今回はシリコンバレーのUXでUX For Lean Startupsと並んで、話題になっているTHE USER EXPERIENCE TEAM OF ONEを紹介します。

http://rosenfeldmedia.com/books/the-user-experience-team-of-one/

最近では日本でもUXデザイナー/エンジニアというUXを専門とする職種が見受けられるようになってきました。

しかし、まだまだUXデザイナーの実務までイメージできる人は、少ないのではないでしょうか。 実際に私もそうでした。UXチームを作ったけど、何をすればいいのか分からない。UXを体系的に改善していきたいけど、何から始めればいいか分からない。そういった人は多いと思います。

The UX Team of Oneでは、UXをゼロ(コンセプト含め)から創り上げていくプロセスを実務レベルで解説してくれています。実際に使われているサンプルも多く紹介されていますので、成果物のイメージも付きやすいです。

この本の著者のLeah Buleyは、Adaptive Pathなどを経て10年以上の間シリコンバレーでUXデザイナーとして活躍している、UXデザイナーのパイオニア的な存在です。

残念ながら、こちらもUX For Lean Startupsと同様にまだ和訳がされていませんが、UXを学ぶうえで非常に優れた書籍ですのでオススメです。今回は概要を紹介します。

誰のための本か?

Who should Read This Book?

著者は基本的にUXに興味のあるすべての人を対象にしているが、特に以下のような2人のペルソナを想定していると述べています。

1. これからUXのプロフェッショナルになりたい人

現在プロダクトチームに所属しておりUX以外の役割をしているが、 これからUXのプロフェッショナルになりたいと考えている人。

こちらに当てはまる人は、Chapter1とChapter2は必須です。

2. チームの生産性を上げたいと考えている人

もっと各領域間での生産性を上げたいと考えているリーダーの人。

こちらに当てはまる人はChapter3とChapter4をおすすめします。

何が書かれているの?

What’s In This Book?

本書は2部構成になっており、1部がセオリーで、2部が手法の話になっています。各章を簡単に紹介します。

Part 1. Philosophy

Chapter1. UX101

UXとは何か、どのようにしたらUX専門家になれるかを説明しています。

UXの改善をしていく上で、デザイナー、ディベロッパー、コピーライターなど様々なバックグラウンドが、どのように活きてくるのかが丁寧に書かれています。

Chapter2. Getting Started

始めることにフォーカスして、ユーザーリサーチの基礎やUXチームの目指すべき方向性ついて解説します

UXチームを始める上で参考にる書籍(後日詳しく紹介します)や様々なUXのモデルの紹介、全体的な”UXをつくる流れ”が書かれています。

Chapter3. Building and Support for Your Work

UXチームをつくる上で一番難しい、協力体制の作り方について解説しています

良いUX作っていく上で扱いにくい人たちの具体例をあげて、その対処法を提案しています。

Chapter4. Growing Yourself and Your Carrer

あなた自身がどうやってUXのキャリアを築いていくかについてお伝えします

UXのキャリアを築く上で役に立つコミュニティやサイト、本を紹介しています。

Part Ⅱ Practice

Chapter5. Planning and Discovery Methods

あなたが成功するUXのプロジェクトを始める手助けをします。ここには、プロジェクトの要件や期待を導き出してプランニングし、その戦略をどうやってチームに伝えるかについても書いています。

UXの戦略を立てる上で必要なステップやそこで使っているスケジュールのサンプル、プロジェクトのサンプルブリーフも知ることが出来ます。

Chapter6. Research Methods

UXの中心的な存在であるユーザーリサーチについて解説します。競合のリサーチについても触れいています。

Chapter7. Design Methods

包括的で、参加型のユーザー体験デザインの手法をお伝えします

ユーザーリサーチを元に、どうやってワイヤーフレームをつくりあげていくかが書かれています。デザインの土台になるデザインブリーフやプリンシプルのサンプルも紹介されています。

Chapter8. Testing and Validation Methods

正しい方向に導くための、戦略やリサーチ、デザインについての検証方法をお伝えします

プロトタイプをつくり、ユーザビリティテストなどの検証を行って、最後にヘルスチェックをしてリリースするところまでが書かれています。

Chapter9. Evangelism Methods

ここまで解説したUXの哲学や手法を、どうやってチーム全体に浸透させていくかについて書いてあります

ここではUX自体の価値を高めるために実践できることが書かれています。いままでに手掛けた、自分のプロジェクトのケーススタディー書き方や、勉強会の開催などです。

Chapter10. What’s Next

最後にUXのこれからと、そこでのあなたのキャリア形成についてお話しています

これから何回かに分けて、この本に書かれていることについて紹介していこうと思います。

--

--

Shingo Hagiwara

サンフランシスコと東京でエンジニアをしています。SFまわりの話題について書いています。 @AppSocially / @ChatCenteriO