草をはしる

たった一両の電車が夏の草原を走る。冬には雪に埋もれるであろう秋田の美しい田園風景。電車の旅は何故こんなにもノスタルジックなのだろう。夏の旅行は日本の田舎とだいたい決めている。何もないけど全てがあるような、そんなのどかな風景。窓からの風が気持ちよい。ビールもとくにいらない。おしゃべりもいらない。風景がなによりのごちそう。それにしても見事な風景。田んぼがいっぱい広がっていて清々しい。

目的はマタギがかつてたくさんいたという阿仁地方。駅でもマタギや熊の木彫りがお出迎え。マタギの資料館にいってみた。マタギは単なる猟師ではなく、山と人間が共存していくひとつの生きかたそのものであり、信仰に近いところがあることを知った。マタギは山にはいると、人間の言葉を一度捨て去りマタギでしか通用しない言葉に変わるというところがとても面白かった。

僕は四国高知生まれで、ちゃんとした旅行で東北に来たのははじめて。だから人や風景もいろいろと違ってとても楽しめた。旅のはじめは秋田、それも角館を中心にした内陸の旅。そのあと花巻、遠野、盛岡とまわった。最初に泊まったのは百年以上先祖代々住まわれている農家民宿。建物の立派さはもとより、なによりも暖かった。おもてなしというか、自分がまるで外国人のような気分になったくらいにそういう部分を感じた。今度は青森や宮城も行ってみたい。

Like what you read? Give Naoki Yoshioka a round of applause.

From a quick cheer to a standing ovation, clap to show how much you enjoyed this story.