Google Glass (Glass EE2) 購入レポート

Hiromitsu Shinohara
9 min readMar 10, 2020

Google Glass (正式名称: Glass Enterprise Edition 2) の販売が一般開発者向けに解禁されました。

早速手に入れることができたので、購入方法から配送、受け取りまでの一連を書き残しておきたいと思います。

まとめ

  • Google Glass の法人向け進化版 (Glass Enterprise Edition 2) が買えるようになりました
  • これまでは法人販売限定だったけど、一般ユーザーでも購入可能に
  • 日本からでも買えます。技適も大丈夫
  • 価格は、約16万円(本体 + 配送料 + 諸経費)
  • 購入から到着まで、約10日前後

Google Glass ?! 終わったはずでは …?

終わってませんでした!
正確に言うと、2013年に一般開発者向けに発表された Google Glass (Explorer Edition) は開発・サポートともに終了していますが、法人向けの Glass (Enterprise Edition) は、2017年頃から開発が続けられています。

2020年2月現在で最新の Glass Enterprise Edition 2 (以下、Glass EE2) は、昨年5月に発表されたものです。

これまでは Google のパートナー企業から法人として購入するしか手に入れる方法がありませんでした。
それがついに一般開発者でも買えるようになったということで、かつて販売されていた一般向け Google Glass の実質再来なのでは?!という期待が高まっています。

Glass EE2 スペック紹介

SoCは世界初の AR/VR 専用SoCとして開発された Qualcomm の「Snapdragon XR1」を搭載。ARに特化したパフォーマンスの向上や節電機能をサポートしています。

本体上部には、8Mp (800万画素) のカメラを搭載しています。画素数だけ見れば iPhone 6 の背面カメラと同じスペックです。最近のスマホと比べれると見劣りしてしまいますが、それでも最新の iPhone / Pixel の正面カメラ程度のスペックがあります。

Wi-Fi, Bluetooth も標準サポートしています。Glass 単体でネットワークに接続して処理を行ったり、他の Bluetooth 機器を接続して操作することも可能です。

一番特筆すべきこと、そして開発者として嬉しいのは、OSが Android OS (Android 8.1 Oreo: API 27) ということです。スマートフォン向けのアプリ開発と同じく、Android Studio を使って Glass 向けアプリを開発することができます。
専用のアプリを使わないと動かせなかったり、プリインストールアプリしか使えないスマートグラスが多い中で、自分でアプリを作って動かすことができるというのは開発者にとって大きな魅力ではないでしょうか。
ただ、まだ開発環境に Glass 用の Emulator が存在しなかったり、Glass 自身が GMS (Google Mobile Services) をサポートしていないために使えるSDKやAPIに制限があるなど、不便な点は残ります。今後のサポート改善に期待したいところです。

購入方法と配送について

今回は、公式にハードウェア販売業者として紹介されている Mobile Advance から購入しました。
一般解禁のニュースで品薄になるのが心配でしたが、意外とすんなり買うことができました。

なぜか $104 ディスカウントされて売られているのは謎

Mobile Advance はアメリカ国内への配送にしか対応していないので、直接日本に商品を送ることができません。
そこで今回は、PLANET EXPRESS という個人輸入用の荷物転送サービスを使いました。

購入の流れをまとめると、次のようになります。

  1. PLANET EXPRESS でアメリカ国内の住所を作成する
  2. Mobile Advance で商品を購入し、先に作成した住所に配送する
  3. PLANET EXPRESS が商品を受け取り、指定された日本の住所に転送する

時間と手間はかかりますが、これが現時点で Glass を買うための最短ルートだと思います。

配送中はずっとそわそわしながら追跡番号を眺めていました。

ちなみに日本に荷物を転送する際に必要な税関申告書も、PLANET EXPRESS 上での入力することができます。

PLANET EXPRESS は全体的にサイトUIがモダンでわかりやすく、やることリストのフォローも丁寧で本当に助かりました。日本語にも対応しているので英語に不慣れでも安心です。
当初、個人輸入は手続きが煩雑で難しいというイメージがあったのですが、終わってみると特に何の問題もなく、全体を通してスムーズに手続きを進めることができました。

発送に関する情報もわかりやすくまとまっていて丁寧

一連の手続きにかかった時間は、次の通りです。

  • 購入: 2/5
  • Mobile Advance からの発送: 2/6
  • アメリカ国内の配送: 2/6 ~ 2/10
  • PLANET EXPRESS での転送手続き: 2/10 ~ 2/11
  • アメリカから日本への配送: 2/11 ~ 2/16
  • 計 11日間

今回の場合、アメリカ国内での配送に少し時間がかかりましたが、購入先や配送設定によってはもう2, 3日早くなるかもしれません。

価格と配送料

購入に際して一番の気になるポイントは価格(と配送料)だと思います。今回かかった本体代と配送料、その他諸経費は次の通りです。(1ドル = 109円換算)

  • Google Glass 本体: 1,308.53 USD (142,630 JPY)
  • PLANET EXPRESS 配送: 68.49 USD (7,465 JPY)
  • 輸入に伴う諸経費 (輸入内国消費税, 立替納税手数料) : 9,500 JPY
  • 159,595 JPY

PLANET EXPRESS の配送オプションを追加(梱包材を追加したり速達にしたり)したので、ここを削ればもう少し配送料を抑えられるかもしれません。

技適について

当初、Glass EE2 は日本国内の技適通ってないんじゃないか…? という疑惑がありましたが、技適取得済みでした。(Google からの申請ではなく、認証機関による代理申請)

既に技適認証済みなので本来は必要ありませんが、今回は念のため(あと後学のために)個人で技適特例申請を行いました。

総務省のホームページから次のような申請書を作成し、無線局(関東地方の場合は関東総合通信局)に提出もしくは郵送します。

せっかくなので、今回は九段下の関東総合通信局に直接行ってみました。

電波利用企画課の担当者の方に申請書を手渡しし、機器使用に関する簡単な質疑応答を経て手続き完了です。

余談ですが、総務省のオフィスということでどんな物々しい雰囲気なんだろう…と緊張していったのですが、実際は普通のオフィスで(町役場のようなイメージ)、担当者の方も気さくに対応してくださったので安心しました。

所感

本格的なARデバイスの導入例はまだエンタープライズ領域が中心ですが、開発者が増えればそのうちエンドユーザー向けのデバイスも再登場するかもしれません。
Glass EE2 がその流れの先駆者になることを願いつつ、まずは個人で色々なアプリを試作してみたいと思います。

Project Glass のコンセプトムービーが発表されてからもうすぐ丸8年、早くこんな未来が来るといいですね。

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