写真に関する話題でややこしくなる要因: 1:写真は記録触媒であり、美術などの表現手段でもある

Oda Nobunaga
5 min readJan 11, 2024

--

その他に、

2:写真機材は、機材好きな人のガジェット遊びのネタであるので、高い製品な以上、数字上のスペック性能にこだわりを持ちたがる

また取材の道具という記録手段であるので、一瞬を逃さない高速なAFなど性能は大事である

反面

創作の道具なのだから、解像度が高い機材、解像度が甘いレンズを絵筆のように使い分けるのは当然で、スペック遊び にこだわりすぎるのは良くない

一枚一枚じっくり撮るので、AFなどが常に最新である必要はない

と、どちらも正しいことが混在しちゃうのが、写真関係サイトで多くの人が、混乱しちゃう元となっています

— — -

例えば、美術では、隅々までの均一性=シャープさとか、レモンボケが出にくい、などは、人間の知覚本能から見て、必ずしも良いこととはされないのに、

写真では、口径食のレモンボケは悪じゃ~ 隅々までシャープでないのは風景ではいかんのジャ~

とか、おおよそ人間の視覚の仕方を無視した意見が聖堂のようにまかり通っていますね

これは、カメラ機材を売りつけたいメーカーが、広告費がほしい雑誌、ウェブメディア(バカが書き込むと揶揄される価格コムとか)、買わせるカメラマン(Youtuberにも露骨な人はいますね)が、高い機材を買わせるために、自分に都合の良いあるべき写真論を念じて宣伝しているのを、真に受ける人が多すぎなせいもあります

— —

キットレンズは画質が低いので作品撮りはできない?

美術作品は、無駄な解像を省くことで、自分の表現をするものなので、何でもかんでも克明に写り込ませることは、実のところ美術理論では、悪なことが多いです

浮世絵の風景や、西洋の印象派の画家見てみましょう

細かいディテール=解像を省略して、自分の作画意図を強調するやり方です

解像度が高ければいいのは商業など見本の写真で

作品ということになると、解像はそんなに重視しなくても良く、むしろ部分分落とすのが正解

**まあ風景写真では隅々までシャープなのが正しいとか言ってるキチガイが、写真では今でも多数ですが

1860年代には特に著名だった、旅行写真家Francis Frith(England 1820–1899)が、Francis Frith, “The Art of Photography”, The Art Journal 5 (1859)という記事で、同じ英国のEmersonも後に指摘したことを書いていますが

We now come to the disadvantages of this attribute: for it happens, by a singular fatality, that upon it hangs the chief reproach to photographic reproductions as works of Art. The fact is, that it is too truthful. It insists upon giving us ‘the truth, the whole truth, and nothing but the truth.” Now, we want, in Art, the first and last of these
conditions, but we can dispense very well with the middle term. Doubtless, it is truly he province of Art to improve upon nature, by control and arrangement, as it is to copy her closely in all that we do imitate; and, therefore, we say boldly, that by the non-possession of these privileges, photography pays a heavy compensation to Art, and must for ever remain under an immense disadvantage in this respect.

— — —

まず、自分は写真で何をやりたいか、

ということを判断しましょう

創作の道具なのか、記録の道具なのかでも

正解は180度逆になったり

ただの機材マニアックなら、カタログ数字スペック追求 俺のレンズは最高 というのも、全然正解ですが

美術作品創作の道具として考えたときは、その考えは、えてして間違っているときが多いのです

--

--