アフィリエイトでもないのにインタラクティブ・ブローカーズ証券の紹介記事を書く

shintaro_toyoguchi
8 min readNov 2, 2016

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「オススメの証券会社を紹介します!」と言われると99.9974%くらいの確率でアフィリエイトだろ、と疑ってしまうこのご時世に、アフィリエイトではないのに証券会社をオススメする記事を書く意味は果たして何だろうか、と思われるだろう。

今回わざわざ記事にして紹介するインタラクティブ・ブローカーズ証券(Interactive brokers 個人的な通称:IB証券)は、米系のオンライン証券で、筆者が知る中では最強の証券会社である。

理由は端的に言って「日本の顧客が少ないから日本撤退します、と言われるのを危惧している」という一点に尽きる。実に切実である(執筆時点では特に撤退、という話が出ている訳ではないので、あしからず)。

何者なのか

日頃から投資をされている方は何となく分かるかもしれない。

「あ、ちょくちょくTwitterやFacebookにDAXのスプレッド縮小とか広告出してる業者ね。」

違います、それはIG証券です。

「分かった、株価指数のバイナリーオプションの広告をガンガン出してる業者でしょう。」

違います、それもIG証券です。

「じゃあ、任天堂の株もCFDで少額から投資可能、というような広告出してる…」

違います、それも(以下略)

そう、普通の人が見かけているのは全て「IG証券」であって「IB証券」ではないのである。早速、以下が会社のHPである。

沿革等はHPを参照した方が早いが、物凄く掻い摘むと、「米系の大手オンライン証券」である(掻い摘み過ぎてほとんど残っていない例)。

※ちなみにIG証券はイギリス系の証券会社

トレーダーが明日にもIB証券を使わざるを得なくなるメリット5選

妙に煽っていく感じに仕上がっているが、メリットは確かに多い。

世界中の個別株、先物(株価指数、債券、為替、商品)、オプション、FX、債券、ETF、CFDの取引が可能

日本の証券会社と比較して桁外れに取扱商品の種類が多い。多過ぎて筆者も把握しきれていないが、探した中で、取引所に上場している銘柄で、かつ取引不能だったのは東京金融取引所のユーロ円3ヶ月金利先物くらいで、正直取引する気もないものだったので無害である(TFXの人に確実に怒られそうである)。

特に日本国債先物を取引している筆者としては、オンライン証券で取引可能なのはIBと光世証券の2社というシビアな環境になっており、無くてはならない存在になっている。

低水準の取引手数料

先物に関しては筆者が銀行員時代に、国内の大手銀行系証券経由で取引をすることがあったが、目も当てられない手数料であったのと比べるとかなり良心的である。

APIでマーケットデータ取得や自動売買が可能

極めて重要なポイント。Excel、Java、C++、C#、.NETでAPIを公開しており、これを使えば現在の為替レートをExcelに表示したり、先物価格を直接DBに取り込むことが可能になる。

国内では楽天証券RSSや岡三オンラインRSS等があるが、取得可能なデータの種類がかなり少ない(ほぼ日本株と日経先物+Optionのみ)のに対し、取扱商品の多さに連動して、取得可能なデータの種類も多い。また、楽天RSSは過去のデータを遡って取ることができないが、IB証券ではそれが可能である。

するめいか的な魅力を持つ取引ツール、TWSの存在

IB証券の基本的な取引ツールは、「Trader Work Station(TWS)」と呼ばれる。見た目はちょっと懐かしい感じではあるし、名前がそのまんま過ぎる感が否めないが、使っているとなかなか優秀なツールであることに気付かされる。レイアウト設定の自由度の高さ等、一般的なメリットを除くと以下が挙げられる。

  • 国内証券ではほぼ見ることのないオプションのスマイルカーブ表示機能を備える(オプションに関しては権利行使価格毎の建玉グラフ等もある)
  • 地味にMacでも使用可能
  • 基本使用料無料
  • Bloomberg TVが見れる(笑)

米系と言っても日本支社があるので、日本語でカスタマーサービス対応が可能

海外証券会社、と言われると英語で問い合わせたり…と色々な面倒が想定されるが、IB証券は国内に支社があり、日本語で対応してくれるので問題無い。

…いかがだろうか。もう口座開設せずにはいられない、というところであろうが、勿論デメリットもある。

やや困るデメリット

デメリット側は「n選」ではないのは多少のバイアスだろうか。

国内口座と海外口座が別建て

実は大証の日経平均先物(国内口座扱い)と、CMEの日経平均先物(海外口座扱い)で口座が別に必要になってしまう。証拠金の融通が不可能なので、完全に別建てと考えて良い。国内口座は個別株と先物、オプションくらいしかないので、海外口座を開いてしまい、日経平均先物はSGXとCMEで対応するのが無難か。日経オプションは大証以外はほぼ使えないが、日経オプションやってる人少ないからまあ実害はあまりないでしょう(筆者は困っているが)。

これに関しては、これでも実は比較的便利な仕様である。国内でもCFDの取り扱いのある業者がいるので、海外系の株価指数や商品先物関連を取引したければ、そちらの方が良いのでは、という意見はあるだろうが、CFD口座は原資産の種類(株、為替、商品)によって口座が分かれて、それぞれでロスカット判定が実施されるケースがあるので、全体でリスク管理が為されるIB証券の方が取引し易い。

海外口座の場合は海外送金扱いなので、手間と金がかかる

上の議論を踏まえて海外口座にした場合、米国のIB証券に入金することとなり、海外送金扱いとなる。国内では楽天銀行が最低水準の手数料で海外送金を取り扱っているが、普通の国内証券では無料のリアルタイム入出金が定着する中で、手数料+1~2日の送金タイムラグの存在は人によってはかなり困る可能性はある。

リアルタイムのマーケットデータは有料

これはIB証券が悪い、という話ではなく、本来どこでもそうなのだが、株価や先物価格といったデータは基本的には取引所から買うものである。日本のオンライン証券では、このデータ料を顧客に代わって払っているから、個人投資家はマーケットデータに金を払う、という発想が無いかもしれない。とは言え、例えば証券会社の取引ツールはある程度取引しないと有料になったりするのは、ツール自体の開発費用の回収、という目的以外に、マーケットデータ料の回収という意味合いも入っているからである。反面、上述のTWSというツール自体は完全に無料なのでそこの心配は不要である。

実際、Bloomberg端末等でリアルタイムのデータを見ようとしても、端末経由で取引所と契約する必要があるので、どうしても逃れられない費用と考えて良いのではないか。

最低100万は入金しておかないと、口座維持手数料が発生

そのまんまである。ただ、マーケットデータ料を取られたり、海外送金の手数料がかかることを考えると、そもそも少額でIB証券を使うメリットは少ないので、やるなら口座維持手数料関係無しに、それなりの金額を入れておいた方が良いだろう。

色々できるようで、バニラFXオプションは取り扱っていない

国内でそもそもバニラFXオプションの需要が果たしてどの程度あるのか未知数だが、個人的には欲しい商品である(SAXOBANKにはあるのに…)。まあCMEの上場FXオプションで我慢するしか無いか…

総括

最後にポイントをまとめよう。

  • 世界中の個別株、先物(株価指数、債券、為替、商品)、オプション、FX、債券、ETF、CFDの取引が可能
  • 取引手数料は低水準
  • APIでマーケットデータ取得や自動売買が可能

…色々省いた気がするが、伝えたいことをシンプルにまとめるとこうなる、ということで。

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