ティール組織日本語版発刊に寄せて

Kunitake Saso
5 min readDec 28, 2017

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すでに世界14ヶ国語に翻訳がされている名著、「Reinventing Organization」の日本語版の翻訳が決まりました。昨日からAmazon.co.jpで予約開始で、1月24日に発売になるそうです。購入ページはこちらから。

ご縁で帯の推薦文を書かせていただく栄誉をいただきました。この本の推薦を1行で書くなんて大それたことは出来ないので、この文章を作る上で書いた全文をこちらに載せておきたいと思います。

ロンドンビジネススクールの経営学者のゲイリー・ハメルは、ハーバードビジネスレビューで、変化のスピードが早く読めない時代のマネジメントのあり方として「マネジメント2.0と新時代に向けた25の課題」を発表しています。

その中で、経営陣にとっての課題として次のようなものが列挙されています。

・経営陣がより次元の高い目的を果たす

・階層性の欠点を取り除く

・戦略立案プロセスを改め創発を促す

・参加型の手法を用いて組織の方向を決める

いずれも、変化が激しく、トップに全ての情報を集めて最適な意思決定が難しい時代における、分散型で自律的な組織への転換を行うマネジメントイノベーションの必要性が課題として上がってくるのです。これは、産業革命後に現代のヒエラルキー型の会社の基礎となったフレデリック・テイラーによる経営管理の概念を根本から壊す変化の必要性が生まれているということです。

フレデリック・テイラー以降の企業経営においては、生まれて行くニーズの塊を救うための大きな投資の意思決定をいかにするか、ということにありました。しかし、現在の企業経営においては、常にふわふわと変化し続けるつかみどころのない環境の中、複雑な情報を判断しながらいかに正解のない中進んでいく道を歩んで行くかが大事になってきています。

「ティール型組織」は、ポスト資本主義時代における会社の新しいあり方を提唱するバイブルとして21世紀の歴史に刻まれる本になるでしょう。インターネットによって創造性が民主化し、誰もが創造できる時代における、組織の存在目的に向けて創発を促していく新たな企業統治のルールデザインについてのヒントが満載です。

インターネット以前は、組織というのは構造が明確で秩序があるのが当たり前でした。それが、インターネットによって個人の自由を追求できる環境が整います。一方で、個人が無秩序に自由にやるだけだと社会や組織全体としての価値は抜け落ちる可能性があります。

インターネットによって可能になった個人の自律を社会のインフラに広げるため、社会における価値づくりと個人の自由のバランスを取るため組織のルールをデザインしているための取り組みが世界中で始まっています。日本には、社会の目的と従業員とお客様の3方良しを目指す、ティール型組織にも通じる経営文化がありました。

また、日本でもこの本に近い思想で経営されている会社が生まれてきています。この本の刊行をきっかけに、様々な事例が日本発で世界に発信されていくきっかけとなることを祈っています。

関連投稿:Teal型組織で言っているルールデザインのヒントについては、この本を以前読んでとても刺激を受けて作ったこちらの小冊子でも軽く触れていますので興味ある方は見てみてください。

スライドへのリンク:(ダウンロード可)
https://www.slideshare.net/sasokunitake/org-by-purposebiotopepdf

関連投稿:自己組織化する組織Tealとは何者なのか?https://medium.com/@sasokunitake/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E7%B5%84%E7%B9%94teal%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E8%80%85%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B-8a4aa1fb2dd0

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Kunitake Saso

Founder of biotope. CEO. Strategic Designer. Researcher on creativity. Author of "The Non-Designer Guide to Design ". https://amzn.to/2MIs9sW