Design In Tech2018レポート出た!

Kunitake Saso
9 min readMar 12, 2018

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毎年注目しているSXSWでのJohn MaedaのDesign In Tech Report.

全体的な印象

・Design thinkingは、さらにAIなどの定量データと融合した動きに、Computational designがMachine Learning, Voice UI, AR/VRなど幅が広がってきている。

・会社の文化を変えたり、人を変えるためのScaleの取り組みがDNAを広げる取り組みとして重要になってきている。

・ミレニアルだけでなく、ブーマー(団塊)世代への言及あり。意義や体験を大事にし消費にあまり興味がないデジタルネイティブ層と、消費意欲があり可処分時間ができた団塊世代が並存する世の中になっている構造がより明確に。

・中国のAlibabaすげえ。インドやラテンアメリカなどモバイルの人口が増える国が注目されている。

・不均衡や、人種、ジェンダーを巻き込むInclusive Designの考え方はより重要に。

毎年、自分がやっている活動との差を考えながら、読んでいるのですが、今年も面白かった。Design ThinkingにおけるAI系のプロジェクトが増えたり、Data scientistやEngineerが会社に入ったり、その中で、会社文化を変えるため、場、人をデザインしていくようなことをやっているといういみで、かなりシンクロしていた内容。一方、VUI, AR/VR, Generative Designなどの分野や、Inclusive Designの分野はもう少し掘りたいなと思いました。

元スライドはこちら→

https://www.slideshare.net/johnmaeda/design-in-tech-report-2018?ref=https://designintech.report/

・TBD=TechXBusinessXDesignの融合の行く末

去年から、Classical Design, Design Thinking, Computational Designの3分類は提唱されてたけど、Computational Designとの差が明確に定義されているのが今回の特徴。

即時的にネット上で提供でき、常に進化し、デザイナーの人種も常にされる評価にオープンで、必要なスキルとして、「マインドとコンピューターと、社会科学の知見」だそうです。

・Design Thinkingについては、IBMがエンタープライズ版を公開したり、Medical Schoolで公開されてきている。(いわゆるバイオデザインというやつ)

・戦略コンサルは、単なるDesign Thinkingを越えたビジネスとデザインの融合を狙っている。

  1. カスタマーや従業員の体験ジャーニーを描く(デザイン的)
  2. AIを含む高度のアナリティクスとデザインの融合
  3. デザインの価値の定量化によりDNAとして会社に埋め込む必要

4.定性的なデザインの価値と、定量的なインパクトを両立させるハイブリッド思考がデザイナーには必要に

biotopeでは、去年からData scientistが入ってきたり、エンジニアが入ってきたりして、数字と定性の融合を少し実験し始めているけど、近い流れが起こっているということか。でも、基本どっちもできる人材ってほぼいないから、場としてどっちもやりながら、Hybrid人材作っていく以外にないよね、というのが感想。

・デザインでいけてるグローバル企業といえば、Facebook, Microsoft, Atlassian, Airbnb, Dropbox,Amazonだそうな。完全にプラットフォーマーの時代ですのう。

・Beyond Silicon Valleyで、インドやラテンアメリカがデザインの文脈で出てきている。

英語喋れる人多いし、モバイル人口多いし、ハード強い中国とソフト強いインドが組んだら強いし、JUGAADみたいなボトムアップで社会に必要なイノベーションの領域が多すぎるし。

これ、去年は、すでにある程度の質が上がっている中国が取り上げられていたけど、中国は今年は電気自動車(上海におけるビッグデータによる社会インパクトとビッグデータ)と小売(Alibabaとスタバが組んだ最大のモール、Alibaba Luban)の体験今年は、さらに進化し、Alibabaすげえ、って感じですね。インドは、これから興隆していく国としての位置付けに見える。

・ついに、ミレニアル世代を越えて、ブーマー世代(団塊の世代)が言及

globalの文脈で、シニア世代に言及されることが少なく、ずっとミレニアル世代推しだったけど2030には消費の伸びという視点だと55歳以上が50%以上を占めるという予測。(日本だと67%)

世界のどこを見ても、金を使わないミレニアル世代ってのと、子育てを終えて可処分所得が出てくるシニア世代って構図は変わらないのね。

・デザインDNAを醸成・拡散の必要性

・基本的にデザインが「別のもの」と思われていて、生かされにくい会社の文化に課題あり。これどこの世界でも一緒ですよねえ。

・デザイナーのツールも日々常に変わりまくってる。

Cloud型(多分Adobe CC)とか、Responsive対応とか、Real time Collabovationとかあったけど、ついにMachine Learningまで・・・

Data scienceが必要になっていたり、ユーザーリサーチスキルもさらに大事になってきている。

文化をデザインする、人をデザインする、リーダーをデザインする、システムをデザインするようなことがインパクトをスケールさせるために必要。

これまた、全く同感だなあ。biotopeでは、人づくり、経営陣、文化づくりが主なアプローチで、そのために新たなエコシステムを作っているけど、この分野でもなんとなく文脈とあってるらしい。

・Computational Designのメジャー化

・Voice UI(会話)が広がり、会話する場としてのWebへ

・AR/VRは当然価値がある。ゲームだけじゃなくて、スキルのない人がスキルを持って働ける手段として。

・AIは、88%のデザイナーがVisual Designerとしての仕事を5年以内に奪われると答え、35%が、それが10年以内に起こると答えている。

・AIは、Imageの自動生成や、編集ができるだけでなく、物理的なものもできつつある。

・デザイナーは、社会に対する責任を追いかけているし、できるよね。

・不均衡の現れ

・Design in techレポートは世界中に広がっているけど、地域で見ると驚くほど、広がってない地域が多い。このレポートを見ているあなたは、世界のトップ5%のスキルのあるコンピューターユーザーなんだよ。

・地域との格差や貧困に対して、「リモートワーク」を掲げている。

現在、16%の人がすでにリモートメインで働いているという。

・Inclusive Designの考え方

・去年も言及されてたInclusive designが1章を使われている。

世代や、貧富を越えたInclusionをいかにデザインするか。AIなどでその支援になることもある。これまで以上に参加型のアプローチや、様々な視点を統合して多様性を生かす場や枠を作っていくことのニーズは広がっていきそう。

Microsoft Inclusive Kit

・Hollywoodでもソーシャルインクルージョンの取り組みが進んでいる。

・おまけ:プレゼンテーションを超えた体験へ

〜今年は単なるレポートじゃなくて、体験バージョンのプレゼンに。Youtubeでの3分くらいのハイライト動画もあり。そのうちYoutubeバージョンがアップされるらしい。動画の時代だなあ、と。

ここに書かれていないこと

一方で、最近はベルリンを中心にヨーロッパの方に注目しているんだけど、少し時代の文脈の違いを感じる。このレポートが、アメリカ、中国を中心とした(もうすぐ終わろうとしている)「資本主義」世界での文脈というフィルターがかかっているのでは、という気もしています。(Inclusive Designはヨーロッパ初の考え方ですが、ここにない文脈が色々ヨーロッパから出ている気も。その辺りは、また今年掘ってみようと思っています)

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Kunitake Saso

Founder of biotope. CEO. Strategic Designer. Researcher on creativity. Author of "The Non-Designer Guide to Design ". https://amzn.to/2MIs9sW