レガシー産業を攻めるスタートアップの創業期とは

Shuhei Matsubara
8 min readOct 23, 2018

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2018年6月26日にA1A社を創業して創業約4ヶ月。本格稼働の8月から約3ヶ月が経過しました。

いかに産業の課題を解決していくか、いかに価値を提供していくかについて考え抜く日々の中、やっとα版が完成し、ユーザー様のところに持っていける環境が整ってきました。11月中旬からは実際のトライアルもスタートし、実運用を開始していくというフェーズの中、ここに至るまでの過程を振り返ってみようと思います。

(しかし、準備に準備を重ねて、動くプロダクトが出来上がってくる喜びってホントひとしおです。世の中にない自分たちが作ったプロダクトで、世の中にその価値を問うってすごく刺激的。)

自分たちの製品開発の一番の特徴は、ヒアリングの量、ここに尽きると思います。前職に勤める傍ら、休日や夜などの空いた時間を活用し、ふわふわっとしたアイディアの段階から徹底的にユーザーインタビューを進めてきました。その数、4ヶ月で約100件強。最初は、「現状の課題ってなんですか?」から始まり、そこで出てきた課題をスライドに箇条書きでまとめ、また別の方にヒアリングを実施。その繰り返しでユーザーの課題を研ぎ続けました。(もちろん現在も1日1件以上は継続実施中。)

その過程で、最大公約数的に抽出した幹となる課題と、その課題を解決する解決策を徐々に徐々に具体化しているのが現在です。

現在A1A社では製造業購買部門向けに原価低減を支援する(利益率の向上を支援する)SaaSプロダクトを開発しております。

一方、私個人に購買業務の経験はありません。それでも本事業を始めた理由は、新卒で勤めたキーエンス時代に購買部門との折衝を行う回数が多く、そのやり取りの中で、購買部門の扱うデータ量があまりにも膨大であること、そのデータの扱いの巧拙の差で、「安く」買える企業と「高く」買わざるを得ない会社の差がかなり大きいと感じていたから。そしてもう1点が、VCを経験する中で粗利率の重要性をひしひしと感じたという理由。この2つの経験が相まって、本事業をスタートしました。

”ものづくり”を行う企業にとって、購買調達は自社の競争力を左右する大きな要因です。データの有効活用は、企業の競争力の向上に大きく寄与しえます。

膨大なデータを活用して企業間取引を円滑なものにし、最終的には、自分たちが構築していくプラットフォームの中で新しい革新的なイノベーションがどんどんと生まれてくるような世界を作っていく、それが我々のビジョンです。

とはいえ、大きなビジョンを掲げても、実務がわからなければ、また、現場の課題感がわからなければお話になりません。

だからこそ徹底的にヒアリングを繰り返すことで、現場のリアルを感じつつ事業を組み立てていっているのです。意見を聞き、集約し、自分たちで咀嚼して解決策を見出していく。

この過程の中で、応援してくれる現場の方々、ご経験豊富な重鎮の方々をたくさん見つけることが出来ているのも、得難い大きな財産になっていると日々実感しております。

一方でレガシー産業を攻める難しさを感じている部分もあります。1点目はIT投資がまだまだ遅れている点。

日経新聞の記事にも有るように、日本の多くの企業が現在使用しているシステムには大きく改善の余地が有ります。一方で、どうしてもシステムの果たしている役割が大きすぎるゆえに、なかなか置き換えが難しい。我々のシステムは「置き換え」ではなく「全く新しいもの」です。一方で、他のシステムとの整合性を取るためには、絶妙なバランスでUI/UX、そして、機能を作り上げていく必要がある。「慣れこそが最上のUX」なんて言葉を聞きましたが、そのバランスにしっかりと気を配る必要がある。こちらからの押しつけでは当然喜んでもらえません。あくまでもユーザーの声を聞き、「ユーザーが」価値を感じるプロダクトに仕立てていく必要がある。ここに難しさを感じております。

そして2点目はユーザーへのリーチに工夫が必要であるという点。私たちのサービスのターゲットは非常に層が深く広い。が、一方で、それゆえにリーチがどうしても難しい。ここへの工夫と、リーチ手段のハックこそが自分たちを一歩先に進めるポイントであり、かつ、最大の参入障壁になるのではないかと考えております。

さて、そんな困難さは当然ありながら、一方で、プロダクトを通して価値を提供できている(できそうな)実感は日々感じており、それはそれは刺激的な毎日を送れています。

机の上の汚さはお許しを、、、

いい意味での誤算は、α版とはいえ「とりあえずトライアルしてみませんか」があまり通じず、ご興味をお持ち頂けた企業様が「本格検討」を進められるという点です。企業の根幹部分をサポートさせて頂くプロダクトを提供しているからこそなのかもしれませんが、我々がベンチャーであるとか、そんなことを通り越して、我々の提供する「価値」を真剣にご検討頂ける機会を日々得られています。

また、プロダクトをお見せできるようになってから、得られるフィードバックの具体度合いと解像度の高さがぐんと上がってきている印象を得ています。プロダクトを見せる、本格検討をして頂く、そして11月中旬からクローズド版の実運用を目指して仕様を詰めていく。その過程の中で、これまでは気づけなかった発見や、ユーザー様からの重みあるご意見をどしどし頂いているというのが、いまのタイミングです。

当然α版は「最低限の機能で効果を感じてもらえる」プロダクトとして開発を進めてきました。が一方で、開発が進めば進むほどやりたいことも増え、また、新たな市場がぐっと目の前に広がり、そして、「こうなればもっと多くのユーザーに喜んでもらえる」という姿が日々鮮明になってきています。

だからこそ、今のタイミングで、開発のスピードをぐっと上げていきたい。目の前にいるユーザー様の課題を解決しつつ、大きなマーケットにプロダクトを武器として価値提供していきたい。そう考えているのが、0→1をスタートさせたばかりの我々の強い思いです。

さて、このタイミングでチームを拡大していきたいと考えています。

現状のチームは業務委託を含めて6人。ビジネス2人、エンジニア2(3)人、デザイナー1人というチーム構成。

エンジニアのミーティング風景

この絶賛0→1事業立ち上げフェーズにおいて、ユーザー様にしっかりと価値を提供しつつ、スケールの大きな世界観を一緒に作っていって頂ける方を大募集しております。

現在は毎日のようにいろんな変化が起こります。この変化を、そして、スケールのデカさを楽しんで頂ける方には絶好の環境だと自負しております。レガシー産業、B2B故に、なかなか伝わりづらい部分もあるかも知れません。だからこそ、興味を持って頂けた方はぜひご一報頂けると嬉しいです。お話させてください!

一応参考までに、募集要項は下記内容です、、、

■正社員・副業
<必須>
・RDBMSを使ったウェブアプリケーションの開発経験3年以上
・Rails開発経験1年以上

<歓迎>
・AWS上でアプリケーションを運用した経験

■インターン
<必須>
・ウェブアプリケーションの開発経験
・週3以上

<歓迎>
・Railsでの開発経験

それ以外の方でも、まずお話できたら嬉しいです。ぜひ下記フォームまで!!

https://goo.gl/forms/U6OKQ6rJrqIdIdkh2

正直な所、スモールチームで潜る期間がある程度は続くんだろうなーなんて思ってたところもありました。でもわからないもんですね、今では、業界の課題感をしっかりと尖らせた状態で解決しにいける状態になり、いち早く開発を進めて価値提供していきたい気持ちが本当に強くなりました。逆に、それぐらいの自信を持って自分たちの仮説を提案できる状態になってきているということもできるのでしょう。
(少なくとも僕らチームはそんな確信を持てています!)

そんな楽しいフェーズです。ご連絡、お待ちしております。

以上!

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Shuhei Matsubara

新卒ではキーエンスで中部地区の自動車メーカー攻略に従事し、その後、コロプラネクスト社でVC業務を経験。2018年6月にA1A株式会社を創業いたしました。