LINEが流行った理由から切り出す3つのポイント
今やインフラ化したLINEがなぜ流行ったのかを改めて切り出すことで、サービスグロースに必要な要素を再考してみようと思います。
結論から言うと、重要な要素は下記の3点。
⑴リプレイス前の世界とリプレイス後の世界が明確
⑵ターゲットが明確で求められていたものが明確。かつ、そこに出したサービスが的確
⑶タイミングが良かった
以下に、LINEが流行った時代背景、理由、ポイントを考察していこうと思います。
LINEのユーザー数の伸び
LINEがリリースされたのは2011年6月、そこからは破竹の勢いで成長し、約1年後の2012年7月には全世界のユーザー数が5,000万人を突破、国内ユーザーも2,300万人に到達し、当時の国内のスマホ保持者の2人に1人が利用しているような状態にまで成長しました。
下記の画像を見てもわかるように、まずは中東、東アジアから人気に火がつき、その後の「スタンプ」と「無料通話」のリリースで人気が爆発、そこに乗っかる形で一ヶ月後の2011年11月にテレビCM(この辺は記憶に新しい)を開始し、結果としてリリース後半年で1,000万ダウンロードを記録するというようなスピード感でのユーザー獲得を果たしています。
なお、LINEのすごいところは、5000万ユーザー到達までのスピード感。
facebookが1,325日、Twitterが1,096日にかかったのに対し、LINEが5,000万ユーザーを達成したのは399日と圧倒的なスピード感での成長を果たしました。
2011年の時代背景
民主党政権下の2011年は3月の東日本大震災が甚大な被害をもたらした年でした。他には女子サッカーW杯で日本代表が初の世界一。それらの背景から2011年の漢字が「絆」、新語・流行語大賞は「なでしこジャパン」が受賞するというような激動の一年で「つながり」や「連体感」みたいなものが意識されていたように記憶しています。
また、市場に目を向けるとこの時の国内スマホ普及率は9.5%、1/3を占める20代のユーザーが市場を牽引していました。
結果として、今から考えると、時代背景とLINEというサービスはしっかりとマッチしていたということができるのではないかと思います。
流行の秘訣
さて、メインテーマのLINE流行の秘訣についてです。LINE普及の理由については多くのメディアで取り上げられていますが、それらの中からもっともらしく、かつ、今後に活かせそうなものを抽出してみました。
⑴リプレイス前の世界とリプレイス後の世界が明確
鍵となったのは以下の4つの変化
(http://ideasity.biz/line-scale-strategy より引用)
PC → Smart Phone
Open(知らない人とつながる)→ Closed(知っている人とつながる)
Information(情報) → Emotion(感情、気持ち)
Text(文字) → Stickies(ステッカー、絵)
LINEはリプレイス前の世界を上記の4点において変化させようと考えました。
具体的には、
- PC → Smart Phone
▶︎LINEは前提としてPC→スマホという流れを根底に置く。 - Open(知らない人とつながる)→ Closed(知っている人とつながる)
▶︎Twitter、facebook、mixiは知らない人ともつながれるツール。それに対してLINEは徹底的にクローズドな世界観の構築を目指す。 - Information(情報) → Emotion(感情、気持ち)
▶︎情報中心の流れに逆張りを実施。 - Text(文字) → Stickies(ステッカー、絵)
▶︎日用ツールにエンタメ要素を取り込む。
という様に、「逆張り」をベースにLINEというサービスの土台を設計した。
⑵ターゲットが明確で求められていたものが明確。かつ、そこに出したサービスが的確
<ターゲット>
当時ハイテクサービスがターゲットにしていた「ギークな人」を一切狙うことなく、「おしゃべり好きな若い女性」をLINEはターゲットにしました。それは、時代背景としてのスマホ保有者分布からという理由と、コミュニケーションサービスを普及させるのは当時SMS文化をもっとも取り入れていた女性だと考えたからのようです。
<求められていたもの>
facebook、Twitter、mixiはあくまでオープンコミュニティ。ちょっとだけ知っている、また、知らない人とも出会えるといったような、いわば”広く浅い”コミュニティという定義のツール。一方SMSのように1対1でのコミュニケーションだけではなく、もう少し規模を広げたクローズドな「仲間内」でコミュニケーション取れる術が潜在的に欲されていました。いわば、メールとSNSの中間に位置するサービスというイメージでしょうか。
<提供したもの>
ITリテラシーの低い人でも使いやすく、ログイン不要、無料でメッセージのやり取りができるコミュニケーションアプリ。
そして、肝となる「クローズドな環境」を作るために、facebookやTwitterとは一切連携させず、「電話帳」とのみ同期を可能にしました。また、当時は新鮮だった「知り合いかも」の機能で友達同士のつながりを他方向に展開させることを可能にしました。
電話帳に登録している友達こそ、クローズドな環境にふさわしい会話ができる友達であるという考え方で、「あえて」SNSとの同期をさせなかった。
ここに徹底的な世界観の作り込みがあったのではないかと思います。
さらに、若い女性に好まれる様なスタンプを提供し、無料通話機能を開始。世界観が明確なLINEが標準コミュニケーションアプリとして機能していったという流れの様です。
⑶タイミングが良かった
上記にも述べた様に、時代背景として、
・スマホへの移り変わりの時期だった
・東日本大震災をきっかけに「絆」や「身内とのつながり」が改めて見直された
という2点がありました。
おそらく、LINEの様なクローズドなコミュニュケーションサービスが流行るのにもっとも適した時期だったのでしょう。また、どうしても「自粛」が重んじられた環境下で「クスッと笑える」スタンプが流行ったのもあるのだと思います。
上記の3点こそが”LINE流行の理由と言えるのではないでしょうか。
あとは当時ターゲットたる若い女性から圧倒的な支持を集めていたベッキーによるテレビCMが大きかった。
ここから言えること
当たり前といえば当たり前なのですが、やはりLINEは徹底的に「ターゲット」が気持ちよく使える様な設計にこだわっているように感じます。
電話帳しかり、スタンプしかり、UIしかり、プロモーションしかり。
ここに時代背景、タイミングという要素が加わったからこその成功だったのでしょう。
一旦流行ったLINEというサービスがインフラ化したのは、その後のプラットフォーム化故でしょうか?毎日使うことが当たり前のサービスになっていったように思います。
私自身は当時2011年12月ぐらいにLINEをダウンロードした記憶があります。当時大学生で就活が始まる前のタイミングだったでしょうか。就活の情報交換用に!という形で最初はクローズドな感じのグループがいくつも出来上がっていった記憶です。ひたすら無駄にスタンプばっかり投稿していたような、、、
当時を思い出すとiPhoneには赤外線機能がなかったのがすごく不便に感じていた。だからこそ、LINEの様な気軽に連絡先を交換できるツールがありがたかった。そんな記憶があります。
そんなタイミングで、LINEはみんなが使っていた。ちょうど2011年12月というと国内1000万ユーザーに達した頃のようです。この時、周囲にLINEのアカウントを持っているのが半数ぐらいだったかな、、ただ、みんなが使っていたからなんの抵抗もなくLINEに移行した記憶があります。(というか考えてみれば、「みんなが使っている」ことに気づくのにもストレスがなかった。おそらく電話帳同期機能のおかげでしょう。身内感が非常に強いツールでした。)
ターゲットがなんのストレスもなく移行出来るシステム、潜在的なニーズに応え一瞬で使い方が分かるようなUI、使ってないと「遅れている」感を漂わせる空気感の作り方。
この辺が一級品だったのではないでしょうか。
以上がLINEの流行った理由といえるでしょう。
⑴リプレイス前の世界とリプレイス後の世界が明確
⑵ターゲットが明確で求められていたものが明確。かつ、そこに出したサービスが的確
⑶タイミングが良かった
以上!
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