Shinji Kimura
5 min readMay 30, 2019

日本はどうやって、デジタルエコノミーに移るのか?

この2年ほど、新聞やメディアでデジタルエコノミーについての記事を事が多い。私が属するネット業界も、中国やインドネシア、インド、アメリカを意識して、日本は遅れてる、遅れてると嘆いている。

私は、インド、インドネシア、日本、シンガポールでそれぞれの国で起こっている事を観察しながら、各国でのデジタルエコノミーへどうやって移行するのかを考えている。

前提として、それぞれの国は、これまでにインフラを投資した金額が全く違う。そして、今一番進んでいるのは中国だ。デジタルエコノミーとは、日常で起こるトランザクションがインターネットにデータとして吸い上げられ、さまざまなサービスがそのデータを元に提供される状況と考えている。

まず、シンガポールの状況はこうだ。シンガポールはGDP per Capitaも日本の2.5倍ほどあり、先進国だ。しかし、フィンテックもシェアエコもあまり進んでいない。理由は、シンガポールは、元々国主導のデビットカード決済網が発達していて、わざわざアプリで決済する必要が少ない。E コマースも、普通程度に発達していて、オンデマンドデリバリーは日本より普及している。だが、インドやインドネシアほど、それが普及しているかというとまだまだだ。勿論Grabタクシーで、タクシーは直ぐに呼べるし、所謂白タクもオッケーだ。(出来ないのは日本だけ)。

だから、日常生活のトランザクションがアプリで完結するなどという状況ではなく、物理カードと少々のEコマースといった感じだ。これはこれまでインフラ投資をしっかりしてきたからだと言える。だから、シンガポールは実はデジタルエコノミーに移れていない。アプリ経由でデータが吸い上げられてない。データが吸い上げられてないということは、そこから、信用が生まれたり、個人へのクレジットが生まれたりしていない。

一方、インドやインドネシアはどうかというと、道もボコボコだし、地下鉄も出来たばかりだし、インドはまだ無い。その中で輸送網をどうやって作るのかというと、バイクやタクシーがアプリで、呼ばれ、そして価値を運ぶ、人を運ぶ。スマホでオンデマンドでマッチングされ、実店舗ではなく、デリバリーで物が配送される。

中国は、決済を中心に、インフラ整備された状態で、それが起こっている。インドやインドネシアは、飛び越えた発展をしている。中国は、シンガポールとインド、インドネシアとの間の状態だ。だから、インドネシアでは交通系のアプリが使われて、それがハブとなって決済が発達していっている。インドは、交通系がカバーできないレベルなので、その前にpaytmが市場を使ってしまっている。日本では本来は交通系がアプリを作ればいいのに、それをやろうとしない。なので、無理をしてペイメントアプリをみなこしらえている。

インドとシンガポールと中国は国民IDが整備されている。これはデジタルエコノミーには切っても切り離せないポイントだ。デジタルエコノミーは、トランザクションをトラックするので高い確率で決済や、送金が発生する。その為にはマネロン対策が国際金融の観点では重要となる。日本は、国民IDがなく、フィンテックサービスに参加するのに、物理的に手紙を送り本人認証をする必要があった。今はeKYCが認められたが、それでも名寄せする国民IDがない。

次に日本は、インフラとしてどこの国より立派に整備されている。歩けばお店があるし、高速道路にもサービスエリアがあり、人が動くとお金が落ちる仕組みがある。これはこれで価値があるインフラだ。他国は喉から手が出るほど欲しい。しかし、オンラインで動かなくても、何でも事がたりてしまう。特にコンビニの存在。所謂、ニューリテールと言われるものは、日本ではコンビニがそもそも価値提供してしまっている。

こうなると、ニューリテールをやろうと思っても中々ユーザーが動かない。なので、バイクなどでのデリバリーがなかなか育たない。勿論働き手の問題もある。

じゃあ、どうやって、デジタルエコノミーに移るのか?消費は簡単にはデジタルエコノミーには移らなそうなので、個人的にはそこは決済しかないなぁと思う。日本はこれまで、デビットカードを普及させて来なかった。これは様々な思惑がはいっているのだが、カードはクレジットカードばかりで、その為手数料が高く、ユーザーもローンの様に思い、クレジットカードは使いたくないという人も多い。しかし、オフラインでのトランザクションをトラックするには、決済で世の中をカバーするしか無さそうだ。しかし、その為には、KYCと国民IDが無さすぎる。(銀行の口座連携もやりにく過ぎる)。

PayPayやLine Payなどが、一社一社個人認証しているのは、多大なる損失で、壮絶な無駄だ。ここは国民IDを作る。SMSを駆使する。銀行口座の連携を簡単にし、スマホを決済端末に仕上げる事で、日本は一気にデジタルエコノミー先進国に躍り出る事ができる。そうなると、別に中国のようにデリバリーが直ぐ来なくてもいい。(そこは本質的なデジタルエコノミーではない)。今まで通り生活していれば、あらゆるトランザクションがスムーズになる。国民IDで認証されたスマホ端末で、保険にも直ぐに申し込める。日頃の生活でローンもわかる。銀行口座の残高を同時につなぎ混んでみれることで、信用情報の質が変わる。日本は既にインフラが整っているので、新興国よりも、そもそも便利だ。公共交通機関もスムーズに使えるようになり、ラストワンマイルの移動が整えば、遜色ない都市になるんではないかと思う。