成蹊大学と明治大学の先生が語る!デジタル時代の授業や研究の進め方 Scrapbox Drinkupイベントレポート

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Apr 12, 2019 · 8 min read

ドキュメント共有サービス「Scrapbox」を提供するNota Inc.が、ゲストを招き、ScrapboxのユーザーやScrapboxに興味をもつ人達とカジュアルな情報交換を行うScrapbox Drinkup。

2019年3月25日(水)に開催されたDrinkupは「School Edition」と題し、大学のゼミや研究室といった教育現場でのScrapbox利用について考えました。

登壇者紹介

(左から)

福地健太郎 明治大学総合数理学部教授

塩澤一洋 成蹊大学法学部教授

増井俊之 Nota Inc. CTO / 慶應義塾大学環境情報学部教授

集まった約20名とともに、Nota Inc.CEO 洛西の乾杯でイベントスタート!

Scrapboxはキャンパスのキャンバス(塩澤一洋)

教育の現場でScrapboxを利用している人は思いのほか多いようですが、一体どんな風に使われているのでしょうか?

最初に登壇した塩澤先生は、授業の開始5分前には教室の前の席が埋まるという人気の教授。学生たちは授業が始まる前にQRコードを読み取り、その日の授業のScrapboxページを開くそうです。今回も授業と同じ流れでトークがスタートしました。

塩澤先生が授業でScrapboxを使い始めたのは2017年の2月。その後、SNSでもScrapboxの魅力を発信し続けています。「教室やゼミにおいて、Scrapboxは無限に広がるホワイトボード」と語り、自身の教育に対する理念と絡めてScrapboxの利用方法を解説しました。

  • すべての授業は“体育”であると考えています。アクティビティをするのは教員ではなく学生たちであるべき。教員が一方的に情報を伝えるのではなく、学生が主体的に考え、書き、発言し、行動する授業を実現するためのツールとして、Scrapboxは理想形。
  • 最近教育現場ではeラーニングの学習管理システム「LMS(Learning Management System)」が使われているが、Scrapboxはその先を行っている。教える側がManagement(管理)するのではなく、学ぶ側の学生が自分自身をEncouragement(鼓舞)しながら熱意をもって学習に取り組める、いわば「LES(Learning Encouragement System)」。
  • 当初は4つのゼミでそれぞれ別のプロジェクトを立ち上げていたが、やがて1つにまとめた。ゼミごとにタグ付けすることで各ゼミに関連するページを一覧できる。
  • 2~3人で1つのプロジェクトをシェアして同時にノートを取っている学生も多い。協働、協調して書き、その内容がScrapboxを介してリアルタイムで共有されるから書きたくなるモチベーションが増幅し、学習がより深まる。
  • 上級生のゼミでは司法試験の過去問に対する答案をScrapboxに論述する。学生同士がページを見合ってコメントを交わす。ITで話をしているとリアルで会いたくなり、コミュニケーションがさらに活発になる。
  • 運用上の唯一のルールは書いた内容を「消さない」こと。「一度書いたことは消えない」というweb世界の感覚を身につけ、自分の言葉に責任を持つため。

Scrapboxを使って見えてきた学習の課題(福地健太郎)

塩澤先生に続いて登壇した福地先生は、明治大学総合数理学部教授として研究室を持ち、講義の他に現在研究室に所属する学生約30名とのゼミでもScrapboxを使っています。

2017年の後半から使い始め、現在のScrapboxは1670ページ。「Scrapboxの使い方はだいたい塩澤先生に言われちゃったから(笑)」と、塩澤先生とは違った切り口で、Scrapboxによって気付いた学生の課題について語りました。

  • 学生たちに論文を書かせる前に、まず骨格(構成)を箇条書きでScrapboxに書かせることを試みた。しかし箇条書きレベルでは問題ないように見えたものが、本文を書かせてみると構成がおかしかったことが分かる、ということが何度もあった。「クリティカルリーディング」に耐えうる文章を書く訓練をさせる上で、箇条書きの状態でも構成の欠陥を発見しやすいような工夫の必要を感じた。
  • 解決策として、論理の流れを明確にするための接続詞(しかし・そこで・その結果 など)を各主項目の冒頭に書かせることを試みている。これなら主項目だけを読んでいっても論理の流れを把握できる。、論理構成を把握できていない学生は接続詞を補うことができないため、そのことに自分自身で気付くことができる。
  • この書き方は、ライティング訓練の次のステップ「パラグラフライティング」にもつなげられる。各パラグラフの先頭に箇条書きの主項目がそのまま来るので、パラグラフの先頭を拾い読みしても意味が通る文章を書けるようになると期待できる。

また、福地先生は最近出版した本「図解でわかる!理工系のためのよい文章の書き方」についても紹介してくださいました。執筆にはScrapboxを使って書いたのだそう。「参考文献の情報をまとめるのにとても便利だった。また、各トピックの進行状況をアイコンで管理できるようにしたことで、進行管理がうまくいった。」と語りました。

まずはコアメンバー数名で“文化”をつくる。Scrapboxを開発現場に浸透させるには?

最後に登壇したのはNota Inc. CTOの増井。

Scrapboxの発明者であると同時に、慶應義塾大学の研究室でも授業を教えています。

現在研究室用のScrapboxというのが1万ページ以上。

授業での使い方を語りました。

・Scrapboxで授業の資料を作成してプレゼンモードで講義をしている。講義を受ける学生は自分のScrapboxページを準備し、そこにメモを取ったり、レポートを書いたり、授業の感想を書いたりする。それをScrapboxで確認してフィードバック。すべてがScrapboxで完結する。

・福地先生の話にも繋がるが、「しかし」は「but」、「例えば」は「e.g.」など、接続詞の記号を考えた。浸透はしていないが、こういう方法もある。

・Scrapboxを使うことで紙のレジュメは一切不要になる。参考文献リンクや画像、動画、プログラムを貼ることもできるので、教員、学生どちらも手間が減り、学習に集中できるようになる。

教育現場で広がるScrapboxの可能性

増井は最後に、新サービス「Helpfeel」を発表しました。

Helpfeelは、カスタマーサポート向けによくある質問の検索性を向上させるソリューション。

Scrapboxと連携して簡単に編集が行えるうえに、あいまい検索により検索性を高めます。

こちらも今後の動向にご期待ください!

そして、イベント後半は自由にお酒や料理をつまみながらの親睦会。

自由参加型のライティングトークでは教員を含めた多くの方が、学校や会社におけるScrapboxの利用について語りました。

リンクによって繋がる —

それこそがScrapboxの大きな特徴。

今回はリアルなコミュニケーションを通して教育業界に携わる人たちが意見を交わし、まさに繋がっていく有意義なイベントとなりました!

( 文・写真 下條信吾)

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