短期間で英語が劇的に上手くなるたった1つの方法
今の僕にとって、英語は欠かせないツールである。他の国の人とのコミュニケーション手段であり、最新の情報収集をするにしても、英語ができなければ不可能だ。しかし、かつての僕の英語力は、本当にひどかった。大学の時は外国人の教授の前で自己紹介もできなかった(しかも英語を話すのが嫌で、結局その授業には行かなくなってしまった)。社会人になってからも、クライアントから英語で電話がかかってくると、先輩に泣きつくありさまだった。その後、このままじゃいけない、と決心し、たくさんの失敗や試行錯誤を経て、ようやく今のレベルまで到達した。
僕自身が英語学習にかなり苦労してきたことから、読者の方が同じ轍を踏まないように、僕なりのアドバイスをしたいと思う。短期間で英語が劇的に上手くなるためにやるべきたった1つのこと。それは、相手の話を遮る力を身につけることだ。
■なぜ英語では「遮る力」が大事なのか?
英語上達の秘訣の1つは、できるだけ多く発言することだ。相手の話を聞いているだけでは絶対に英語は話せるようにはならないし、黙ったままでいると、話を理解し、納得していると思われてしまう。だから、相手の話を遮って、自分で発言のチャンスを作ることが重要。そして、遮る力を身につけるためには、日本人と外国人で話し方に大きな違いがあることを理解しなくてはいけない。
まず1つは、話す順番。日本人は相手が終わるのをしっかり待ってから、話を始める。待っていても、自然と自分が話す順番が回ってくる。しかし、外国人複数名と英語で会話をする時、待っていたら絶対に自分の順番は回ってこない。一人の発言に対して次々と違う人が口を挟む。するとまた誰かが被せて・・・という具合だ。まるで、女子会トークや大阪のおばさん達のような勢いで、どんどん被せてくる。こうなると、自分から割り込まない限り、発言はできない。さらに、もし理解できない部分や聞き取れなかった部分があるならば、「ちょっと待って!今のはどういう意味ですか?」とその場で聞いた方が、自分がどこまで理解しているか相手に分かってもらいやすい。
もう1つの大きな違いは、「話す」と「考える」の順番。日本人は「何を話そうかな」とまず、自分の言いたいことを頭の中で組み立てる。その後、日本語を英語に頭の中で翻訳してから話す傾向にある。僕もかつては、このように英語を話していた。しかし、この方法ではネイティブの人たちの会話のスピードについていけない。翻訳してるから遅いんだ、と思って、考えなくても英語が浮かぶように、練習もしたが、それでもダメだった。
そしてある時、アメリカ人は考えてから話していない、ということに気がついた。彼らはまず、自分がどう思ったかを先に話し、それを話しながら考えている。だから、「最初は・・・と思ってたけど、君の意見を聞いてやっぱりその方がいいと思った」といった感じで、意見が変わることもよくあった。アメリカではまず、発言することが非常に重要視されている。一度、発言をする機会を得たら何を話すかは、話しながら考えてもいい。僕はこのことに気がついてから、英語で話すことがとても楽になった。
■「遮る力」を身につける5つの方法
では、実際にどうやって遮る力を身に付ければいいのか?ここでは僕がおすすめする5つの方法を紹介する。
1.マンツーマンの練習試合をする
まず基本的なことだが、練習試合をすること。その際におすすめなのはマンツーマンで外国人と会話をすることだ。例えば、1番お金がかからない方法は、Language Partnerと言われる、お互いの母国語を教えあえるパートナーを見つけて練習することだ。https://www.mylanguageexchange.com/default_jpn.asp
また少々お金がかかってもよいのであれば、スカイプ英語などのオンライン英会話も良いだろう。逆におすすめしないのが、グループ型のレッスンをする英会話教室。実際の会話では、向こうがばーっと喋っている時に隙を見つけて、すかさず遮らなくてはいけない。
通常の英会話教室だと講師の話すスピードが、本当のネイティブの会話に比べてゆっくりであるため、この遮る力を身につけるのにはあまり適していない。
2.決まったフレーズを覚える
練習相手が見つかったら、遮るために必要なフレーズをいくつか覚えてしまおう。
・I don’t get it.(分かりません)
・Can you say that again?(もう一度言ってもらえますか?)
・Wait!(ちょっと待って!)
これらは僕が話を遮る時によく使うフレーズだ。長いフレーズよりも短い方が割り込みやすい。それぞれ丁寧度に違いがあるので、話し相手によって使い分けるためにも、複数の表現を覚えておいた方がいいだろう。
少し上級者編として、考えながら喋る方法を身につけるには、アメリカ人がよく使う主張の組み立て方を学ぶと良い。多くの場合、結論が最初にきて(I think ~)その後に理由が来る(because~)。もしくは、最初に「There are three reasons why I think ~ (私が〜と考えるのには、3つの理由があります)」と言ってしまって、そのあとに考えながら理由を並べる。このような練習をすると、話しながら理由や主張を考えられるようになる。
さらに高度な表現では、「Not to change the subject~(ちょっと話題は変わってしまうんだけど・・・)」というフレーズ。これは僕もたまに使うが、話しているうちに違うテーマを思いついた時に使える表現。これを挟むことで、自分の発言の機会を作れる。
3.話す内容の台本をあらかじめ作っておく
最初のうちは遮ったあとの台本をあらかじめ作っておいた方が、スムーズに話を進められるだろう。まず、自分の興味のあるテーマで、話し合いたいことを決める。そして、自分が絶対に伝えたいことを日本語で書いてみよう。その後、Google翻訳などのツールを使ってもいいので、自分の言葉で英語の文章を作ってみる。完璧な文法を目指すのではなく、自分の言葉で自分の言いたいことをまとめることが重要だ。このように台本を作っておけば、遮ったあとにも、続けて自分の言いたいことを主張できるようになる。
4.すぐに思い出せなかった単語・フレーズは調べながらでも喋る
話をしている途中で「これは英語でなんて言うんだっけ・・・?」と詰まってしまうこともあるかもしれない。その時に、1分以上かけても思い出せない場合は、まだ自分の頭で記憶の引っかかりができていないということ。思い出せなかったらすぐに調べて、喋る。この作業を繰り返すうちに、自分の脳の中に単語やフレーズのストックがどんどん溜まっていく。そのうちに、言いたい単語やフレーズがすぐ出て来るようになるので、初めのうちは翻訳ツールやスマホのアプリなどで調べながら、喋るほうがいいだろう。
5.究極の目標:話題の70%を支配すること
話題の70%を自分の発言が占めるくらい、発言する。これが、究極の目標だ。最初は難しいが、これほどの割合で発言ができるようになれば、外国人との会話にかなり自信が持てるようになるはずだ。最初は20%位しか発言できないかもしれないが、相手が質問を投げかけてくれるのを待っていたら、英語は絶対に上達はしない。「自分はこれが言いたい!」「ここが分からないからもう一度説明して欲しい!」など、失敗を恐れずにどんどん割り込んで、会話の支配率を上げていこう。この目標が達成できれば、きっと「英語を話すのが楽しくてしょうがない」と実感できるはずだ。
■実践的な場で「遮る力」を鍛えよう
あんなに英語を話すのが苦痛だった僕が、「相手の話を遮ってもいいんだ。」と気づいた時から、自分の言いたいことを英語で言える楽しさを感じられるようになった。参考書を買って、単語や文法を覚えることは、素振りやキャッチボールばかりしているようなもの。それだけでは、実践が足りていない。短期間で英語力を上げたいなら、何冊参考書を買って読むよりも、実際の会話で相手の話を遮る力を身につけた方が、ずっと効果的だ。ぜひ、試してみてほしい。