MTGの準備に導入した結果、MTGそのものが減った。FiNCのScrapbox活用事例

ヘルスケアのプラットフォームを運営する株式会社FiNC Technologies(以下、FiNC)。ジムの人気トレーナーだった溝口勇児氏が「より多くの人にヘルスケアを広めたい」という想いで2012年の4月に会社を設立しました。2017年3月にオープンしたヘルスケアアプリ「FiNC」は、既に400万ダウンロードを突破し、ユーザーから高い評価を得てたちまち大きな話題に。ほかにも、美や健康に関連した商品を販売するECモール「FiNCモール」の展開や、実店舗のパーソナルジム、エステも都内に5店舗出店するなど、ヘルスケア業界に新しい在り方を提案しています。

FiNCの事業の根幹となるのが、やはりアプリ開発。総勢約50名という大所帯の技術開発部は、全員が会議の議事録などを共有するためのドキュメンテーションとして、このほどScrapboxを導入しました。

これまでさまざまなドキュメンテーションツールを使ってきたという技術開発部がなぜScrapboxを選んだのでしょうか。また、どのように社内に浸透させていったのでしょうか。

今回はScrapbox導入を主導した鈴木様・高見様のお二人にお話をうかがいました。

株式会社FiNC Technologies 鈴木健二様

シニアテクニカルリードマネージャー
プロダクト本部 技術開発部 SREグループ マネージャー
プロダクト本部 技術開発部 ヘルスケアブロックチェーン開発室室長

技術開発部のマネージャーとして部内の課題解決や技術選定を担当している。
@kenjiszk

株式会社FiNC Technologies 高見浩介様

技術開発部 リサーチサイエンティスト
主にアプリの機能強化を担当。現在はAIのエンジニアとして開発を進めている。
@sukesan1984

戸惑うほど勝手に広がった。Scrapboxの拡散性を実感

Scrapboxを導入したきっかけを教えていただけますか?

高見「まず僕が個人的に見つけて使い始めたんですけど、思いのほか使いやすかったので、鈴木さんを含めた技術開発部の数人に教えて試験的に運用してみました。すると皆僕と同じように好印象だったようで、部内のドキュメンテーション共有はScrapboxで統一しようという方針で進みました。」

鈴木「さらにその評判は他部署にも広がっていて、今後は全社的にScrapboxを使おうという雰囲気ですね。僕らとしては『ちょっと試してみるか』と、意外と軽い気持ちで使い始めたんですけど、ものすごい勢いで勝手に広まっていって、『どうしよう……』と逆に戸惑うほどでした(笑)。誰か1人が使い始めると自然に周囲を巻き込むという拡散性の高さもScrapboxならではなのかもしれません。」

Scrapboxを導入するまではどのようなツールを使っていましたか?

鈴木「かなり色々試してきましたよ。一番最初はGoogle ドキュメントを使っていて、そのあとはMicrosoft Office 365。他にも開発ではConfluenceやJIRA Software、Crowiなど。それぞれに良いところはありましたが、私たちのニーズを叶える理想的なものに出会えずにいました。」

高見「ドキュメンテーションに関する課題意識は以前からあり、課題を解決しようとする社内的な取り組みがありました。技術開発部は50人のメンバーがプロジェクトごとにだいたい10個のグループに分かれています。各グループが持っているノウハウを共有したり情報交換ができるようにミーティングを頻繁に行なっていますが、議事録を取ってもすぐに埋もれてしまうという階層構造ならではの問題がありました。決まったことが実行されなかったり、そもそも議事録のメモ自体が取りにくかったり、編集しにくかったり……。もっと気軽で書きやすく、なおかつ情報が埋もれないツールを探していました。」

Scrapboxの啓蒙活動はScrapboxで

技術開発チーム全体でScrapboxを運用するために、社内にどのように浸透させていきましたか?

鈴木「Scrapboxは使い方を教えてもらって構造を理解すれば、ドキュメンテーションを扱う人なら誰でもその良さがわかるツールだと思います。つまり広める側の立場としては、『どれだけ理解させるか』が勝負。Scrapboxの使い方を説明するページをScrapboxで作成して皆さんにシェアしています。 」

高見「それに加えて、僕や鈴木さんがエバンジェリスト的な立場で各チームをまわってフォローしています。少しマニアックなサポートの仕方かもしれませんが、他のメンバーが新しいページを作成したらそっと開いてみて、カーソルの動きをみて、困ってそうであればページに先回りしてコメントで使い方を教えています。また、使い方について気軽に聞いてもらえるように、Q&Aページも作っています。ミーティングで全員が同じページを見ているときも、ちょこちょこリンクをつけることで『リンクはつけなければ意味がないもの』と考え方を啓蒙しています。」

ドキュメントの量が10倍に。Scrapbox導入後の効果

実際にScrapboxを導入してみて効果はいかがでしたか?

鈴木「まずこれまで使ってきた他のドキュメーテンションツールに比べて圧倒的に書きやすいので、ドキュメントのページ数がこれまでの約10倍(1カ月あたり90ページだったのが、900ページ以上)に増えました。全社の会議でも人の話を聞いているだけではなく、積極的に複数人が同時にページに書き込みます。例えば議事録係が喋っている時に気を利かせて議事録を取ってくれる人もいたり、ときには誰かのコメントに対してCTOが答えることもしばしば。議事録がただの“記録”ではなく、とても内容が濃い“生きたテキスト”になりました。」

高見「ミーティングの前に議題をまとめたアジェンダを準備するんですけど、アジェンダをScrapboxで作ったところ、それに対してたくさんのコメントがついて議論になり、結論が出て早速人が動き出して『あれ、ミーティングいらないじゃん』なんてこともありました(笑)。ちょっとした立ち話のようなやりとりはScrapboxで済んでしまうので、無駄な会議は減りましたね。他にもリモートワーカーとの会議で『Skypeつなごうか?』と聞いた際に『Scrapboxを見るから良いよ』という会話が生まれたこともありました。Scrapboxのおかげで、会議前、会議中、会議後という時系列を超えて、多くの関係者を巻き込んだ議論につながっていると思います。」

鈴木「それに、Slackだと誰かが何回も同じ発言をして、そのたびに流れてしまうなんてこともよくあります。瞬発的なコミュニケーションには適しているのでSlackも使ってはいますが、Scrapboxだとみんなが注目している旬な情報や重要な課題はリンクのおかげで埋もれていかず、常に多くの人がウォッチしている状態になります。ポロっと書き込んだ困りごとが誰かに拾われてコメントが盛り上がり、そのまま改善に向けて勝手に動き出した、みたいなこともありました。そういう雰囲気はScrapboxならではの面白さだと思います。」

高見「確かにそういう面白さってありますよね。それに自分が書き込む前に似たようなページがないか検索して、なかったら書くという考え方になるので、自分が発信するという意識だけではなく、情報を再利用することを自然と意識するようになりました。そういう意味でも、Scrapboxを導入して部内での意識共有は円滑になったと思います。」

人と人とを繋ぐ。意外なScrapboxの使い方

現在Scrapboxはどのようなシーンで使っていますか?

高見「ミーティングの議事録、作業メモやタスクの振り返りなどに使っています。あとは日報じゃないですけど、各個人が1日に1回自分のページを作って、それをメモ代わりに使っていたり。他にも技術的な課題に対して解決策をコメントし合う掲示板のようなページや、社内の稟議や手続き関連のやり方をまとめたマニュアルページ、社内で使う専門用語をまとめた用語集など、かなりいろいろな使い方をしていますよ。新しい部署に配属された人が最初に見るページというのも用意していて、そのページを読めば人に聞かなくても、チームに参加するうえで知るべき情報を得られるようになっています。」

最後に今後のScrapboxに対する要望や、Scrapboxの社内浸透に向けた展望を教えてください。

鈴木「今後Scrapboxに期待することはオフラインでも使えるようになることと、モバイル環境での操作性の向上です。あとは個人のトップページというか、ダッシュボード的なものがあると嬉しいですね。」

高見「今は技術開発部がメインで使っていますが、全社的にドキュメンテーションをScrapboxで統一できるように啓蒙活動に力を入れていきたいです。」

鈴木様、高見様、ありがとうございました!

( 文・写真 下條信吾)

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