企業がロゴをリニューアルする目的と意味

Saki Hanzawa
7 min readJun 13, 2016

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先月、インスタグラムのアプリアイコンのリニューアルが発表されました。なじみのあったポラロイドカメラのアイコンから、鮮やかなグラデーションのアイコンに生まれ変わりました。

企業がロゴをリニューアルする背景には、どのような目的や意味が込められているのでしょうか。

有名企業のロゴのリニューアルを例に見てみましょう。

PayPal

ロゴリニューアルの目的は、世界を牽引する企業としての決意表明だそうです。世界にはばたく上で、ユーザーには勿論、社内の意識をそろえるという意味でも重要な機転だったのだと思います。

引用元:http://gigazine.net/

頭文字の「P」をもとにシンボルがつくられました。「P」を重ねてペイパルを用いる時の人と人のつながりを強調しているそうです。シンボルが単純な形なので視認性が高くなりました。世界展開をしていく上で、どんなメディアでも認知されるために視認性の高いロゴにすることは重要です。

上側のPが透過されていることで重なっているのがよりわかりやすくなっています。ベタで重なりを表現するより現代感があり、世界を牽引する企業に欠かせない、「先進的」であることもさり気無く表現できている例だと思います。

ほか、ブランドカラーもリニューアル後は青を2色使い、よりクリーンで信頼のおける印象になりました。お金を扱う企業なので、ユーザーにとってクリーンなイメージは大切です。

TOYOTA

誰もが知っている日本車のブランド、TOYOTA。当たり前となっているあのロゴも、実は意外なロゴを経て今の姿になります。1989年に変更になったロゴは、車のエンブレムとして認知できるものにする、21世紀を見据えたクルマづくりのためにブランドイメージの刷新という2つの目的があり、リニューアルされました。

引用元:http://logomarket.jp/labo/logomark_toyota/

トヨタになる前は創業者の豊田喜一郎の名前から「トヨダ」でした。なぜ濁点がなくなり、現在の「トヨタ」になったのでしょうか。

引用元:http://logomarket.jp/labo/logomark_toyota/
  • 商業美術的に見て、濁点を付けないほうが、さわやかであり、言葉の調子(音の響き)も良い
  • 画数が8で縁起が良い
  • トヨダ(豊田)という人名から離れることにより、個人的企業から社会的存在への発展の意味を含める

以上3つの点から、商標も「トヨダ」から「トヨタ」に変更になりました。さらに1989年に、なじみのあるあのロゴにリニューアルされました。

引用元:http://logomarket.jp/labo/logomark_toyota/

車のエンブレムとしてふさわしい形にリニューアルされました。カタカナのロゴよりも視認性が高くなり、文字からイメージとしてユーザーの印象に残る形になりました。

このロゴはご覧の通り、楕円のみで構成されています。大きな楕円の中にさらに楕円が2つあります。その2つの楕円はユーザーの心と車づくりの心が一体になった信頼感を表しています。タテとヨコに組み合わせ、トヨタの「T」に見えるようになっています。

その背後の空間は、トヨタの先進技術のグローバルな広がりと未来・宇宙に翔ける無限の可能性を表しているそうです。TOYOTAが未来を背負う決意表明も感じることができます。

そして、ロゴの下にもロゴの横にも「TOYOTA」の文字が組まれても違和感のない、汎用性のある形だと思います。PayPal同様、世界にはばたく企業として、視認性と汎用性のあるロゴは重要になります。

キッコーマン

日本の食卓には欠かせない、醤油で有名なキッコーマンのロゴです。1917年にキッコーマンの前身にあたる「野田醤油株式会社」が設立され、約100年も続く由緒あるキッコーマンは2008年にロゴをリニューアルしました。事業の国際化が進み、キッコーマングループの事業領域の拡大、そして事業構造の変化に伴い、ロゴも以下のように進化しました。

引用元:http://news.mynavi.jp/articles/2013/07/21/kkm/

シャープな印象の旧ロゴのタイポは鋭敏な感性と常に前進を目指す企業姿勢を表現していました。

引用元:http://news.mynavi.jp/articles/2013/07/21/kkm/

一方新ロゴはやさしい印象になりました。食のよろこびと、こころとからだの健康を、のびやかでやわらかに表現しています。さらに、大文字から小文字にすることで「やさしさ・ぬくもり・親しみやすさ」を感じるロゴになっています。

そして、右側にある六角形のマークは1820年ごろから使われている由緒あるもので、新ロゴで再び登場しました。革新と伝統の融合の意味も込められているようです。

ブランドカラーも大きく変わっており、太陽や炎、大地や豊穣を感じさせ、「健康・若々しさ・活力」 を象徴するとともに、食欲を増進させるオレンジになっています。

ほか、タグライン(おいしい記憶をつくりたい。)が追加されています。信頼感や親しみやすさが大事な食品を扱う業界ではタグラインを添えることで、ユーザーに寄り添う姿勢を表現しています。

引用元:http://www.meiji.com/about_package/
引用元:http://www.mizkan.co.jp/

食品を扱う企業で有名な明治やミツカンもタグラインを添えて、どのような価値を提供するのか明示し、ユーザーに語りかけるようなロゴになっています。

加えてどちらのロゴも小文字になっており、キッコーマン同様親しみやすさを表現しているロゴになっているようです。

以上、有名企業のロゴリニューアルの事例についてご紹介しました。

企業がユーザーに提供する価値が変わる時や、企業の体制がかわるタイミングでロゴのリニューアルが行われるようです。実は日常に溶け込んでいるあのロゴも、さまざまな歴史を経て今の形になっているのかもしれません。

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