宗像淳 (Innova CEO)
9 min readJun 24, 2016

インターネットビジネスで勝ち残る為の、4つのビジネスモデルとは?

今日のインターネットビジネスにおける競争は激化している。「いかに勝ち残っていくか」というのは、どの企業にも共通する課題だろう。色々なインターネットビジネスのモデルが有り得るが、その中でも大きく分類すると、以下の4つのパターンが有効であると考えている。今日はその4つのビジネスモデルを紹介する。

1.ディスカウントスーパーモデル

ECサイト最大手のAmazon。Amazonは、自社で在庫を持ち、自社で物流センターを持つ小売りモデルとしてスタートし、成長を続けている。同社のビジネスモデルは「ディスカウントスーパーモデル」インターネット上では商品の品揃えが無限なので、商品の品揃えを増やし、物流やECシステムに圧倒的な設備投資をする、というモデルだ。1995年にオンラインの書店のサービスを開始して以降、2007年にはkindle、2012年にはGamesと、取り扱う商品のジャンルを拡張している。その品揃えの豊富さだけでなく、コストを抑えることによって実現した低価格も、サービスの満足度に繋がっている。

(参考画像:http://image.slidesharecdn.com/amazonbusinessmodelfinal-12886154816988-phpapp02/95/amazon-business-model-7-638.jpg?cb=1422674803)

また、Amazonの売上は年々上がっているにも関わらず、創業以来、一度も利益を出していない。効率的な物流を可能にする設備や、最近ではDroneなどの配送強化に力を入れていて、そこに巨額の投資をしている。そして、同社はこの利益を出さない経営スタイルを長年続け、成功している。

(参考画像:http://static2.businessinsider.com/image/56abe654c08a80431d8bb4ef-1200-900/20160129_amazon_bi.png)

2.会員活用モデル

このモデルの代表例は楽天だ。Amazonが自社で在庫を持つモデルなのに対し、楽天は自社では在庫を持たず、仮想商店街としてスタート。地方の商店街の小売店をネットに出店させる事で成長を遂げた。実際に、売上が伸び悩んでいた店が、店舗を閉店し、楽天市場一本に絞ったことで、急激に売上を伸ばすことができた例などもある。

楽天の興味深い点は、Amazon同様、EC分野からスタートしたものの、今や違うビジネスモデルへと進化している事だ。具体的には、会員IDを核として、周辺の事業へと送客するモデルだ。楽天の一番の強みは会員データベースにあると言える。更に、ポイントシステムによって、周辺事業への相互利用を促す。ポイントシステムがエンジンのような役割を持ち、楽天内でのサービス利用を加速させる。

(参考元:http://corp.rakuten.co.jp/about/strength/business_model.html)

また、特に注目すべきは、自社ブランドのクレジットカードだ。楽天は2011年にカード会社を買収し、「楽天カード」という自社ブランドを手に入れた。このクレジットカードを発行し、顧客には楽天市場で利用してもらう。本来ならVISAやMasterなどを通すと手数料を取られるが、自社ブランドのカードを使えば、逆にその手数料を店舗側から受け取ることができる。

実際に、楽天カードの2015年12月期の売上高は921億円と、かなりの売上高となっている。

楽天の連結売上高のデータ

僕は、従来の大手銀行やクレジットカード会社が、楽天のビジネスモデルから得られることはかなり多いと思う。例えば、カタログ通販市場は今伸び悩んでいる。新規顧客の開拓もネット通販の台頭で難しい状態だ。そこで、もし通販会社が銀行や保険会社を買収したら、どうなるだろうか。銀行などは今まで知り得なかった、膨大な顧客情報を得られる。そして、通販会社もライフステージに合わせた、商品の案内(例えば学資保険など)ができるようになる。このような従来では考えられなかった企業間での提携や協働が、今、必要とされているのだ。

3.垂直統合モデル〜Netflixモデル〜

全世界で6500万人以上の視聴者を抱えるNetflix。

同社の成功の秘訣は、その膨大なデータに基づいた、レコメンデーション(おすすめ)機能にある。今でこそ、日本では映像ストリーミングサービスで有名だが、もともとは郵送のDVDレンタル事業を行っていた。僕自身もアメリカにいた時に使っていたが、そのレコメンデーション機能は、当時から強烈だった。

Netflix社は2007年にレコメンデーション機能を活かした、ストリーミング配信事業を始めた。ストリーミング配信をしつつ、膨大な作品データとユーザーの行動特性のデータを蓄積していったのだ。全ての作品を、監督・出演者だけでなく、ストーリーの展開など、細かいカテゴリーに分類しデータを蓄積している。ユーザーの行動特性については、検索履歴はもちろん、1つの作品における滞在時間や、視聴日時なども全て把握している。これによって、独自のアルゴリズムを構築し、より精度の高いレコメンデーション機能を実現した。

そして、次に進出したのが、オリジナルのコンテンツ制作事業。代表作は「ハウス・オブ・カード」。制作費は何十億円にも上る。当初、このコンテンツ制作は「絶対に失敗する」と反対する声も多かったという。しかし大方の予想に反して、この作品は大ヒットした。膨大な作品データに基づいた「ヒットする要素」を、Netflix社はある程度モデル化できているのだろう。

そして、今ではかなりの数のオリジナルコンテンツが制作されている。ストリーミング配信サービスとコンテンツ制作の二本柱によって、順調に業績を伸ばしており、海外展開にも積極的だ。日本のコンテンツビジネス業界でも、同社のビジネスモデルに注目している人は多いだろう。

(参考画像:https://www.statista.com/chart/3153/netflix-subscribers/)

4.リアルビジネスのアンバンドル化

アンバンドルとは、一括して提供されていた商品やサービスを細分化することだ。このビジネスモデルは、既に大手企業が取り扱っている商品やサービスに、ベンチャー企業が対抗する形で展開するモデルである。特徴は、大手企業そのものではなく、ある特定の商品・サービスを狙っている点だ。

例えば、求人や不動産、販売などの情報掲示板、Craigslist。ここには“ペット”のカテゴリーがあり、不在の間に自分のペットの世話をしてくれる人を探している投稿が寄せられている。すると、このニーズに気がついたスタートアップ(ベンチャー企業)が、DogVacayというペットシッターを、オンラインで探してくれるサービスを立ち上げてしまった。

このように、Craigslistから新しいサービスや商品を開始した企業は、今や80社に上るという。

(参考画像:https://cbi-blog.s3.amazonaws.com/blog/wp-content/uploads/2015/01/craigslistcover.jpg)

同じく、P&Gもアンバンドル化が進んでいる。化粧品、ヘアカラー用品、男性用髭剃りなど、豊富な品揃えを誇るP&G。同社のアンバンドル化をしている企業は約20社ほど。数は少ないが、中にはこのビジネスモデルで成功し、株式市場に上場している企業もある。

(参考画像:http://www.p101.it/wp-content/uploads/2015/03/unbundlingPG.jpg)

■最後に

いかがだろうか。もちろん、ここで挙げたビジネスモデル以外にも、インターネットビジネスで成功する戦略はあるだろう。これだけが成功法則ではない。しかし、自分で起業をしたいと思っている、もしくは起業したけれど、業績が思うように伸びず、悩んでいる。そんな時に、成功している企業のビジネスモデルを学ぶことは必ず役に立つだろう。

インターネットビジネスは、不動産ビジネスのようなものだと僕は思う。インターネットという未開の地を開拓し、土地を手に入れたら、そこで何をするかは自分次第。まだ掘り当てられていないビジネスチャンスは、たくさん眠っているはずだ。

(参考資料:

http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview050621.html

https://www.cbinsights.com/blog/craigslist-unbundling/

https://www.cbinsights.com/blog/disrupting-procter-gamble-cpg-startups/

宗像淳 (Innova CEO)

(株)イノーバ代表。米国ウォートン校MBA、マーケティング専攻。楽天・トーチライトで、Eコマースやソーシャルメディアの新規事業の立上げ。現在、ソーシャルやWEBサイトで集客をするコンテンツ制作のビジネスを展開しています。ライターさん、絶賛募集中。詳細はこちらから http://t.co/CjAYENyOhH