起業にあたって:リーンキャンバスを作ろう

リーンキャンバス(Lean Canvas)という言葉をご存じだろうか。起業を考えている方からアドバイスを求められたとき、僕は、「アイデアが浮かんだら、まずリーンキャンバスを作ってみてください」と話すことが多い。そんなわけで今日は、「リーンキャンバスの作り方」について、紹介してみたいと思う。

1 リーンキャンバスとは何か

細かい話に入る前に、まずはイノーバのリーンキャンバスをお見せしよう。

これは僕が2012年11月に作成したイノーバのリーンキャンバスだ。僕がイノーバを設立したのは2011年6月、当初の事業はコンテンツ作成のみだった。起業してしばらくしてから、ソフトウェアを使った新サービスを始めてみようかと考えるようになり、そのときに作ったのがこれだ。作成時からすでに4年半が経過しているが、イノーバのビジネスは、今もこのリーンキャンバスに沿って動いている。細かいところで多少の変更はあったし、今から思えばコストの分析などは詰めが甘かったなどと思ったりもするが、大枠は、今も変わっていない。

リーンキャンバスをひとことで分かりやすく説明すると、「事業計画書を1ページの図に分かりやすくまとめたもの」ということになる。

リーンキャンバスの原型は、2010年にAlexander Osterwalder氏らが書いた「ビジネスモデルジェネレーション」という本で出てくる「ビジネスモデルキャンバス」だ。これにITベンチャー起業家のAsh Maurya氏が手を加え、より使いやすくしたものが、リーンキャンバスだ。

2 リーンキャンバス作成のメリット

リーンキャンバスの作成は、スタートアップ段階で、アイデアを整理してビジネスモデルを固めるのに、非常に重宝する。一つの表のなかに重要な要素が全て詰め込まれているので、キャンバスに手を加えながら、「ああ、ここが弱いな」とか「ここはもう少しこうした方がいいな」とか、頭を整理しながらビジネスモデルを詰めていくことができるのだ。

また、複数人でスタートアップの打ち合わせをするときなどにも、リーンキャンバスは大活躍する。今どこの議論をしているのか。どこに課題があるのか。混乱なくブレインストーミングを進めるためのツールとして、役立つことこの上ない。

3 リーンキャンバスの作り方

次に、リーンキャンバスの作り方について、簡単に説明しよう。

僕が作ったイノーバのリーンキャンバスは一部英語になっていて分かりにくいので、日本語で骨格のみを記載したものを下に示す。

【図1:リーンキャンバス(日本語版)】

まずはキャンバスの全体像を把握してもらいたい。色々な要素が書いてあるが、特徴的なのは、左側が製品に関するもの、右側が市場に関するものとなっている点だ。ビジネスは、製品(あるいはサービス)と、市場(顧客)の双方があって、はじめて成り立つ。ビジネスモデルを考えるときには、両方の視点から検討することが必須だ。

それでは、どこからどのように、リーンキャンバスを作って行けばいいだろうか。

最初の出発点は、左上の「課題」の部分だ。日常生活のなかで、「ああ、こういう製品(サービス)があればいいのに」と感じたことはないだろうか。新しいニーズがあるところにビジネスチャンスは転がっている。そしてニーズが強ければ強いほど、ビジネスチャンスも大きい。まずは「課題」を探すところがスタートだ。ちなみに僕の場合、イノーバを起業する前に勤めていたネクスパスという会社で、HPの運営に四苦八苦している際に、「こんなサービスがあったらいいのに」と思い立ったことが、「課題」発見のきっかけになった。

「課題」が見つかったら、次にその「解決方法」や、「対象となる顧客」を考えてみる。ここまでいけば、もう半分くらいは完成したといってもいい。

次にじっくり考えてもらいたいのは、「競合と比較した場合の優位性(Unfair Advantage)」だ。新しいビジネスが成功するかどうかは、かなりの部分、ここにかかっている。競合と比べたときの自社の強みは何か。この点をしっかりじっくり検討することが肝要だ。その他の空欄は、キャンバス全体を眺めながら、順に埋めていけばいい。そうすれば、立派なリーンキャンバスの完成だ。

4 まとめ

いかがだろうか。「事業計画の検討?何だか面倒だな」と考えてしまう人でも、リーンキャンバスを使って頭を整理していけば、ビジネスモデルをきれいにまとめることができるのだ。これからベンチャー起業を考えている人たちには、リーンキャンバスを積極的に活用し、自分の目指すビジネスの姿を一枚のキャンバスに描くところから、はじめてもらいたい。

参考文献

Alexander Osterwalder & Yves Pigneur, Business Model Generation: A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers (Wiley, 2010)

Ash Maurya, Running Lean: Iterate from Plan A to a Plan That Works (Lean Series), (Oreilly & Associates Inc, 2012)

Ash Maurya, Why Lean Canvas vs Business Model Canvas?, at https://leanstack.com/why-lean-canvas/ (Feb 27, 2012)

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