鳥取と島根を比較する

鳥取と島根の観光事情はどうなっているのか、県の発表資料を元に比較してみました。またそれぞれの県庁所在地である鳥取市と松江市の歴史からどのように現在の町並みが形成されていったのかもまとめてみたいと思います。

観光入込客数

入込(いりこみ)客という言葉がまず馴染みがありませんでした。

入込客とは、観光地や遊園地などの施設、観光地域などの入場者数、来訪客のことのこと。自治体などが地域に訪れた観光客数を「観光入込客数」と表現することがある。

インターネット用語でいうところの”セッション” に近い意味合いだと理解すれば良いですね。一人が県内の観光地を数か所訪れても1カウントではなくカウントアップされるようです。ですが統計資料を細かく見ると”延べ人数” と”実人数”という表記があります。実人数の方がユニークビジター数に該当する数字なので、こちらを用います。

では早速比較してみましょう。2015年(平成27年)1月1日〜12月31日までの統計資料を参照します。

鳥取県:1,044万人 うち県内:県外比 37:63
島根県:1,414万人 うち県内:県外比 32:67

島根県が430万人上回っています。また来訪者の比率としても島根の方が4%程県外から多く集客しています。

宿泊者数

入込客に含まれていますが、観光で訪れた方のうちどの位の数が宿泊しているのでしょうか。日帰り客よりも宿泊客の方が落とす金額は多く、その土地により強く魅力を感じている観光客、と言えます。温泉旅館や市街地のホテルの数にも影響されますね。と、ここで問題が発生。島根県の調査報告書には実数が記載されておらず、延べ数とのこと。ただ宿泊については延べも実数も大差は無いかと推測します。

鳥取県:246万人(実数)
島根県:368万人(延べ数)

こちらも島根県が100万人超上回っていますが、集計方法が異なるので、参考値とします。

外国人宿泊者数

海外から訪れる宿泊客数の比較になります。どちらも前年比を大幅に上回っており、インバウンドの盛り上がりは地方にも波及していることがわかります。国別TOP5は、鳥取が 1.韓国 2.台湾 3.香港 4.中国 5.アメリカ となっており島根が 1.台湾 2.韓国 3.香港 4.中国 5.アメリカ となっています。

鳥取県:10万3430人(延べ数)
島根県:5万1899人(延べ数)

ここでは鳥取の宿泊者数が島根の倍になっており、韓国をはじめとしたアジアからの客数の伸びが著しいです。

引用:鳥取県観光客入込動態調査結果
引用:島根県観光動態調査結果

主要観光スポット別入込客数

県内のどこに人が集まっているのか、比較してみます。

鳥取県は東部の鳥取砂丘が一番人気で、次いで水木しげるロードや大山のある西部地域、コナンくんの原作者青山剛昌記念館や古い町並みが残る白壁土蔵群などがある中部となっています。

島根県は東部の出雲大社が圧倒的に人気で、日御碕灯台、島根ワイナリーと出雲市の観光スポットが続き、次いで隣の松江市にある玉造温泉、松江城周辺、美保関神社も上位に入っています。東部以外ですと中部太田市の三瓶山、西部浜田市の石見海浜公園もランクインしていますが、鳥取と異なり東部に人が集中しているのが特徴です。

引用:鳥取県観光客入込動態調査結果
引用:島根県観光動態調査結果

自然の鳥取、文化の島根

ざっくり観光資源の特徴を表現するならば砂丘や大山を有する自然の鳥取と、出雲大社、松江城、など歴史的建造物の多く残る文化の島根、とそれぞれの特徴を表すことができそうです。歴史的な背景もありますが、鳥取は戦時中の鳥取地震、戦後に起きた鳥取大火により市中の古い町並みや建造物の殆どが失われ、1876年に鳥取が島根に編入合併された際に鳥取城も取り壊されるという不幸が続いた結果、東部に文化的建造物が少ないようです。

観光入込客数の比較としては島根県の方に軍配が上がる理由も上記による観光コンテンツのボリュームがそのまま数字に表れているのではないでしょうか。その上で鳥取がアジアを中心にインバウンド施策を進めているのは納得がいきます。香港や中国など人口の密集する大都市居住者にとっては、安全でクリーンなイメージのある日本の自然に触れたいというニーズは高いようです。そこから推測すると現在集計には表れていないシンガポールも開拓の余地があるように感じます。一方島根は出雲・松江の文化コンテンツに強みがありますので、欧米系旅行者をもっと獲得できるのではないかと思いました。国・地域ごとの興味についてはデービッド・アトキンソン氏の新・観光立国論がとても興味深いので、リンクも記載しておきます。

追記:
鳥取が進めているまんが王国化というものを忘れていました。聖地巡礼も盛り上がっているという話を聞きます。まんがもアジア向けには魅力的なコンテンツのひとつですね。

参照資料:

鳥取県観光客入込動態調査結果
http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/226510/H27sassi.pdf

島根県観光動態調査結果
http://www.pref.shimane.lg.jp/tourism/tourist/kankou/chosa/kanko_dotai_chosa/report_h27.data/5_report_all.pdf

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論