「BEの肩書き」ワークショップ覚書

京都精華大学の「ソーシャルデザイン概論」の前期最後の授業(20人くらい)につづいて、7月28日(金)の夜は、東洋大学建築学科の連続講演会「場所と建築」(こちらは120人くらい)で、できたてほやほやの「BEの肩書き」ワークショップをやってみたのだけど、新作にしてはかなりの手応えを感じている。

「BEの肩書き」ワークショップとは、「DOとしての肩書き、BEとしての肩書き」にまとめてみた、あり方としての肩書きについて考えるワークショップ。今やっていることなど、普段の自己紹介で名乗る肩書き(それはだいたい社会から求められていることだったりする)を「DOの肩書き」だとすれば、そのDOを発言させている本来の自分の肩書き=BEの肩書きを見つけてみませんか?という提案になる。

では、どうすればBEの肩書きが見つかるのか。そのうちのひとつが、「あこがれの仕事」を振り返ることであり、もうひとつは他者からのプレゼントしてもらうことである。特におすすめは後者で、お互いがお互いのストーリーを聞き、BEの肩書きとしてパラフレーズ(言い換え)して、贈り合う。受け取った本人は、しっくりこなければそれは括弧に入れて構わない。そのとき時点での「BEの肩書き」を、いったん名乗ってみることで、自分の魂にどう響くかを感じてみる。

とはいえ最近の二回はイントロダクションが長すぎてしまうなど時間配分を見誤ってしまい、実際に参加者が「BEの肩書き」を探究する時間は20分ほどだったのは反省点といえるだろう。それでもなお大学1年生であっても深い気付きがあったり、クラスメイトの知らない一面を発見したりできたのは素直に嬉しく、今後さらにブラッシュアップして定番化を目指していきたいと思っている。

そこで今までの2回を振り返って、もっとこんな感じの方がいいかも、という改善点も踏まえて、ワークショップデザインについてまとめておこうと思う。

「BEの肩書き」ワークショップ

【1】イントロダクション「BEの肩書きとは何か」(20分)
DOとBEの話、勉強家としてのストーリーテリング、DOの肩書き+BEの肩書き+自分の名前からなる「マウナケア・メソッド」の説明、いろんな人の「マウナケア」の紹介、
※DO×BE=個性的な働き方、というのはそれなりに響く

【2】スタディ・マップ「5つの問い」(10分)
次の質問のうち、いちばん答えやすいものをひとつ選んで、思い出して書いてもらう。もととなっているのはマイプロの好きなことを掘り起こす4つの問いで、ほぼそのまま。もちろん複数回答OK。

Q1. 時間が経つのも忘れてしまうくらい、情熱を持って取り組んだ/取り組んでいることは?

Q2. あなたにとっては当たり前でも、周りから「すごいね」とほめられた/ほめられることは?

Q3. 大変なことが起こったときでも、何だか続けられた/続けられることは?(凹んだときについやってしまうことは?)

Q4.「人に先を越されたら悔しいなあ」と思うことは?

Q5. いつか名乗ってみたい肩書き、憧れている肩書きは?

※あくまで今日バージョンであり、変わっていくもの、正解はない、ということを強調する。こういう問いに対して、自分の引き出しを開ける筋肉をつけていくことが大事、問われた回数だけ自分の言葉で応えられるようになる。すぐ終わる人と、すごく時間がかかる人に別れる…まあ、すぐ終わる人はたくさん答えてもらうことで対処。思いつかない、というのも、それに気付いただけでも充分な進歩

【3】ストーリーテリング+BEの肩書きのプレゼント(30分)
ペア、トリオどちらでも可。人数が多ければペアの方がシンプルかな。丁寧にやるならストーリーテリング・トリオ(語り手、聞き手、メモ係)方式で。

ストーリーテリングが終わったら、ペアの場合の聞き手、トリオなら聞き手+メモ係が3分くらいで肩書きをあれこれ考えプレゼントする×ペアなら2周、トリオなら3周
※このときスクリーンにさまざまな肩書きを投影しておく。語り手は外からはそのように見えるのだ、という気持ちで、判断を保留しながら受け止める。二回ともここが短く、共有からプレゼント肩書きまで10分以内の強行軍になったので申し訳なかったな、どんな言葉を贈りあったか、【3】と【4】でどんな変化があったかはもう少し把握したいところ。

【4】自分のマウナケアを描く(10分)
プレゼントしたり、してもらったあとは、個人ワークで自分のマウナケア(DO+BE+自分の名前)を書く。山も海も自分のスタイルで、描き終わったら自由に装飾してもいい。DOはいま自己紹介するときに使う肩書きを書く、ただし「大学生」よりも「建築専攻」とか具体的な方がいい
※眺めていると自分の人生にいのちを吹き込む作業、のよう。最初はマウナケアテンプレートをコピーしようと思ったけれど、それぞれが自由に書いてもらうほうがいいと思っている。

【5】ハーベスト&チェックアウト(10分)
描き終わったマウナケアを2ペア(4人)、あるいはトリオで共有する、そのあとの振り返りでは、今日の気付き、初めて考えたこと、BEの肩書きとつながるための次の一歩などを語り合ってもらう
※二回の大学の授業ではここの余裕がなくてコメントシートになってしまったのは反省…

以上。

このときちょうど、『あなたへの社会構成主義』やそれをベースとした『ポジティブ・チェンジ 主体性と組織力を高めるAI(Appreciative Inquiry)』を読んでいたところだったので、理論的背景をふまえて深く実験できたのも実りは大きい。組織変革だけでなく、地域コミュニティから家族関係まで、AIの一種としていろいろ応用できそう。

そしてこの「BEの肩書き」についての対話が「BEのための勉強」というマイスタディを探究するきっかけとすることで、勉強家の実践としてもレパートリーが増えていきそう。

いまの関心事はいろんな人のDO×BEの話を聞いていくこと、これはgreenz.jpとかで連載できるといいなあ◎

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