1年の振り返り

Shinji Kimura
4 min readDec 30, 2015

--

インターネットビジネスからテクノロジーが少しずつ複雑になってきているのがこの1年の実感です。ハードウェアとソフトウェア両方を理解してビジネスを作っていける起業家が求められて来ていると感じています。

今年の初めにロボット産業が必然になり始める年になるだろうと書いた通りになってきていて、人口減からの人手不足のせいで、ロボットを導入する心理的ハードルが低くなってきています。ここから10年は大きく動く市場になると思います。

スマートフォン周辺で起こっているイノベーションとしては、日常生活から物が消え、スマートフォンが接触点になりつつあるものが大きく躍進していると思います。情報がテールから溢れ、日常での接触ポイントが減ったせいでヒットソングが生まれなくなり、情報の価値が平坦化しつつあるため大量の情報にアクセスできる月額課金のサービスに移りつつあります。Spotify, Hulu,Netflixなど月額課金ですが、情報が溢れているコンテンツは月額課金に次第になっていきます。アマゾンもそういう戦略で市場を呑み込みつつ有ります。

よく考えると、SpotifyもNetflixもある意味クラウドソーシングの製品を月額課金で購入している形とも見れて、クラウドソーシングでの商品を月額課金で購入できるとサービスが今後考えられるとも言えるかもしれません。作品量やワーカー量が増えれば増えるほど平準化されるので、そうなるのかもしれません。

インターネットが拡大するに連れて、決済の10%などお金をもらっているサービスは確実に淘汰されていくと思っています。それだけの付加価値が無いのは明らかなのです。eコマースが拡大しない理由もこの手数料にもあります。

フィンテックについて、先日も少しディスカッションで話をしたのですが、物が日常から消えてデジタルになっているのと同じで、オンライン振込が普及して、銀行に直接いかなくなっているという事実をお金に変えていったほうがいいと思います。フィンテックそのものは、プライベートのブロックチェーンも含めて、基本的には便利にはなりますが、コスト削減のビジネスが多いのでそれだけでは規模を拡大するのは難しいと思います。

Squareなどの決済のビジネスについては、投資先のコイニーが好調でこの1年で大幅に躍進した通り市場は急速に拡大します。この分野はソフトウェアがまだ入り込んでいませんので、ソフトウェアに転換することで市場として出来る事が拡大します。今はまだSquareも含めてまだ入り口を拡大しているに過ぎません。決済ビジネスとしてみても規模も出ますが、それよりもその後ドミナントになった後のビジネスにも充分価値があります。なぜなら、決済端末、POSは、店頭にあって、そこにソフトウェアで出来ることはまだまだ残されているからです。

Fintechについて、その中でBitcoinについても語られることは多く、ブロックチェーンとの切り離しも曖昧なままだと思います。ビットコインは2年前にビットフライヤーに投資をしていますが、この時から皆鼻で笑っていました。今年はそれが少しずつ変わって来た年になります。インターネットが始まった頃も同じように誰がe-mailを受け取るんだ?って馬鹿にされてましたが、誰がWalletでビットコインを受け取るんだという話とそっくりです。ブロックチェーンについては、銀行など金融機関が少しずつ興味を持ち始めていますが、コスト削減としては魅力的ではあると思います。しかし、ビザンチン将軍問題を解決したビットコインのシステムは革命的であり、本来のイノベーションはビットコインに内在しています。

この2,3年でATMでビットコインからキャッシュを引き下ろせたり、デビットカード、クレジットカードでウォレットから直接通貨を使えたりと各社が競争して既存の通貨とシームレスに使える仕組みが導入されていくでしょう。ネット業界の方も含め、誰がビットコインで日常決済するんだと多くの人が言いますが、そうではなく、既存通貨とシームレスに使える様になるとビットコインでの支払うという仕組みは表上は必要なくなります。ビットコインそのものの総額は7000億円程度です。これがこの数年でどこまで行くのかが見ものです。金が600兆円程度なのを考えると通貨という概念そのものがどう変わるのかが非常に楽しみです。このような場面に出くわすことはなかなかできません。(つづく)

--

--