TEDxHimi2017でウイスキーが果たした役割

もう1ヶ月半が経とうとしている。

これまで何度もTEDxHimi2017について書こうと思ったけど、ずるずるとこんな時期になってしまった。

しかし、僕の中で熟成された言葉が、何を発露していくのか?楽しみでもある。

TEDxHimi2017のテーマは”Inner Space”

直訳すれば「内側」

ファウンダーのマサさんは「今、ここに」という意味も込めているようだ。

僕にとっては「界面における外界でないもの」といえるかもしれない。

もともと味と匂いのセンサーを研究していたこともあり、界面については多少の知識がある。

舌には味蕾という細胞がある。他の細胞と同じく脂質二重層という膜でできている。

脂質は水となじむ親水基が頭に、水を嫌う(油を好む)疎水基を足にした構造である。細胞の内側も外側も水で満たされているので水を嫌う疎水基は脂質二重層膜の内側に配置される。

水のあるところに脂質をばらまくと勝手に脂質二重層の構造となることから自己組織化膜と呼ばれることもある。

さらに、細胞には脂質二重層膜の間にタンパク質が適当に配置されている。タンパク質はたいてい脂質よりもずいぶん大きく細長い構造で、脂質二重層膜に絡みついている。7回も脂質二重層膜を貫通している。タンパク質は油の性質が多いので脂質の疎水基とくっつきやすいためだ。

そして、このタンパク質が細胞の内側と外側をつなぐゲートとなる。

前置きが長くなったけど、これはとても示唆的だと思う。

内側(innner space)と外側をつなぐゲート。

それが、それこそが僕がやりたかったことなのかもしれない。

ウイスキーと人をつなぐゲートに僕はなりたかった。

僕と一緒に飲むウイスキーは美味い。

と言ってくれる人たちがいる。

そういう人たちと過ごす時間はかけがえのないものだということを実感したい。

ただそれだけなのだ。

僕はウイスキーを内包し、ウイスキーに内包される。


Originally published at scotchhayama.hatenablog.com on January 18, 1970.