でも率先して、模擬授業を行なっていたり、

特別支援教育に関する自主企画の勉強会、

自主的に空き時間に模擬授業を行なって現職教員をたくさん集めるなど、

学び続ける教師、省察的実践家として日々成長し続ける先生になると思います。

高1社会(日本史)

文明開化についての学習

・これを考えさせたい!これを伝えたい!という想いが力強い

・多角的な見方・考え方を身に付けようという狙いがGood

・専門的な知識で、たくさんの考えをもっている

彼も春学期の講義「国際バカロレアの教授・学習と評価システム」でも、模擬授業を行なっていました。

熱い想いをもって、生徒としっかりと向き合っていく先生になると思います。

頑張れ!教員採用試験!!

こうしたやる気のある学生のお陰で、たくさんの学びを得ることができています。

模擬授業20分、検討会30分の予定だったそうですが、

ビビビビー!とタイマーが鳴っても御構い無しで、

終わらない模擬授業・終わらない検討会ばかりでした。

検討会が終わった後も、授業者と一緒に対話は続きます。

また、免許講習のスタッフとして働いていた学生とも、

その後、対話型模擬授業検討会の在り方や、現場での落とし込み方について話すことができました。ありがとう!!!

考察

対話型模擬授業検討会は

・(時間を守れれば)短時間で、教員一人一人の教育観・授業観に触れることができる

・その時間だけでは終わらない「延長戦」が自然と生まれる

・授業者のWantと学習者のFeelとのギャップが顕在化するなど、良い悪いで判断するのではないコミュニケーションが取られやすい

・授業者のメタ認知を誘発する

・8つの窓が書かれているホワイトボードを前にして話すので、全員参加の雰囲気が保たれる(机で授業者と学習者が区切られていないのがポイント)

という点で、とても素敵な学びの場になりうると考えます。

例えば、研究授業において参観者は、後ろで指導案にメモを書き込みながら見ているのではなく、学習者の一人として生徒と一緒に参加してみるのはどうだろうか。

・協議会では、フィッシュボウルのような形で学習者として参加していた教員が、対話型模擬授業検討会のような形で授業者と一緒に検討会を行う。

・参観者として後ろで見ていた教員はフィッシュボウルの外から聴いていて、1〜2席だけ空いている椅子に自由に座ることができ、意見や質問を述べることができる。

・そこで出てきた新たな問いや気づきにたいして、講師の先生からのフィードバックをいただく。

こんな形も考えてみました。どなたか一緒にやってみませんか?

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中から外の人 - SALTeacher

公立の小学校教員12年目。地域社会の力を公教育に。学び続ける教師でありたい。子供が育つこと、教員として成長することに関して記事を重ねていきたいと思います。SALT=Social Active Learning Teacher