【交渉術②】交渉ごとのゴールまでの道筋だて

Shuhei Matsubara
6 min readMay 24, 2016

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前回書いた記事が、「スケジュール管理とスケジュールの共有」に関してでした。

交渉締結に向けての道筋として可視化すべきポイントは「スケジュール」を含めて3つあります。

⑴交渉締結までのスケジュール

⑵交渉締結までに必要な情報の洗い出し

⑶交渉に関わる人たちの相関図

がその3つであり、今回の記事では

⑵交渉締結までに必要な情報の洗い出し

について書きたいと思います。

「購入者は選択するメリットの総量」と「選択しないメリットの総量」

を比較して、最終的に

「選択するメリットの総量」

の方が大きければ、そちらを選択します。

いかに選択するメリットが大きいかをうまく、かつ、わかりやすく伝えるかこそが最重要なポイントであり、客先の印象における総合点でこちらが上回ればそれでいいのです。

そのための情報取り、が今回のテーマです。

サッカーではこんな言葉があります。

「360度の広い視野を持っており、ピッチ内の情報をすべて把握できるのであれば、小学生レベルの選手でもビックスターになれる」

これは交渉においても同じです。

交渉のフィールドに立った時に、相手に関する情報、相手の心情、相手の置かれている状況が手に取るようにわかれば相手をなびかせることは簡単なのです。

そのための情報取りこそが今回のテーマの意味合いであり、かつ、外部要因の把握が次回のテーマである「交渉に関わる人たちの相関図」になります。

そして前回のテーマ、「スケジュールの把握」は、交渉締結後に相手を自分の範疇の中で動かすための手段なのです。

上の画像がこれまた前職時代に使っていたシートの内容です。

私は前職時代、製造現場で使用する「画像処理システム」を販売しておりました。ようは、工場の現場にいる「検査員」の代わりに自動検査を行うセンサを担当していたのです。

このシートを使って案件ごとに、「ゴール」までの道筋として、必ず押さえなければならない情報を洗い出し、可視化することで案件の全体像を把握していました。

”これさえ把握できていれば、対外的にも対内的にも間違いなく提案できる”

”この情報があれば競合と戦う「スベ」がわかる”

というような情報が取れている状態が理想であるとするならば、その情報ってなんだっけ?その情報ってそもそも何を網羅できていればいいんだっけ?をシート上で可視化します。

⒈客先の見据えるゴールの確認

⇒お客さんは最終的にどうなることを望んでいるのか

⒉ゴールの範囲

⇒お客さんは、想定したゴールに対してどの程度の許容範囲を持っているか

⒊検査を行う動機

⇒なぜ導入したいのか(なぜゴールを設定したのか)

⒋導入しなかった場合の想定

⇒「導入した場合のメリット」と「導入しなかった場合のメリット」を比較検討してもらうために、「導入しなかった場合」を想定

⒌案件関係者の確認

⇒「交渉に関わる人の相関図」とも近いですが、誰と誰に利害関係があり、誰(キーマン)をおさえることで交渉が成立するのかという情報を把握するため

⒍ネック

⇒「ゴール(導入)」に至るまでの障壁

⒎こうなれば獲得できる

⇒あと何を抑えればいいかという情報

⒏次回アクション

⇒次に何をするべきか可視化。

これは経験則による部分でもあるかもしれないのですが、ある程度の案件数をこなすと、

「こういう案件は最終的にものになる」

「この条件とこの条件が揃っているから最終的にはお客さんはこちらを選ぶ」

「ここさえ押さえておけば有利に交渉を進めていけるな」

といったポイントがわかるようになってきます。経験則として貯めたそれぞれの「押さえるべきポイント」を可視化するのです。

繰り返しにはなりますが、大事なことは

「どういう状態になれば交渉成立するのか」

という点です。

言葉を変えれば、

「どういう状態になれば、選択する際に得られるメリットの総量が、選択しない場合に得られるメリットの総量を上回るのか」

といえるのです。

一方で、私自身も職を新たにして「何を新たに必要な情報と定義するか」という点に関して、試行錯誤を重ねている段階でもあります。

ただ、必要なことは

①相手が何を考え、何を重要視し、何を判断軸としているのか(表面的な判断軸の確認)

②その理由は何か(潜在的な動機の把握)

③それを選択するにあたって、どんな障壁があるか(ネックの確認)

④それを選択しない場合、相手には何の選択肢があるのか(メリットの把握)

⑤選択してもらうためにはどうしたらいいのか(率直な意見を聞く)

の5点に集約されるのではないかと思います。

これをそれぞれ可視化することで、自分が何を軸に提案すればいいか、何を訴求すればいいかがわかります。

あくまでも

「購入者は選択するメリットの総量」と「選択しないメリットの総量」

を比較して、最終的に

「選択するメリットの総量」

の方が大きければ、そちらを選択するのです。

「選択するメリット」は、相手にとって

・表面的な目的

・潜在的にある動機

・ネック

・メリット/デメリット

が大きな要因になる場合が多いです。

なのでここをおさえる。

ここに肉付けを行い、「選択するメリットの総量のほうが大きい」と思ってもらう。これで「客先に訴求できる」提案ができるようになります。

もちろん抜け漏れがあってはいけません。

「提案」には常に「理由」があり、「なんで?」と聞かれた時に「なんとなく」ではいけないのです。

だからこそ、可視化する。

当然、「選ばない場合に得られるメリット」もしっかりと把握する必要があります。

「選ばない場合のメリット」と「選んだことで得られるメリット」を点数化するのもいいでしょう。

相手が重要視するポイントを列挙し、

「選んだ場合」と「選ばない場合」

に点数をつけてもらうのです。

”点数化”こそ、「可視化」の最たる例であり、最も分かりやすい指標となるからです。

以上で一旦、「交渉締結までに必要な情報の洗い出し」は終了とします。

大切なのは、「選んだことで得られるメリットの総量で勝つこと」です。

どうやって情報をとるのか、どうすれば本音を引き出せるのか、、、等のテクニック論に関しては、いずれ書くとして原理原則としての「情報取り」に関しては、以上といたします。

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Shuhei Matsubara

新卒ではキーエンスで中部地区の自動車メーカー攻略に従事し、その後、コロプラネクスト社でVC業務を経験。2018年6月にA1A株式会社を創業いたしました。