意思決定する上で大切にしている5つのこと

tajima soichi
5 min readMar 24, 2019

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事業の成功確率や、人生を豊かなものにするかどうかに大きな影響を与える要素の一つとして、「意思決定の質」があると思います。

ジュースを買うかどうか、のような小さな意思決定から、会社を辞めて起業するかどうか、のような比較的大きな意思決定まで、人間は毎日たくさんの意思決定を積み重ねながら生きています。

では、みなさんは意思決定する上でどのようなことを大切にしていますか?

私の場合、経営や投資に関することについては、これまでの経験や、自分なりにブラッシュアップしてきたフレームワークに基づいて、慎重に意思決定していますが、それ以外の意思決定については直感的な部分もあったりしますし、これまで自分の中での意思決定のメカニズムについて深く考えることを余りしてきませんでした。

しかしながら、「意思決定の質」は、 事業の成功確率や、人生を豊かなものにするかどうかにきわめて大きな影響を与えることは紛れもない事実です。

また、ベンチャーキャピタリストという職業柄、支援先企業の経営判断に関わることも多いので、自分自身が意思決定する場合、また支援先の経営判断に関わる場合に、自分の中で実践していることを5つ記載してみました(あくまで個人的な意見ですので、よろしければ参考にしてください)。

① 不可逆な意思決定は慎重にすること
不可逆な意思決定とは、一言でいえば、「一度決めて前に進めてしまうと、簡単に元の状態には戻せない意思決定」のことです。スタートアップにとってはまさに資本政策がそうですし、価格を下げる意思決定なども(価格は一度下げてしまうと上げずらいという意味で)不可逆な意思決定に当てはまると思います。このような不可逆な意思決定は、中長期的な視点もしっかりと視野に入れ、色々な人の意見も聞きながら、納得のいく意思決定をするようにしています。

② 常にユーザーファーストで意思決定すること
支援先とのミーティングなどで、事業を存続させるために、若しくは資金調達に繋げるために、マネタイズ実績を創りたい。だから、ユーザーニーズには沿わないのだけど、少しくらいマネタイズを開始してもよいのではないか?という相談をされることがごく稀にあります(メディアビジネスをやっていて、ユーザーフレンドリーではない広告でマネタイズしようとするケースなどですね)。このケースは、(起業家も本当はやりたくないけど)事業を存続させるための危機感から出てくる選択肢なのですが、個人的には原則ユーザーファーストとなる意思決定を貫くようにしています。この理由は、上記のような形で仮に売上が立ったとしても、ユーザーは根付くことなく焼畑的になってしまいがちですし、そもそもマネタイズは、ユーザーへの提供価値に対しての正当な対価であるべきなので、ユーザーから堂々とお金がいただける価値のあるビジネスを創ることに向き合うべき、という考えからです。

③ 近視眼に偏らず、俯瞰的な視点をもって意思決定すること
私自身もこのケースに陥らないように普段から強く意識しているのですが、目の前の事業に集中するがあまり、近視眼的、且つ狭い視野の中でしかものごとが見れなくなってしまい、誤った意思決定をしてしまうことがあります。なので、重要な意思決定ほど、敢えて少し時間を置いたり、自分とは違った強みや知見を持つ人に相談したりすることで、自分の中で接写モードから俯瞰モードへの切り替えを促すようにしています。

④ 量より質を優先した意思決定をすること
売れない商品を売るために、価格を下げる(という量の)選択を採るのか?それとも、その価格以上で売るために、プロダクトのクオリティを高める努力をする(という質の)選択を採るのか?どちらの選択肢を採るかは、事業の成否を分ける、とても大きな分岐点だと思いますが、個人的には、後者の意志決定を優先するようにしています。経験則的な部分も大きいですが、価格を下げるなどの「量の選択」を採るよりも、(難度はもちろん高いですが)プロダクトのクオリティを上げるなどの「質の選択」を採る方が、結果として息の長い、強いビジネスに繋がることが多いと感じているからです。

⑤ 意思決定の先送りを選択肢に入れること
実際に事業で直面する場面として、目の前の意思決定を迫られているにも関わらず、意思決定に必要な情報が不足していることはありませんか?
私は、意思決定のスピードを優先してしまったが余り、振り返ってみると大きく回り道をしてしまっていた、ということがこれまでに何度かありました。なので、最適な意思決定をする上での情報が不足していると感じる場合には、「本当にこのタイミングで意思決定しないといけないのか?」をよく考えて、ある意味でポジティブな意思決定の先送りを選択肢に入れるようにしています。また、敢えて意思決定を先送りし、事業を先に進める中ではじめて見えてくる世界や、入ってくる情報も踏まえつつ意思決定した方が、適切な意思決定に繋がることも多いです。

この5つ以外にも無意識のうちに実践していることはたくさんあると思いますが、気付いたらまた書こうと思います。

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tajima soichi

Genesia Ventures, Inc Founder and General Partner/Venture Capital firm focused on seed stage internet and mobile technology startups in Asia