日本がグローバルビジネスで勝負するためのポイント

インターネットの出現によって、今や大企業だけでなく、個人でも世界を舞台に、ビジネスをすることが出来るようになった。競争相手が世界中にいる今の時代、我々日本人は、どのように世界と戦っていけばいいのだろうか。そこで、私自身のグローバルビジネスの経験から感じた、日本独特の強みや課題を分析する。

■成熟しきった日本経済

最初に、今後、日本はどのに発展していくのかを考える必要がある。
この答えを考える時に、大切になるのが、日本は経済的にものすごく成熟してしまっている、という事実だ。残念ながら、これから再び日本でGDPなどが飛躍的に伸びることは、ほぼないだろう。また、もう一つ欠かせない問題が、出生率の低下。これには様々な要因があるが、各論を外して考えると、成熟しきってしまった経済が背景にある。欧米の他の先進国の例を見ても、経済が頭打ち状態にあると、出生率は下降傾向になってしまうようだ。

そこで、さらに成長が見込める市場を求めて、世界を競争相手にしたグローバルビジネスを展開する必要がある。そこで今、熱い視線が注がれている地域が、アジアなのである。

■世界から注目を集めるアジア

実は日本だけでなく、欧米諸国からも、今アジアは注目を集めている。
その理由の一つが、アメリカ・ヨーロッパの経済状況だ。これらの先進国は日本同様、今後も自国経済の飛躍的な成長は見込めない状態である。そのような欧米諸国の企業が、中国だけでなく、東南アジアやインドも含めたアジア全体を、非常に成長している地域として着目し、アジア展開の戦略を練っている。

新興国市場という意味では、アフリカや南米なども含まれるが、その中でもなぜ、アジアなのだろうか。まずアフリカは、確かに経済的に伸びる可能性を秘めている。しかし、アジアのような急激な近代化はまだ先だと僕は見ている。また、南米は一瞬伸びかけた時期もあったが、今は、米国の投資マネーが引き上げられ、苦しい状況が続いている。すると、残るのはアジア市場である。

(出典:IMF World Economic Outlook2016 Real GDP growth)
 http://www.imf.org/external/datamapper/index.php?db=FM

また今後、東南アジアは、恐らくEUのように経済圏が一つになっていくと考えられる。
今の中国が領土的にも、経済的にも拡大志向にあることは、明白である。少し余談になるが、先日日本で台湾人のドライバーのタクシーに乗る機会があった。以前、中国のある要人を日本で案内した、という彼から聞いた話では、「もう一度かつての栄光を中国に取り戻そう」という理念が、今の中国のリーダー層にあるということだった。現在の中国における拡大志向は、まさにこのような思想に基いているのだろう。

それに対抗する策として、東南アジアは一つの経済圏を形成することになる。そうなった場合、欧米企業はますますアジア展開をビジネス戦略の一つとして考えるようになるだろう。

■日本が欧米企業に“勝てる”ポイント

そして、このアジア市場で、日本は独自の強みを最大限活かすことが出来る、と私は考えている。まず有利な点が、地理的な位置である。欧米企業がアジア展開の戦略を考える時に重要なのが「広いアジア地域の中で、どこに拠点を置くか」である。この時、まず選択肢に挙げられるのが中国かシンガポールだろう。しかし、私はこの選択肢の中に日本が含まれる可能性は充分に有り得ると思う。

地理的に考えると、日本は東南アジアからは少し離れるものの、アジアの中では割と中央に位置しているので、アジア圏内での行き来が比較的容易だ。なので、企業がアジアへ進出しようとする際に、最初は一旦日本にベースを作って、その後アジア各国へ展開する、という戦略が非常に組み立てやすくなるのだ。

次に、アジア地域での評価の高さも、日本の強みである。アジアでのビジネス経験がある人の話を聞くと、過去に戦争という歴史があったにも関わらず、アジアでは日本に対して良い感情を持っている国が多いという。日本製品の質の高さをきちんと評価し、それらを創り出す日本人や日本企業に対しても、好感を持ってくれている。これは非常に大きなメリットである。

■欧米にとってはまだまだ遠いアジア市場

そして、更に日本にとって追い風となる外的要因が、欧米ベンチャー企業におけるアジア進出に対するハードルの高さだ。例えば、アメリカでは、投資家たちはあまりベンチャー企業に海外進出を勧めないケースが多い。「アメリカ国内に市場が充分あるから、無理な海外進出はしない方がいい」という考えなのだ。

アメリカでは、技術的なイノベーションや最先端のビジネスモデルが生まれるスピードが非常に早い。そのスピードでグローバル展開をされたら、恐らく日本のベンチャー企業などが戦う余地はないだろう。だが、実はアメリカのベンチャー企業が海外に進出することはそう多くはない。またヨーロッパの企業においても、海外進出を考える時に、アジアでの展開は最後になることが多い。

最近はUber やAir b n b など、アジアに進出している欧米ベンチャー企業も増えてきたが、上記のような傾向はしばらく続くだろう。これはアジア進出を考える日本企業にとっては大きなメリットになる。

■課題は、「現地化する覚悟」

日本企業が、グローバルビジネスを展開するにあたって、乗り越えなくてはいけない課題。それは「現地化」だ。中国は、華僑と呼ばれる人たちがいるように、各地域で、現地に入り込むことが非常にうまい。一方、日本はこの現地化が出来ていないケースが多い。この原因の一旦は、日本の居心地の良さにあるのだろう。町も清潔で、諸外国に比べればまだまだ安全で食べ物もうまい。一度海外に出た人が、日本に戻ってきてしまうのも、頷ける。

だが、その状態では、なかなか本当の意味で、現地に入り込むことは難しい。アジア進出をするのであれば、日本企業の支社や支店、というレベルではなく、本当にその地域に骨を埋める覚悟で入り込む必要がある。

実は、これは僕自身の課題でもある。これからアジアビジネスに入り込む為には、いかに現地化するか、という課題は避けて通れないと考えている。

■最後に

アジア地域でのビジネス展開は、日本にとって非常に有利である。アジアの国々に「日本も同じアジアである」という仲間意識を持ってもらえれば、その心理的、地理的距離の近さで、欧米企業にはない強みが出せるからだ。成長を続けるアジア市場への近さと、アジア地域内での日本に対する評価の高さ。この2つが、日本がグローバルビジネスで勝負する時に勝てるポイントだ。

これから、国を超えてた経済交流がますます増えるだろう。民間人レベルでの経済的な取引は戦争を起こしにくくする。グローバルビジネスによって、平和へ寄与することが出来ると私は信じている。日本独自の強みを武器に、ビジネスというフィールドで、世界と戦う。この戦いは、きっと日本経済の先行きを明るくしてくれるに違いない。

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