スマホから変わる世界(後編)
前編では、スマホによるメディア接触時間の爆発から、ソーシャルメディアが生まれ、情報がターゲッティングされて届けられ、ユーザーの頭の中が、画一化されない様になり結果として、マスメディアによるマスブランドが作りにくくなっていると説明をしました。
スマートフォンの時間消費シェアが高まるにつれ、情報の流れはソーシャルメディアやSMSやWhatappやLINEから、コンテンツとなっていきます。コンテンツはこれまではデータとしてWebやアプリとして提供をされてきました。これらのデータが現在は、シェアされ、メッセージされ、物凄い勢いで拡がっていきます。1日のアプリ使用時間をみればどこで情報をやり取りしているのかは明らかです。
同時に、スマホでの接続時間が長くなればなるほどスマホのメディアは実はブランド構築ケイパビリティが上がっており滞在時間を考えるとメディアブランドの下で、メディアからの自社オフラインへの送客が本来は可能になっている筈です。何社かは既にオフライン店舗を作っていますが、今後は益々その様なオフライン店舗展開とメディア接触時間のブランド構築が増えてくると思います。
こういう風に考えてみればいいかもしれません。我々はスマートフォンが作るサイバー空間に住んでいます。しかもそれは、1日のうちに2時間、ともすれば5時間もスマートフォンの作るサイバー空間に住んでいる。現実世界の1/6から1/10程度まで侵食をしてきています。しかも、情報への接触という意味では、実は物理的な接触以外は、現実世界での接触より多くの影響を受けていると思います。オフラインの世界では、食事を食べたり、運動をしたり、会話をしたりしていますが、会話時間は既にオンラインの方が多かったりします。
今までのスマートフォンによるビジネスの勃興は、このサイバー空間での領地争いでした。サイバー空間は拡大し続けていますが、少しずつ緩やかになってきているはずです。しかし、情報量は益々増えていっている。
だからこそ最適化がされて行っています。今後は、空間の拡大とデータの成長とアルゴリズムによる最適化の中で各プレイヤーが戦うことになります。最近は、スマートフォンのメディアが以前より立ち上がりにくくなりつつあるのは、空間拡大が過渡期にあるのに、情報は増え続けているからです。
では今度はこの領地争いはどこにいくのか。それは、オフラインにいきます。これまではサイバー空間のシェアが低かったので、あまりオフラインとの戦いは強くありませんでした。しかし、ここまでシェアが高まると話が変わってきます。
しかし、オンラインとオフラインをどうやって繋ぐのか。それは、IoTです。IoTとスマートフォンの決済により、お金とトランザクションとその後の命令が繋がる様になってきています。そして、IoTやユーザーとオフラインプロダクトの直接的な会話をできるようにする事で、オンラインの世界で起きた、情報の最適化が出来る様になります。
これまでは、ソーシャルメディアやアプリで、リンクをクリックし、命令をし、何らかのデータベースを動かし、コンテンツを返していたものが、実際のものを動かし始めます。しかも、ユーザーとサービス提供者側はリアルタイムで会話する事ができ、フィードバックも貰えるようになります。
我々が投資をしているドライブジーという会社も、バイクも車も、スマートフォンで、エンジンもかけれるし、ある一定の地域から外に出るとエンジンを止めることもできます。バイクや車がどこにいるかも全て把握できます。どこに車を置くかも配置を制御できます。
領地争いの事を思い出して下さい。最初はスマホでは、広告システムも無かった。広告配信システムを作り、SDKなどが作られ、ゲームではUnityなども出てきて、アプリをAndroid,iOS両方出かけるようなエンジンも出てきてと、スマートフォンのサイバー空間を形作る、ツールが生まれコンテンツが増え、最適化が行われる。そして今度はオフラインの世界を同じように再構築する仕組みが求められています。
それは、決済とサイバー空間を繋ぐものIoT(最近日本でもQRコード決済戦争が起きていますが)、繋ぐ時に高速で通信するインフラ(5G,エッジコンピューティング)、最適化(Deep learning, Quantum computing)、などが必要になってきます。Airbnbなども、シェアリングエコノミーの台頭という風潮よりも、私はIoT器機のより、解錠、台頭によるホテルフロントの要らないコスト削減と家がホテルに変わるという供給可能性の拡大による強烈な価格破壊だと考えています。Uberなども、現実世界の車とサイバー空間のスマホからのリアルタイムマッチングです。
今の日本のスタートアップを見ていると、SaaSモデルのBtoB領域にいく方々が多く、そこは会社内空間のサイバー空間化でもあります。その中での最適化も多く見受けられます。
しかし、もう少し長い目でこういう風に物事を考えると、サイバー空間とリアル空間接点を再構築するというパーツをまだ作っている時期に今はあります。ちょうどスマホが出てきた時にスマホサイバー空間を作るためのアプリやSDKなどのツールが作られたみたいな状態です。
自分たちがどの空間の為のどの時間軸にいるのか、そういうフレームワーク仕をもつと、次にやるべきことは自然と見えてくるかもしれません。