「定点観測」研究序説:3・いつまでも流行っているアレ①

takano kumiko
3 min readFeb 15, 2017

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今日も思わずスマホで撮影してしまった。

四角くてツーウェイの「Anello(アネロ)」というブランドのリュックである。今日は自宅の目の前の交差点を渡ってものの10秒で遭遇。赤ちゃんを抱っこした若いママさんだった。

最初にソレを見たのは、2015年12月5日(土)に実施した「定点観測」の時だった。当日のテーマは「男女リュック」。若い男性を中心にノースフェイスやコールマン、シュプリーム、コールマンといったアウトドアやエクストリーム系などの「スポーツブランドのリュック」が急増していた一方で、若い女性にはお母さんからのお下がりか古着ショップなどで購入したのでは、と思われるようなルイヴィトンやコーチ、マークジェイコブスなどの比較的小ぶりな「ブランドリュック」が増え、男性も女性も若い世代のバッグはリュックが主流になってきたな、という考察をした月だった。

ちなみに、この「多いな」とは、独りよがりな“感じっこ”の話ではない。毎月の「定点観測」では、メインテーマに関して、13:30〜14:30の1時間、その着用者数をカウンターで測定しており(アナログだが)、通行人数に占める割合=着用率を調べている。しかも、渋谷だけでなく、原宿と新宿も同時に測定。数値を比較検討し、感覚との差異をみんなで確認する。

当日の「男女リュック率」は3地点合計で、男性が23.0%、女性が13.4%だった(女性N=5,027人、男性N=4,117人)。女性がマークした13%は、ちょうどM・ロジャースが提唱する「イノベーション曲線・普及曲線(または流行曲線)」が示す「イノベーティブ(まさに流行りはじめている)」のボーダーラインと重なった。長年測定していると、「流行ってるな」と感じるとだいたいこのくらいの着用率になるから面白い。

そうみると、23%という数値は「かなり流行っている」「多いなあ」ということを示していることになる。

それだけ流行ると、そろそろその流行から「離脱」する人が増えるか、デザインにバリエーションが出るかのどちらかになってくる。

その後も継続して路上を観察した結果、今回の流行は、後者であることがわかった。なかでも、ぐんぐん増え、目につくようになったのが、ソレ、「アネロ」だったのである。(つづく)

http://www.web-across.com/observe/srnrj2000003byf3.html

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takano kumiko

若者とファッション・カルチャーを研究する「ACROSS」というメディアの責任者です。文化学園大学大学院講師。Representative of the research dept. in fashion & culture of PARCO Co., http://www.web-across.com/