民泊新法(住宅宿泊事業法)はホントに改悪法なのか現状と比較してみる

政府は2月22日に、いわゆる民泊新法の概要を公開しました。今後3月上旬に閣議決定されて、今国会に提出されるスケジュールのようです。

この法案を巡って、既存の民泊事業者、ホストの多くは反対の姿勢を示しておりシェアリングエコノミー協会は意見書を公開、また家主居住型(ホームステイ型とも呼ばれる)のホストで組織される東京・京都・北海道のホームシェアリングクラブは Change.org にて法案内容の変更を求める署名活動を開始しました。

多くの民泊関連サイトでも指摘されている法案の注目点は以下です。

・家主在住・不在に関わらず年間180日を上限とする(自治体は条例でそれ以下にも設定できる)
・家主不在型の民泊施設管理業者は登録が必要
・家主居住型のホストは個人情報を玄関に表示する、また家の間取り図を提出するなどといった届け出が必要


一見するとかなり厳しい内容だなという印象を抱きます。海外の事例ですとロンドンは90日、パリは120日までであれば届け出が必要ないとのこと。いままでAirbnb でホスト活動してきた方に取っては、この法案に従うとするとかなり煩わしい届け出作業が発生するだけでなく、もっとも致命的だと言われているのは、持ち物件の稼働率が年間180日以内ということになれば最大でも50%に制限されてしまうことです。既存の事業者、個人ホストが反対するのも当然と言えます。

ですが、もう一方の見方として、いま現在も”グレー”という表現のもと事実上違法に営業している業者を尻目にかけつつ合法的に活動している事業者も少ないながらいます。そちら側からすると今回の新法はどう映るのでしょうか?

まず今までは民泊特区と言われる東京都大田区、大阪市、以外は旅館業の免許を取らないと営業出来ませんでした。旅館業を取るというのはその名の通り旅館や民宿を運営するのと変わりません。建築基準法、消防法、そもそも立地が適しているかどうか、などかなり厳しい条件をクリアしないと取得できませんので、一個人が副業的に始められるようなものではありません。また特区では家主居住型は不可でした。特区では最低宿泊数というものもあり6泊以上でしか貸し出すことができません(大阪市は今年から2泊以上に変更されました)。以上を鑑みると、今までの特区民泊、および旅館業を取得しての民泊は非常に限られた事業者のみに門戸が開放されていたような状況で、参入できたのは個人ではなく事業会社がほとんどでした。ですので東京でも大田区以外特区に名乗りを上げる区は出てきませんでしたし、全国的に見ても普及しているとは言えない状況でした。

それが民泊新法によりどう変わるのでしょうか?

・家主居住型が可能になる
・最低宿泊数の縛りがなくなる可能性(まだ明確に言及はされていませんが)
・特区外でも旅館業の免許は不要。届け出は必要

大きな変化としては、家主居住型が解禁されること、旅館業が不要になること、最低宿泊数の縛りが無くなる?といった点があります。

しかし、合法勢、グレー勢どちらにとってもやっかいなのは180日制限でしょう。より大きなダメージを受けそうなのは実は家主同居型です。現在民泊の多くを占める家主不在型のほうが、年間稼働率がMAXでも50%にまで制限されるので非効率な投資になってしまいそうですが、これに対するソリューションは既に提案されており、残りの180日を賃貸に出すという方法があります。マンスリーマンションは30日以上の賃貸契約になりますので、180日を民泊に、残りをマンスリーマンションとして貸し出すというハイブリッド型運用をすれば年間を通して物件を稼働させることも可能です。また少し逸れますが、サービスアパートメントの事業者もマンスリーで貸出をおこなっていますが、契約の切れ目に民泊を活用することでいままで以上に稼働率を上げることが可能になり、SAは基本家具付き物件ばかりですので、この新法で一番の恩恵を受ける事業者と言えるかもしれません。

ですが家主同居型はマンスリーマンションとして貸し出すことはできません。似たような業ですと同じく30日以上で下宿として部屋を貸し出す方法がありますが、下宿は旅館業にあたりますので許可が必要になり、条件をクリアできない物件ですと許可を得ることができません。

最後に。Airbnb で180日以上稼働している物件の数を調査した会社の発表によると、43,906件のうち6124件が該当し、全体の約14%だということでした。14%の物件の平均稼働日数は264日ということです。


まとめ:

・合法的にやってきた事業者と、グレーな状態でやってきたホストでは受け取り方が異なる。合法勢から見るといままでよりも”マシ”になった印象
・条件の緩和は望まれるが、合法的に家主同居型が開始できるようになるのはポジティブ
・既存の高稼働家主同居型ホストが一番痛手を被る可能性あり
・Airbnbホストの86%は現状180日制限でも問題は無し