♯3 GREEN NOTE-RELISH

2017年4月、熊本市に商業施設「COCOSA(ココサ)」がオープンした。COCOSAに出店している数少ない地元店舗の一つが、インテリア&ライフスタイルをテーマにしたお店「GREEN NOTE-RELISH(グリーンノート レリッシュ)」だ。店長の錦戸ひさかさん(37)がセレクトする雑貨やグリーンは、生活に歓びや彩りを与えてくれる。店内はいくつかのブースが設けられた、一風変わったつくり。このブースがさらにこの店を面白くしている。熊本の人気店が期間限定でブースに出店し、観光客らに地元の魅力を発信する一方、全国の雑貨ブランドなどを月替わりで紹介し、地域住民に向けて最先端の雑貨を発信する役割も担う。「自分のやりたいことに向かって」―。動き続ける錦戸さんのお店は、素敵な発見がいっぱいだ。

店長の錦戸さん

◆「好き」から始まる商品選び

店内には、フレグランスや食器、キッチン用品にタオル、植物など幅広い商品が並ぶ。窓のないビルの中にも関わらず、たくさんの植物とやわらかな照明の灯りで閉塞感を感じない。女性客が多いかと思いきや、男性の姿も多い。「日常の中で使える、シンプルでおしゃれなものを選んでいます」と錦戸さん。たとえばFogリネンワークの、リトアニア製リネン。速乾性に優れ、使うほど味が出るのが特徴だ。ちょっとした水汚れなどを拭きとれるだけでなく、飾っても絵になるのがうれしいところ。奈良県の萱でつくられている「白雪ふきん」もおすすめで、リピート率が高く、贈り物にも喜ばれる。
オリジナル商品も人気。かわいらしいパッケージに包まれたオーガニックの種は、現在全部で10種類。すべてヨーロッパの有機認証を受けたものを扱っている。種からじっくり育てて、家庭菜園をつくってみるのもよさそうだ。
錦戸さんは「自分がほしいなと思えて、家にあったら素敵だなと思うものを直感で選びます。自分ではいいなと思っても、全部は買えないじゃないですか」と笑う。たしかに、いくら素敵と思っても、自分で使うには限りがある。だから、誰かの家を彩ることを願いながら、商品をお店に並べるのだ。商品一つ一つには、錦戸さんの「好き」が詰まっている。

◆GREEN NOTEの歩み

錦戸さんは結婚して天草へ嫁ぎ、趣味で習っていたフラワーアレンジメントを活かして生花店を始めた。やがて旦那さんも一緒に店を運営できることになり、店舗を全面改装。カフェを増設して雑貨が主体のお店になった。夫婦二人三脚で、熊本市街地に植物がメーンの「GREEN NOTE-GARAGE」、雑貨がメーンの「GREEN NOTE-MINI」と順調に店を増やした。
しかし、熊本地震で被災。市内の2店舗は営業できなくなった。錦戸さんは「商品がだめになってしまい、店を再開するモチベーションもなくなってしまった」と振り返る。それでも震災から1年後、ようやく市内に新店舗をオープンすることができた。「RELISH」は食べ物の風味や持ち味、物事の持つ面白味という意味。店から発信するモノやコトが生活のスパイスになるように、と願いを込めて名付けた。「日々の生活を楽しく過ごす」というコンセプトのもと、新たなスタートを切った。

◆熊本の魅力を発信

COCOSAに出店しているのは全国規模で展開している店が多いが、錦戸さんは来店客に熊本の良さも発信していきたいと考えている。そのため、新店舗では熊本県内の店が出店できるスペースを設けた。COCOSAに来るお客さんにも商品を買ってもらい、店を知ってもらう機会になる。毎週末には、地元のコーヒー店も出店する。同じように震災を経験した地元同業者との協力は、大切にしていることの一つだ。

◆母の目線

プライベートでの錦戸さんは、8歳と3歳、2児の母。お店に出る忙しい日々の中で、実母に協力してもらいながら子育て中だ。子どもたちの予想できない言動を観察しているのが、一番の楽しみ。好きな漫画を読んでも、我が子と重ね合わせて「こういう子に育ってほしいなあ」と思ってしまうという。前川たけしさんの「鉄拳チンミ」の主人公のように、心がきれいで強い子に育ってほしいとか。
母であるからこそ、お店も、小さい子連れのお母さんでも来やすいようにと配慮している。ベビーカーでも通れるよう、通路は広い幅を確保。「いつでも赤ちゃんを抱っこしますし、なんでも話しかけてもらえれば」と子育てママに優しい店を目指している。

魅力的な商品が並ぶ通路も、ベビーカーで安心して通れる

◆最先端を熊本に

錦戸さんの出身は熊本。学生の頃からさまざまなお店に入り、買い物をし、たくさんの人と知り合った。特に熊本には、セレクトショップの先駆けとなった店があり、最先端のファッションを熊本に持ち込み、全国に発信していた人がいた。錦戸さんの学生時代にも、その熱を受け継ぎ、ファッション業界を盛り上げている人々が間近にいたのだ。彼らを知っているからこそ、錦戸さんには「自分たちも雑貨部門でそういう存在になりたい」という思いがある。
 熊本に最先端の雑貨を持ち込み、発信したい。その思いから、店内には月替わりで、全国の雑貨ブランドなどが出張して出店する「ポップアップショップスペース」を設けている。「いつ店に来ても新しいと思ってもらえるようにしたい」と話す。ジャンルを問わず、熊本にない物を積極的に取り上げていくつもりだ。「難しさはかんじるけれど、楽しいですよ。自分のやりたいことに向かっているから」。笑顔が生き生きと輝いていた。

GREEN NOTE-RELISH
 http://ramet.info/
熊本県熊本市中央区下通1–3–8 COCOSA3F
 TEL. 096–288–2248
 営業時間 11:00–20:00
市電「通町筋(とおりちょうすじ)」電停or「熊本城・市役所前」電停 下車 徒歩2分


bearbook について

熊本のお店をウェブで紹介し、お店同士のつながりをより深め盛り上げていきたいと、熊本のショップオーナー・錦戸さんと、ウェブデザイナーである岡崎さんが立ち上げたプロジェクト。熊本市内はじめ九州、関東など様々な地域からのクリエイター 11 人がサポーターとして名乗りをあげた。ウェブサイト開設に向けてまずは SNS ( https://www.facebook.com/baerbook.prj ) から発信するべく、お店の取材や原稿作成といった準備を、震災から 1 年後の 4 月中のオープンに向けて進めている。