PPSNのはなし

t2hnd
4 min readDec 16, 2017

ダブリンアドベントカレンダー16日目まできました。今日はPPSNについて書いてみます。

PPSNはPersonal Public Service Numberの略称です。要は公共サービス利用のために個人に紐づけられる番号で、日本で言うところのマイナンバーにあたります。公共サービスの利用のほか、所得税や年金の納付情報などとも紐づくため、アイルランドに居住する場合には取得が必須になります。

例えば、新しくアイルランドで働き始めることを考えてみます。雇い主が決まれば労働許可書は事前に申請できるので、入国については心配いりません。無事入国し、働き始めることができます。
しかし、給与から適切に税額を控除するためには、PPSNとそれに紐づく納税者情報が必要になります。これがないとEmergency taxと言って「とりあえず多めに」税額が控除されてしまいます。もちろん多めに控除された分については申告することで調整は可能ですが、なかなか辛い。

このPPSNはアイルランド国内の居住者であることが前提なので渡航前に取得することはできません。取得の際にはDEASP(厚生労働省)の窓口を事前にWebで予約し、訪問する必要があります。2016年、2017年の状況を見ているとGNIBほど窓口の枠は厳しくないですが、窓口は早めに抑えて入国後できるだけすぐに取得するのがオススメです。

ちなみに申請時にはアイルランド国内の住所が必要ですが、家を借りる時にはPPSNの提出を求められたりします。デッドロックが発生・・・と思いきや、PPSNの申請については一時滞在場所の仮住所で申請後住所変更をするといった対応でも大丈夫なようです。ただし、PPSN番号やPPSNカードが翌週くらいに封書で届くのですぐに移ってしまうところは避けたほうが良さそうです。私のときは書留とかではなく普通郵便だったので、本人じゃなくても受け取れちゃうのではないかと思います。

日本では任意発行のマイナンバーカード。アイルランドではPPSNを取得すると自動で写真入りの Public Service カードが発行されます。裏面にPPSNも入っていますが、今の所日常生活で提示を求められたことはありません。免許の申請の時に窓口で見せたくらいでしょうか。

Public Service カード

カードには英語の他にアイルランド語の表記も記載されています。
電子チップ上に生年月日なども保管されているそうです。

http://www.welfare.ie/en/downloads/DigitalGovernment2017-PSC-MyGovID-1Jun2017.pdf より

サラリーマン的なPPSNの必要性としては税額の控除がありますが、その他にも政府系のオンラインサービスがPPSNと連携して利用できるようになっています。たとえばTax Refund の申請や社会福祉サービスの申請などに利用することができます。

https://www.mygovid.ie/en-IE/AvailableServices

アイルランドのPPSNを中心とした電子政府は特別凄いというわけではないですが、必要なことをきちん抑えて実装していっている感じがあります。早く日本のマイナンバーもこのくらいは使えるようになって欲しいですね。

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t2hnd

山籠り中のサポートエンジニア。2016/10–2020/04までアイルランド・ダブリンに住んでいました。アイルランドや山梨の山籠り生活について綴ります。