シードラウンドにおける資金調達時に留意すべき3つのポイント

ベンチャーキャピタリストという職業柄、毎日たくさんの起業家とお会いする機会をいただいていますが、シードラウンドで資金調達する際に起業家が意識しておくと0→1における事業の推進スピードを落とさずに済むいくつかのポイントがあるので、そのポイントを記載しておきたいと思います。

0→1における事業の推進スピードを落とさないための要素の一つとして、「プレシリーズA」をいかに回避するか、というのがあると思います。プレシリーズAは、プロダクトやサービスを成長軌道に乗せるための仮説検証や一定のトラクションを創る計画が当初より後ろ倒しになったために、シリーズAの前にブリッジファイナンスとしてラウンドを追加設定するケースですが、多大な時間と労力が取られるだけでなく、当初の想定以上に外部に放出する株式シェアが高くなってしまいます。

「プレシリーズA」を実施せざるを得ないケースとしては大きく二つあります。一つ目は、当初想定していた事業仮説が違っていたりする中で、事業内容を大きくPivotせざるを得ず、且つシードラウンドで調達した資金もほぼ使い果たしてしまった結果、 “実質シードラウンドのプレシリーズA” を実施せざるを得なくなるケースです。この場合、事業の進捗は実質シードラウンドであるにも関わらず、(既存株主からそのあたりの理解が得られない場合は)シードラウンドより株価を上げて調達せざるを得ないケースも多く、資金調達にとても苦労している起業家を割と見かけます。二つ目は、シードラウンドでの資金調達額が少なかったためにプレシリーズAを実施せざるを得ないケースです。以下で、それぞれのケースにおける回避策を記載しておきたいと思います。

1、事業の解像度を出来る限り上げておくこと

スタートアップなので事業のPivotはよくあることですが、事業内容を大きくPivotせざるを得ず、且つシードラウンドで調達した資金もほぼ使い果たしてしまった状態に陥ってしまうと、倒産リスクが極めて高まるだけでなく、仮に調達できたとしても体制を立て直すのに多大な労力と時間がかかり、事業の推進スピードを大きく落とすことになります。これらをなるべく回避するためには、シードラウンド調達時までにできる限り事業仮説の解像度を上げておくことと、こういう状況に陥ったケースの既存株主の支援スタンスを事前に確認しておくことが重要だと思います。

2、シリーズAを実現するために必要な金額を事前に想定しておくこと

次に、シードラウンドでの資金調達額が少なかったためにプレシリーズAを実施せざるを得ないケースの場合、事業自体は進捗しているので資金調達自体はそれほど苦労しないことも多いですが、時間と労力が取られることで事業の推進スピードが落ちてしまうこと、および当初の想定以上に外部に放出する株式シェアが高くなってしまうことには変わりません。これらをなるべく回避するためには、シードラウンドで資金調達する際に、「どのような仮説が検証でき、トラクションを実現出来ればシリーズAが実施可能なのか?」についてのシナリオの精度を出来る限り上げておくことと、そのシナリオを実現するために必要な資金+αをシードラウンドで調達しておくのがベストだと思います。そのためには、シードラウンドでの調達総額やシリーズAを実現するためのシナリオについて、シードラウンドで出資を受けようとしているベンチャーキャピタルやエンジェルにアドバイスをもらっておくとともに、シリーズAでのフォローオン(追加投資)は検討可能かなどの投資スタンスも確認しておくべきだと思います。加えて、シリーズA以降を対象ステージにしている投資家に、考えているシナリオについての意見を聞いておくこともとても重要だと思います。

3、創業メンバー株式間契約書は必ず締結しておくこと

最後に、経営株主が複数存在しているにも関わらず、創業メンバー株式間契約書が未締結のケースもたまに見かけます。特に、0→1フェーズは事業内容を含めて極めて流動的ですし、経営チーム内で議論を積み重ねる中で事業や戦略の方向性が違ってしまい、経営株主がチームから離脱するケースも多いのも事実です。また、事業が順調に進捗し、次のファイナンスを検討し始めたタイミングで、事業から離脱した旧経営陣が株主として残っていると株式を買い取る際に非常にタフな株価交渉を強いられることも多く、大きく事業の推進スピードを落とすことになります。多分大丈夫だろう、ではなく、万一のケースに備えて創業メンバー株主間契約書は必ず締結しておきましょう。グロービスキャピタルパートナーズ/Partner 高宮さんの記事は必読です。創業メンバー株式間契約書にはいくつかフォーマットがありますが、AZX Professional Groupさんがウェブサイトに掲載していただいている契約書の雛形も参考までにリンクしておきます。

以上です。

また気付くことがあれば書いていこうと思います。

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