ソフトウェアのファーストフード化

ソフトウェアを否定するものではありません。むしろソフトウェアは好きです。ソフトウェアの「開発」に焦点を当てた考察になります。そして、僕自身の仕事に対する姿勢というか、スタンスを述べるものになります。

自分の仕事を思考する

僕は最近、深い森に入るように仕事について考えることが多くなってきて、考えたことを誰かに話したり、こうやって文章として残したりしています。先日もUI Crunchというイベントにも登壇させていただき、「いい仕事」についてお話しさせていただきました。スライドはこちらです。https://speakerdeck.com/kwmt/iishi-shi-wosiyou 驚くほどに反響があり、自分でもびっくりしています。仕事に対して抱く感覚は人それぞれだと思いますが、僕なりには解釈ができるようにちょっとだけ熟してきた気がします。

ソフトウェアのデザインを仕事にする

僕はデザインを仕事にしている人間ですが、ソフトウェア開発に関わることが多いです。実はソフトウェア開発には、昔から少し違和感を感じていて、それが何なのかが分からずにいました。もともとはプロダクトデザイン、手触りのあるモノを作りたかったのですが、会社の都合もあり、キャリアのスタートはソフトウェアのデザインや標準化といった仕事でした。といっている間に、6年ほどソフトウェア開発に携わり、いろいろなソフトウェアを世に出すようになり、ようやくその違和感というものを言葉にできるようになってきたので、棚卸しします。

ソフトウェア開発のプロセスへの違和感

違和感。というと一言になりますが、自分で満足しない何かが、ソフトウェア開発に携わっていて感じています。それは、ソフトウェアそのものに対する違和感ではなく、ソフトウェア開発のプロセスに違和感を感じているのだと気付きました。昨今のソフトウェア開発は、リーンに世に出すことが良しとされ、ユーザーの声を聞きながらブラッシュアップしていくことが主流です。この手法は間違っていないと思いますし、一つの正解だと思います。が、僕はここに違和感というか満足感を感じていないのだと気付きました。

最近、僕は丹念ないい仕事をしたいと強く思うようになり、手触りのある仕事や丁寧な仕事に触れるととても感動し、心が動かされます。そういう「いい仕事」に触れた時、その裏側にあるストーリーを感じることができるからです。また、僕自身もそのような手応えのある仕事をしたいと強く思っています。そういった「いい仕事」は、丹念に長い時間をかけて、作り手の想いが詰まった素晴らしいものです。先日、グッドデザインの審査会に行った時もやはり素晴らしい作品やサービスが多く、「いい仕事されているなあ」と唸るものばかりでした。

そう考えた時に、ソフトウェアのリーンな開発プロセスとのギャップに違和感を感じるのです。リーンに開発したソフトウェアはどこかで一種の諦めがあって、いったん出してみよう、となるわけです。それでもいいのですが、世に出して人様に触れるものであるので、僕なりには丹念に作り込みたいのが本音です。丹念なソフトウェア開発の世界はないのだろうか?

ソフトウェア開発に丹念さを入れ込むチャレンジ

以前のブログでも述べましたが、僕はこの違和感を感じながら自分の仕事、つまり生きる時間を使いたくないので、丹念にサービスそのものに、「命」を吹き込むことにチャレンジしたいと思っています。具体的には、プロダクトの性格のようなものを決めたり、それをビジュアルやインタラクションで表現したり。さらには、無駄なミーティングなどには極力出ずに、プロダクトに専念する体制を作る。そして、プロダクトを何度も壊し、「作りながら考える」という方法を取り入れています。粘土で作品を作るように。そして、グラフィックや細部の作り込みもかなり時間とパワーをかけます。出してから良くしよう、ではなく出す前にクオリティの高いものを出すよう心がけています。ただ、リリース日は当然遅くなると思います。それでもなんとか周囲には納得してもらい、胸を張ってリリースをしたいと思っています。まだまだ僕は浅い経験ではありますが、SAGOJO https://www.sagojo.link/ やその他サービスでも、リリース日を伸ばしてでもクオイリティをあげるように作り込み、結果的に素晴らしいサービスに成長しています。僕にはその「成功体験」があります。今回、それ以上の熱量を、現在取り組んでいるBaltoというフィードバックコミュニケーションツールに、注ぎたいと思っています。https://www.balto.io/ クロスプラットフォーム(Web、iOS、Android)のすべてをデザインを担当します。グローバルに打って出ていくサービスでもあるので、海外の意見も取り込みます。なかなかハードです。でも、それが今の楽しみです。早く社会にフィードバック文化を根付かせたい。

いい仕事は最後に現れる

とはいえ、丹念に作ったからといってユーザー数が増えるとも限りませんが、使ってくれる方々に「ああ、これはいい仕事しているなあ」と思ってもらえるサービスを生み出したいと思っています。つまり、プロセスや手法ではなく自分の気持ちの問題なんだろうなと思うわけです。それが僕にとっての大きなゴールであり、大きな成果だと思っています。みなさんも、いい仕事しましょうね!