生産の効率化から所有の効率化へ。生産の資本主義と所有効率化の資本主義の戦い

Shinji Kimura
4 min readFeb 4, 2016

--

物がデジタルになればなるほど、アクセスしやすくなり、その購買価値は薄まるとします。簡単に借りたりシェアできるようになる。

これが大きな経済的な問題を生むのではないかと危惧しています。

物が実際に人前でひけらされたりする機会が減って、他人がそれを欲しいという事が少なくなります。

例えば、実際に本やDVDがヒットソングが生まれなくなってきていて(一つ一つの商品自体の価値が流通し、アクセスしやすくなることで、)、価値が落ちていっています。

なので、単品では売れず月額でいつでもどこでも聞けることを価値として売るしくなってきてます。

これを貨幣というもので考えた時に、貨幣も同様にどんどんデジタル化していっています。デジタル化されればされるほどその貨幣の価値が落ちていき、簡単に使われしまうようになるでしょう。

クレジットカードを使うと必要以上に使ってしまうので、実際に簡単にアクセスできるからこそ、お金の価値が下がり簡単に使ってしまうのだと思います。また、お金を人前でひけらかす機会が少なくなるので、お金を持ちたいという欲求が減ります。

その欲求を利用した物が、カードの色グレードや、ブランド品です。クレジットカードにすると、お金自体はアクセスしやすくなるので、使ってしまいます。しかし、同時に現金をひけらかす機会が社会から消えるわけではなく、人間はその欲求をブランド品やカードのグレードなどにぶつけています。

つまり、お金がデジタルになればなるほど、アクセスしやすさが増えて、使いやすくなる。つまりお金の価値が下がります。同時に、分かりやすい現金の代わりに、価値もあまりない分かりやすいブランド品を買います。そうでないと、この世界にお金が具現化しないからです。

欲求は、更に別のところに向かいます。音楽だとライブだし、逆に映画館が栄えたりするのではないでしょうか。手元で聞く音楽が価値がないように思えてくるので相対的に他のものの価値が高く感じれるようになります。

今度はさらに、シェアリングエコノミーやオンラインショッピングを考えます。

シェアリングエコノミーや、アマゾンで買い物をしていると、非常に簡単にものにアクセスする事が増えています。そうなると、Uberなどで、車の価値が下がっていき、人々は車それ自体には興味を抱かなくなっていきます。逆に、スポーツカーや高級外車は衰えることを知らない気がします。今後自動運転自動車とUBERの組み合わせが出てくるとして、車は劇的に価値が下がっていく気がします。

今後起きる様々な情報やモノへのスマホからのアクセス革命というのは、それに関わるものの価値を劇的に減らして、産業そのものを壊し始めるのではないかと感じています。

つまり、これまで所有というものは、個人という境界性が存在していて効率化の波には晒されていなかったのですが、デジタル化されることで、個人の所有の価値というものが薄れ様々な物が共有されるようになる。

これまで資本主義は、能力や生産性が高いところにお金を集め、物やサービスを作り、個人に対して提供をしてきました。

今後は更に保有を集約することが可能になってきました。資本主義は新たな時代に入りつつあるのではないかなと思います。

これまでは資本主義で物を作り、社会をもので溢れさせて成長してきましたが、今後は資本主義がその逆の向きの戦いをしていく。つまり物で溢れかえった生活空間の効率化です。

こうした変化がスマホによって新エコノミーとして台頭してきており、それは同時に消費を殺し生産を殺してしまい、需給バランスを大きく崩してしまうのではないかと、今後の先行きに非常に不安を覚えてしまいます。

デジタル化とスマホが生んでいるこの大きな流れ。人々の欲求がこれまでとは違う井戸から吹き出してきそうです。

--

--