「サービスが先、利益は後」という発想

先日書いたニトリの会長の偉大さについてのブログがだいぶ多くの人に読んでもらえたが、今回はあのクロネコヤマトの宅急便の生みの親、小倉昌男さんの考える「本質」について書いてみようと思います。


小倉さんの考える本質は

①「サービスが先、利益は後」
②決断のための予測には、それを筋道立てて説明できる論理が必要。

の2点。

「しっかりと根拠のある予測を立てて、そのために必要なことを導き出しなさい。その”必要なこと”を満たすことが重要ならば、それは利益にも先立って追い求めるべきものである」

というのが要点なのでしょう。

小倉さんは、「絶対に儲からない」と言われ多くの運送業者が避けてきた個人間物流領域にチャレンジし、そこで覇権をとって今の「クロネコヤマトの宅急便」を築きあげてきた方。

しかし、「儲からない」と言われてきた領域に敢えてチャレンジできたのは精緻な「利益が出るための条件」の分析があったからでしょう。

ここで少しばかり、当時の小倉さんの判断を振り返ります。

ネットワークシステム全体の損益分岐点がいくらくらいで、何年経てば超えることができるかはなかなかわからないが、集配車1台あたりのコストははっきりするし、1日に何個扱えば損益分岐点を越すかもはっきりしている。おそらく、4〜5年で利益が出るようになるのではないか。個人からの荷物の宅配は絶対儲かる。問題は、1台あたりの集配個数をいかに増やすかにかかっている。新しい市場に転換しても儲かるはずだ。ーー私は強く確信したのである。
(中略)
宅急便の採算を考える場合、費用は集配車の一日あたりのコストであり、固定的な要素が強い。問題は収入である。単価は郵便小包との関係で500円以上取れないから、1日何個集荷できるかにかかってくる。つまり荷物の”密度の濃さ”が重要になる。需要は人口の関数だろう。車両の作業効率は受け持ち区域の広さによって変わってくる。そうすると、初年度の赤字は必至であるが、何年かすると損益分岐点を越すかもしれない。そこまで考えて宅急便の成否を見通した人はいなかったと思う。そして、5年後に宅急便が黒字を出すと、今度はその理由も考えずにいきなり35社も新規参入してくるありさまである。だかか今は1社のみ残し、全て撤退してしまっている。

そこには1台あたりの集配個数、すなわち”荷物の密度の濃さ”が重要であり、一定の状態をクリアした後に「損益分岐点を超える」という確信があったのである。

だからこその「サービスが先、利益は後」である。

という言葉。

1台あたりの集配個数を上げるためには「多くの人に、何度も」使ってもらう必要がある。それが至上命題だとわかっているからこそ、「これからは収支のことは一切言わない。その代わりサービスのことは厳しく追求する」と全社の方向性を定められるし、一例として、「ドライバーが足りないが人件費が上がるから迷っている」という過疎地域で働く社員からの問いに対して「サービスの質が上がるのであれば、それを考える時間がもったいない」と背中を押すことができる。

小倉さん曰く、

一生懸命頑張ってネットワークを作り上げる。そのネットワークの上を毎日荷物が流れていく。それがある日、ある数を越した時じわりと利益がにじみ出てくる。段々にじみ出る日が多くなると、ネットワークのどこからか利益がポタリポタリと滴り落ちる。そしてやがてそれが集まってチョロチョロとたまり始める。どこから出てくるのかは分からないが、全体として利益が出るネットワーク事業というものはそんなものではないだろうか。

という信念が故の戦い方なのである。


もちろん上記のヤマト宅急便の戦い方は地力のある強者の戦い方である。もともと保持していた資産もあり、お金もあった。だからこそ体力を使った勝負ができた。しかし一方ここから学べることも多いように感じるのである。

当然、採算の合わないように思われた事業を始めるにあたり、当時は多くの反対があったという。しかしそれを覆し、思いを貫くことができたのは、予測を構築する強固な筋道と論理があったからでしょう。ここで小倉さんは、「論理の反対は情緒である。情緒的にモノを考える人は経営者には向かない」とときます。(胸が痛い、、、)

まずは前提としての論理だった強い予測が有り、その後に、その予測を実現させる一点集中がある。

ここに、学びのポイントが有るように思います。


小倉さんの著書『経営学』は非常に学びの多い名著でした。
確固たる前提の先にある「一点集中」こそが重要である中で、下記のような気づきも有りました。

確固たる予測なき、「利用者の便益」はどこか不自然だし、予測からずれるほどの「利益(コスト削減)追求」も不自然。予測に基づき、正しいことを愚直に実施する。ここにポイントがやはりあるのでしょう。

以上。

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