行政職員のためのQGIS導入事例(と交渉術)

Muneharu Takahashi
7 min readFeb 17, 2018

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よくあるシステム管理者との壁

どこかで、QGISのことを知り、自分の自治体で導入してみようとしたとしても「ウチの自治体では無料ソフトのインストールは禁止されている」と言われて困ってしまったことはありませんか?
今回某兵庫県S市においてそういった事例が発生したため、この機会によそでの導入事例を聞かせていただき少しまとめてみました。

よくある課題

① オープンソースソフトは、作成元の証明がない場合などは導入できない
②ウチの自治体では無料ソフトのインストールは禁止されている

導入事例

①北海道庁ー ソフトウエアの導入に関しては、情報政策課にライセンスの申請、確認、許可してもらい、セキュリティ管理者(各部局の課長)が許可すればインストールできます。
フリーソフトでも広く利用されているものであれば、導入できます。
② 統計担当からJSTATを活用するために入れたいと相談があり、CADやGISの想定した端末選定してないから重いかも知れないけど、その点の了承とQGISの問い合わせを端末管理部門にしないことという条件で、申請制ですが希望があればオッケーしています。
③ 富田林市ー インターネット分離の前から職員の申請があれば情報担当がインストールしてくれています。低廉な価格(無料)で空間データ活用が進むのをメリットと判断してくれています。
④ 会津若松市ーハザードマップにQGISを利用
⑤山形県庁及び県内市町ー 農業系の部署では土地改良連合さんが配信しているデータの利用端末としてQGISを利用(参考:http://www.aric.or.jp/03_book/121_130/no123/topics/123-5.pdf

⑥福島県ー 平成25年頃に、ハザードマップ作成ツールと称してQGISとデータセットを収めたCDROMを県内市町村に配布
⑦総務省ーhttp://www.stat.go.jp/training/1kenshu/h28/28gis.htmのように講座を行っている
⑧国土交通省ー https://www.col.mlit.go.jp/?page_id=121のように研修を実施
⑨林業関連で役場から受託研究を受けた時に、スタンドアロンなPCにデータと共にQGISを導入と講習会を行いました。研究終了後もそのまま使っていただいています。

導入・運用のマニュアル類

①国土交通省ー国土交通省交通大学の研修でQGISを活用。http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/other/manual.pdfのような形でマニュアルを配布
②農林水産省ー http://www.maff.go.jp/j/tokei/census/shuraku_data/内のデータ利用の手引き(http://www.machimura.maff.go.jp/shurakudata/doc/tebiki_2015.pdf)が③「QGISデータ」の利用方法について(https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/pt/topics/gis_manual.pdf
④ 「 Quantum GIS」活用演習 (操作演習・教材作成演習)http://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/gis/gis/kyoiku/02_3q-gis_text.pdf
⑤農林水産省(平成29年3月:筆ポリゴン利用の手引き)http://www.maff.go.jp/j/tokei/porigon/attach/pdf/index-4.pdf
参考:筆ポリゴンデータの提供について(平成29年3月28日)http://www.maff.go.jp/j/tokei/porigon/index.html
⑥地方公共団体福祉部門のための QuantumGIS 操作マニュアル( 平成 25 年度稲城市 GIS 勉強会 改訂版)
http://www.mlit.go.jp/common/001037797.pdf
⑦ QGIS による土地利用変化による災害リスクの変化の検討http://www.mlit.go.jp/common/001152699.pdf
⑧ フリー(自由)な GIS を利用した森林管理 (北海道檜山振興局産業振興部)
http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/kikaku/pdf/24happyou_s_11.pdf
⑨が「GIS実習オープン教材」(東京大学空間情報センター)
https://gis-oer.github.io/gitbook/book/
⑩GIS講習会(北海道森林管理局)全4回
https://denthor.exblog.jp/21619059/
https://denthor.exblog.jp/21654247/
https://denthor.exblog.jp/21782772/
https://denthor.exblog.jp/21949665/
⑪【書籍】業務で使う林業QGIS 徹底使いこなしガイド http://www.ringyou.or.jp/publish/detail_1409.htm

GIS利活用に使えるフリーのデータ場所

①国土数値情報ダウンロードサービス(国土地理院)http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/
②e-stat地図で見る統計
https://www.e-stat.go.jp/gis
③ G空間情報センター(有料データも有り)
https://www.geospatial.jp/gp_front/
④ 室蘭市オープンデータ
http://www.city.muroran.lg.jp/main/org2260/odlib.php
⑤ 地すべり地形(防災科学技術研究所)
http://dil-opac.bosai.go.jp/.../nie.../landslidemap/gis.html
⑥ シームレス地質図(産業技術総合研究所)
https://gbank.gsj.jp/seamless/index.html?lang=ja

QGISを学ぶための書籍

①業務で使うQGIS Ver.3 完全使いこなしガイド( 喜多 耕一 (著) )

交渉事例

① 県だったか、国土地理院だったかに問い合わせてお墨付きをもらった
② 空間情報の活用やオープンデータに関する議会答弁で、検討、研究すると答えている幹部は具体的な事がわからないので、その答弁の具体的対応ができますよというアピールをすると、提案が実行されやすいですね。その一環としては専門知識のある職員は、その分野においては活躍しやすいです。(職場のバックアップは期待できませんが。)

サポート体制

①GEOREPUBLICさんはサポート業務を行っている(https://georepublic.info/ja/products/qgis-enterprise/)
②無料が問題なだけであればNPO の方で交通費+時給程度の価格で受けることは可能です。ただ、保守は負えないので、本当に導入+簡易マニュアルの提供のみ。

後日談

S市では市長への提案制度が復活したので、そちらで提案。
(採択を考えるメンバーに外部機関の人がいたのが大きかったです。県の博物館の人はそりゃGIS入れるの必要だよねと好意的でした。)制度が復活して最初だったので、審査がズルズルだったので、簡単に採択されました。官民データ法の成立も後押しされ、そちらの方面からも後押し。
今後はオープンデータにより出来る地図表現を深めていくと共に、庁内でしか流通しない情報(最新の人口分布など)を庁内向けに横串展開していく予定です(2019年時点)

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Muneharu Takahashi

Civil servant 三田市という場所で働いています。オープンガバメントやシビックテックに興味があります。