先日、vte.cxのβ2を公開しました。また、BPStudyで発表をしてきました。いくつか質問ももらったので少し補足説明をしようと思います。
vte.cxは企業向け特化型BaaS
twitterで教えてもらったのですが、ゲーム向けに特化したgs2 というBaaSがあるようです。これと同じように、企業(エンタープライズ)向けに特化したのがvte.cxといえます。
vte.cxは主に業務アプリケーションを迅速に作ることを目的としています。業務アプリケーションとは、受発注システムや在庫管理システムのような企業内で利用されるアプリケーションのことです。
業務アプリケーションでは、トランザクション管理などの厳密かつ信頼性が求められる処理がある一方で、一覧表示、検索、ページネーション、CSVデータアップロード、帳票発行、メール送信などのお決まりの機能が多いのも特徴です。
vte.cxでは開発生産性を向上させるために、このような業務アプリケーションのよく使われる機能をパターン化して提供しています。
Firebaseでも業務アプリケーションを作ることができるかもしれませんが、上記のような機能をゼロから作らなければならないので大変だと思います。(Firebaseを実際に使ったことがないのでよくわかりませんが)
vte.cxを作った目的
何でvte.cxのようなものを作ったのかというと、第一に私達自身が楽をしたかったからです。私達のビジネスは主に受託開発ですが、スクラッチで開発することにとても消耗していました。同じような機能を繰り返し作ることは単に時間をお金に変えるだけの「やっつけ仕事」に思えていたのです。
そこで、自分たちのフレームワークを作ればビジネスにも利用でき、開発者のモチベーションも高まると考えました。それが、reflexworksで、いくつかの企業に導入することもできました。
ココに書いているとおり、自分たちのフレームワークがお客様に採用されると状況が違ってきます。つまり、これまではいかに楽をしようかと考えていた「やっつけ仕事」が、自分たちの製品でいかに品質を高めるかといった「価値ある仕事」に変わるのです。
私達はもともと開発自体は好きです。ミドルウェアだけでなく新規のサービスを作っていきたいし、自分たちでサービスを作ることでミドルウェアの改善点もわかります。いわゆるドックフーディングですね。
ドックフーディングによって、時間をお金に換えるだけの不毛な作業ではなく、やればやるほど自分たちの資産(製品の価値)が増えるという意識が出てきます。これは生産性や品質という面でお客様にも大きなメリットをもたらします。つまり、Win-Winの関係になれるのです。
vte.cxはreflexworksをベースにしています。
ただ、お客様のオンプレに導入するのではなく、vte.cxはすべてをクラウド上で実現できるようにしました。クラウドでJavaScriptだけで業務アプリケーションを構築できるため、圧倒的な開発生産性を発揮できます。
今後の戦略
このように、クラウドですべて構築できるようになり、開発生産性やモチベーションが上がったのはよいことなのですが、さらにvte.cx自体を広めることでBaaSとしてビジネスできないかという欲も出てきます。「ゴールドラッシュでツルハシを売る」戦略です。
これは実は悲観的に考えていて、 BaaSのことをよく知っている方からも「潜在ユーザーを信じて戦い続けるのは鉄のメンタルと経済肉体双方の体力が要る」とtwitterでコメントしてくれたように、普通にやってもたぶん負けると思っています。
私達の戦略としては、これまでのビジネスの延長線上で地道にやっていき、大勝はないけど負けない戦略を取ることが重要と考えています。
実はあるお客様向けですが、現在、 受注在庫管理システムと倉庫管理システムを開発しており、これを汎用的にしてOSSとして公開してもよいという許可をいただきました。これがキラーアプリになるかどうかはわかりませんが、横展開できるアプリケーションをvte.cx上で数多く提供することで訴求を図ろうと考えているところです。
それでは、また。