レベルデザインと用語の話をした

2019年3月16日追記:
この記事は、「レベルデザイン」が誤用される問題と周辺について、
できるだけ正確に整理することで、認識を合わせられるようにして、
齟齬なく会話できるようになるといいなぁと思って書いたものです。
間違いもあるかもしれず、それは指摘を受けて理解できたら、内容を改善していきたく思います。
いずれにせよある程度まとまった内容を置いておくことで、具体的で生産的な議論をできるのではないか?という意図で公開してあるので、明確な誤りなどあれば指摘いただければ幸いです。


レベルデザインという用語は認識がバラバラになりやすい。
何度目かわからないが先日またインターネットで議論があった
これをきっかけに、社内でも課題として認知されたので、このチャンスを逃す手はないと思い、社内用語として整理して全体共有した。
その内容を書いておこうと思う。

先に結論を書くと、上では認識がバラバラと書いたが、
誤用が氾濫していることが実態であることを課題として共有し、
その説明を含めた用語整理をした形だ。

まず、レベルデザインの意味を数人に聞き、認識が違うことを確認した。
用語の定義がバラバラだとコミュニケーションが成立しないことは、
会社の研修で多数メンバーが学んでいるため、既知の前提として、
コミュニケーションの底上げを動機として話の導入にした。

レベルとは、強さの水準であり、
レベルデザインとは、強さの調整をすること、
と一定の人数が認識しているを確認した。
そしてこれがレベルデザインのよくある誤用だと伝えた。

レベル自体の意味は単なる水準・段階というもので、
ゲームレベルとは日本で認知されてる面(ステージ)のことである。
なのでレベルデザインとはステージを設計することで、

ステージの地形そのもの、及びそこで生じるプレイ体験を設計すること

とした。
またこれ以外を含まない、つまり、
敵・味方の強さそのものを調整することは含まないとした。

なお、強さの水準としてのレベルは、レベルがキャラクターに付いた
キャラクターレベルから来るイメージであり、
あくまでレベルデザインのレベルに「キャラクターの」の意味があるわけではない、とした。

さて、レベルデザインを上記の意味に限定すると困ることがある。
難易度や強さのパラメータを調整する業務・役割を何と呼ぶべきか。
これは

ゲームバランシング (Game Balancing もしくは Game Balance Design)

とした。役割の名称はゲームバランサーとした。

次に、残りの上流部分、
ゲームプレイの面白さ・ルール・システムの設計、
プレイヤーのリソース、コンテンツ、報酬の関係の設計、
などの領域はゲームデザインだ。

これで必要な概念が揃ったこととして、
例題としてスプラトゥーンを題材とした。

ゲームデザインは、
・ブキでイカを潰すゲームだ (語弊があるが許してほしい)
・4 vs 4 の対戦
・様々な性能のブキを選べる

レベルデザインは、
・フィールドの広さは ◯㎡
・自陣と敵陣は川を挟んで分けよう
・ルートは 2本にしよう

ゲームバランシングは、
・ローラーは近距離でキル確にしよう
・ボムは 2発でインク切れの燃費にしよう

などと説明した。

次に実際問題として、事業の主戦場がここだからということで、
スマホRPG を考えた。

1章を通して、属性相性と、キャラ強化を理解させたい。
これはゲームデザインだろう。

1章ボスは、有利属性ならそのまま勝てる強さにしよう。
ヒールでHP管理をちゃんとやれば全員生存できる強さにしよう。
これはゲームバランシングだろう。

そしてその間、
1章の各クエストでの敵編成を決めよう。
最後のボスクエストは、敵全員が同属性の編成にしよう。
ここがレベルデザインである、とした。

さて、スマホRPG にレベルデザイナーは必要なのだろうか。
一般的なゲーム制作では、マップ制作が重要かつ大変だが、
スマホRPG にはこのマップが存在しないことが多い。
結果的にレベルデザインの領域が狭い。

役割分担としては必要十分な分割が良いだろうと考え、
個々のプロジェクトで判断して良いだろうと思うが、
ゲームバランサーレベルデザインも受け持つ、
とするのが進めやすいだろうと結論付けた。

最後に、多くの日本企業で職種名としてプランナーがあるが、
プランニングはプロジェクト立ち上げの企画設計であり、
ゲーム制作の設計を進めるのはゲームデザインということ、
日本ではプランナー職の名称が多いが、
海外では職種名はゲームデザイナーが一般的だと伝えた。

しかし日本ではデザイナー職の名称があり、
これをアーティスト職に変更しないとコンフリクトすることもあり、
またプランナー職・デザイナー職は日本で長く一般的なこともあり、
職種名を変えることには慎重になって良いだろうとして話を終えた。

一般論として、このような話は「だから何?」と思われやすい。
なので終えた後「よくわかった。自分のチームでも合わせていく」
というポジティブなコメントを複数もらったのが少し驚いた。

単なる感想だが、
会社としてロジカルコミュニケーションを前提として、
そこで学ぶ内容も決まっていて前提知識・共通言語とできる、
という状況によって伝わりやすかったのだと思う。

今回の内容については自分1人でまとめたわけではなく、
数人で議論し、またいろいろ教わりながら進めた。
特にコンソールゲーム業界歴の長い面々からは、
歴史も含め、教わるものが多かった。良かった。