エコシステムデザインの先端の書〜レジリエンス「復活力」ゾッリ著
この本は、レジリエンス関連で読んだ本の中で一番深く、面白い本でした。
レジリエンスという言葉をよく聞きますが、その震源はワークシフトを書いたリンダグラッドンさんの最新著書「未来企業」であることは間違いないです。それをきっかけにいろいろ読み始めた本の中で、個人的に一番面白かったのが、この本です。
著者のゾッリはあまり知られていないかもしれませんが、「シェア」や「メーカー」などの本で知られるクリスアンダーソンや、「ティッピングポイント」、「第一感〜最初の2秒はなんとなく正しい」で有名なマルコムグラッドウェルらが、実施しているサロン的な研究会の成果をまとめた本のようです。かなり分厚い本ですが、読んでみると、「今生きている時代への時代感を根本的にくつがされる」と感じる本です。

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以下この読んだら、10時間くらいかかる本の要約メモを共有してみます。
以下読書メモです。
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■レジリエンスとは?
レジリエンスとは、元々はリーマンショックや、311などの人為的、天災などの災害による予測できない大きな災害が起こった時に、それに対する復活力、ピンチをチャンスに変える力、というような文脈で始まった言葉。
その変化が不可避であることがもはや前提に置かれたときに「継続性」および、「回復」をいかにスピードを早めるか、という智恵である。
では、今、なぜ注目されてきているかというと、時代の変化によることが大きい。
■レジリエンスが注目されてきている背景にある時代の変化
人類は産業革命以降、効率的に資源を所有物にすることにより、物質的な欲求を満たしてきた。
1990年代から本格化するパーソナルコンピューティングと、インターネットにより、世の中は、ネットワーク化が進んだ。これが、SNSの普及を中心に、バーチャル世界のみならず、リアルの世界にまでネットワークが広がり、世の中は、ここ数年で急激に「本当に複雑系になった」。
ここ20年ほどで起こった多くの変化はインターネットによるもの。
情報革命のポジティブな側面、国境を越えたハイパーコネクティビティ、組織から個人への権限委譲が進み、コミュニティが作りやすくなったこと、情報の非対称性の是正により今まで大組織が持ってきた利益を個人が享受できるようになったこと、などの正の側面が注目されがちである。
しかし、次第にネットワークの開放性が高まり、ネットワーク化が進んでしまったことは、逆に複雑系の負の側面も同時にあらわにし始めている。例えば、その負の側面を生かしたものがテロであり、病原菌である。
ロングテールというのは、逆に言うと格差が広がるということであるし、コミュニティ化が進むということは、逆に断片化が進むこと。情報量が増えることで、個人の頭、と心、体の分断が起こっている。そして、何より、ネットワーク化が進むということは、一つの変数が変わるだけで大きく世の中が変わるというボラティリティの高いシステムの中に我々が生きるようになったということを意味する。
複雑系の世の中というのは、一つの変数を変えるだけで結果に大きな変化が起こる。原発の問題を見ればわかるが、誰がその結果に責任を取れるだろうか?
また、資源の制約という観点から人類社会を大きなリスクを覆っている。
現代の危機に対しては2つのメジャーな立場が存在する。
1. イカロス派〜持続可能な社会の実現への転換を純粋に信じる人たち
2.マニフェストディスティニー派〜試練からイノベーションを生む人類の力を信じる
そして、それに対する第3の道がレジリエントな社会作りである。では、この第三の道はどのようにしたら実現できるのか?この本には、そのヒントがたくさん書かれてます。
■レジリエントな社会の実現に必要な「エコシステムデザイン」
レジリエントな時代における一番の戦略は、変化を自分から仕掛けにいくことである。複雑系の世界においては、そのシステムそのものである、生態系を自分で作りにいくのが一番良い。私見だが、この本は、生態系デザインについての本だと思った。生態系デザインとは、都市、珊瑚礁、庭園などをどうデザインするか、と考えると、今までのデザインとの違いが実感できると思う。
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陰である、大きな組織に対する小さな個体の攻撃、というメタファーが、今の時代であちこちで起こっている。大組織としての対応は、相手の戦術の模倣、である。
ヒズボラに対するアメリカの対応は、『前哨基地と働きかけ』という形で、少人数のチームを多く作った。それにより、現地の住民とのネットワーキングが生まれやすくなった。(物理的ネットワークと社会的ネットワークの組み合わせ)
■レジリエントなエコシステムデザインのために
レジリエントなエコシステム構築に役に立つ例としては以下のような分野から学ぶのが良い。例えば、スマートグリッド構築、テロ対策、森林保護などの分野である。
1.スマートグリッド対策
スマートグリッドを構築する上でレジリエントなシステムをデザインするセンサーとインテリジェントシステムを使い、フィードバックシステムを構築した。
-システム設計思想として1)リアルタイムの監視と応答をできる仕組み(多くのセンサーの配備)2)予測力3)分離可能の原則
-コミュニケーションとして社会規範に訴えかけるメッセージ
常に、定量的にシステムの状態をリアルタイムでフィードバックを受けつつ、一方では、人の社会規範に訴えかけるという定性的、クリエイティブなアプローチを併用することが、エコシステムデザインには必要である。
2.森林保護
森林保護を実行する上でパイロットケースで実施したケースの戦略が面白い。それは以下の3フェーズにわけたエコシステム構築戦略だった。
フェーズ1.まず、これ以上無いというくらい不毛な土地で、最小単位で作ってみる
フェーズ2.多様な植林を一気に植えて生物多様性を高める
フェーズ3.経済的持続性を与える原理を導入する
まず、小さい分野で、最高の小宇宙を実現し、多様性を高めた後で、一気に外に広げる。育てていくための戦略が存在する。
■レジリエントなシステムとは?
潔く失敗する危険な状況を回避する侵入を察しする部分的な被害を分離して最小化する資源の供給源を多様化する必要と有れば縮小した体制で稼働し、破壊されると、自ら再構築して回復を計る不完全なシステムである。
全体性を持ち循環的(生態学でいう「急激な成長」→「維持」→「放出」→「再構築」という適応サイクル)を繰り返す。
一方で、複雑なシステムは、変化を吸収できるがゆえに、蓄積したゆがみに弱いシステムが限界に近づくときに不安定な状態に陥る「臨界原則」が起こるそして、システムの中の個体に同調性が表れると全体のシステムの崩壊を招く
■レジリエントなシステムの必須条件
1.繊細なフィードバックを得るための神経を研ぎすますこと
2.資源の分散化、冗長性
3.モジュール化
4.ダイナミックな再構築
5.分離可能性
6.単純化、高密度化
7.多様性
この7つをデザインガイドラインとして持っておく必要のが良い。
■レジリエンスの高め方
〜個人のレジリエンスを高めるためには?
個人のレジリエンスは学習可能な「思考の習慣」に深く根ざす〜人はトラウマから自然に立ち直る(2/3は。)
1)信仰を持っている人はレジリエントである〜以下のようなことを強く信じている人はレジリエントである(人生に有意義な目的を見いだせる、自分が周囲の状況や出来事に協力できる、経験は全て学習と成長に繋がる)
2)コミュニティの存在によって立ち直りやすくなる
3)マインドフル瞑想
3種類の瞑想が存在する。意識を集中させるタイプの瞑想、あるがままを観察する瞑想、そして、慈愛の瞑想と呼ばれる思いやりの瞑想。
まず、最愛の人に意識を集中し、やがて思いやりを万物に広げて大きな共感を生むのが大事。
□集団のレジリエンスを高めるためには?
〜集団のレジリエンスは「信頼と協力」が重要である〜おもう返しの戦略がうまくいく(ノイズを含んだ場の場合1/2おうむ返しがうまくいく)〜協力したいと思う自分の部族を拡張する
〜集団のレジリエンスを保つための多様性と寛容さ〜リスクのホメオスタシス理論〜画一的な集団的思考の危険〜様々な考え方を学ぶことで水平思考を身につける〜確証バイアスへの対処〜スケーリングの原則 生物は体が大きいほど生きるスピードが遅くなるのに対し、都市は大きくなるほど必要な基盤 は減るが、一方であらゆる活動が早くなる 都市では、多様性を担保する限り、ある産業が終わったら新たな産業に挑戦するものが現れ新 陳代謝が進む。
□社会のレジリエンスを高めるためには?
〜社会のレジリエンスを高めるためのコミュニティとしての適応能力を高める〜行動の変化を起こすための社会規範を抑止力にするアプローチ 1.暴力の電線を防ぐ、2.もっとも危険性の高い感染源の思考を変える、3.コミュニティ全体の規範を変える
〜社会のレジリエンスを高めるためのコミュニティにおける「通訳型リーダー」の存在〜対話〜仲間の拡大〜ネットワークを織りなす
1.利害関係や価値観を共有するグループの中に小さな自律的グループが生まれる
2.ハブアンドスポークが形成される
3.個別に結ばれていたグループ同士に橋を描け、互いが直接往来できるようにする
4.次なるリーダー候補への橋渡しをする
■レジリエンスを高めるためのアクション
1.脆弱性、限界点、フィードバックループを理解、マッピングする(システムマッピング)
2.自己組織化的ネットワークを構築する
3.徹底的にデータを活用する
4.将来の不確実性を見立て、備える
5.創造的破壊の中で学ぶ
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