フローチャートを埋めてみても新しいものは見えてこない

Naoki Yoshioka
3 min readMar 27, 2015

大塚家具のお家騒動の決着が着いたようです。事前の様々な情報とは少し違って久美子社長の経営路線が個人株主に指示されたのだと思いますが、行く末は多難だろうなと野次馬的に思っています。

家具の販売と不動産販売がまだ近しい時代があったと思います。どういうことかというと、よくわからないから、一番いい感じのをみつくろってくれ、という顧客に対して盛りまくった見積もりがそのまま通るような時代です。もてはやされたのが好景気というのもありますが、こういう商売のターゲットの属性というのは値段ではなく、物への関心や愛着などがない、いわば消費欲はあるけれど怠惰な層だといえます。彼らに必要なものは生活ではなく会社だったので、生活のことなんかいろいろ考えてもわからないから、みつくろってくれ、というのがその行動理由です。大塚家具はそういう層にたいして抜群の機動力をもって対処していったのが今のあの規模だと思います。本当に欲しいもの、ふさわしいもの、望むものを自ら考えることもなく、いいなりに購入するというのは富裕層にありがちな消費行動ですが、全ての富裕層がそうだとは限りません。

一方イケアニトリというのはそもそも一緒くたにできるような販売しているわけではないけれど、その共通点はそこそこいいものがかなり安いという点です。これは一瞬低価格ボリュームゾーンという見方をされますが、その属性は実は価格帯ではなく、行動様式にもとづくものだと思っています。それは今述べた「みつくろって感」です。あまり考えたくないのです。彼らは会社人間ではなく、生活人間だと思います。リビングをどうしようかなー、と考える層です。でも実は本当に欲しいもの、ふさわしいもの、望むものを自ら考える能力が低いということでいえば、大塚家具を購入していた富裕層とかなり重なるところがあります。違いはお金持ってるか、お金持っていないかという点だけです。

久美子社長は、高価格帯だけではなく、中価格帯についても充実させて、はいりやすいお店作りをしていくと、今後の経営方針について述べていましたが、価格帯でターゲットを捉えるのはなかなかそこまでシンプルではないと思います。中価格帯というのは、値段ではなく、実は本当に欲しいもの、ふさわしいもの、望むものを自ら考える能力がある人が購入するゾーンです。そういう人は時に高価格帯の商品も低価格帯の商品もどちらでも、自分のライフスタイルに合わせて、必要とあらば購入することができる層です。だから中価格帯の顧客の属性は実は価格にあらず、そのような指向性を見極めなければ、フローチャートを埋めるような商品群を開発して、店作りしてもうまく機能するかどうかは疑わしいというのが僕の考えです。

--

--