おおざっぱGrowth Hack
はじめまして、森口です。ALTR THINKという会社でひまチャット (iOS/Android) やら GirlsChat (iOS) やら Fivy (Video) やらなんやらをつくったりしてる人です。一応代表兼デザイナーということにしています。好きなのはコアラとエビとラムとチーズ。嫌いなものはキノコ。最近のよろこびはひまチャット内でのチャット数が1億件を超えたこと。
で、本題ですが、Growth Hackって、読んでてすごいわかりやすい記事がたくさん出てるし、改めて書くことも無いかなと考えたりもしたのですが「わかる」記事はたくさんあっても、実務に落とし込まれるレベルで「できそう」な記事はあまり見ないなぁ 敷居高いなぁ と思いまして、ALTR THINK社でやっているWorkflowの紹介という形で記事にしてみることに。わりかしざくっとに書いてるので実務上ではノリと勢いでアレンジしてやる感じになりそうですが、まあ誰かしらの参考になれば。
前提
そもそもの目的は「サービスを使い続けてくれる人を増やす」ですが、そこに至るアプローチをかなり大雑把に分解すると
- 流入を増やす
- 離脱を減らす
この2つになるかと思います。今回紹介するは「離脱を減らす」ことにフォーカスしたワークフローです。
更にその内「なぜ離脱したか?」という題に対する現状を以下のように分析し
- コアバリューがそもそもちゃうかった
- ターゲットではなかった
- サービス設計が不適切であることによってユーザーにコアバリューを届けられていない
3番によってサービスの継続率が低く留まり、成長が鈍化している場合においてこのワークフローは効果を発揮します。逆に言えば、コアバリューがそもそもちゃうのにプロダクトを改善しても意味がないし、ターゲットじゃないユーザーに向けてこれをやるのも同様に意味がないので、それぞれ相応のところまで戻って対処するべきです。(コアバリュー見なおしたり、ターゲット再設定したり。)
ではどのようなフローを用いて「サービスの設計を最適化し、ユーザーに価値ある体験をとどけ、再訪率の最大化を達成するのか。」について記述していきたいと思います。
Workflow
大項目をまとめます。
- Magic Numberの発見
- Funnel設計
- 仮説の立案/実行/測定
(3を任意のイテレーションで反復する)
以下にて各項目について詳細に解説していきます。(例として弊社にてこっそり立ち上げ中の “Fivy” というTinderとChatrouletteをかけ合わせたようなAndroidアプリを用いています。 ※ただしデータはダミー)
1. Magic Numberの発見
まずは目指すべき指標を発見しましょう。Twitterであれば「5人以上フォローする」 Facebookであれば「7人以上と友達になる」と言ったような「これをやったユーザーは継続する」と言える数値 (Magic Number) を発見するのです。
まずは「サービス利用開始初日の行動」に着目します。というのも、サービス利用開始初日でサービスのコアバリューを認知することができなければ、かなりのユーザーが離脱してしまうから。
Fivyにおいて、初日に “60秒以上の通話を経験したユーザー” は “60秒以下の通話しか経験していないユーザー” と比較して7日継続率が2倍以上になる。
といったようなアウトプットイメージを以下のスプレッドシートを用いて見出します。
このスプレッドシートでは、大項目としてサービス利用初日に経験したコアバリューに関連する数値を扱います。サービス企画段階の価値設計がしっかりできていれば関連数値を洗い出すのは難しくないはずです。
詳細ですが、連続再訪率 (%) をマトリクスで表記してあり、縦軸がKPI候補の数値、横軸が日にちです。良好な数値をひと目で判断できるように、条件付き書式を用いて自動で色分けされるようになっています。こうすることにより、シート状に赤→緑であったり黄→青といったような、数値が跳躍する部分が現れる場合があります。その際の縦軸の値がサービスのMagic Numberです。
少しわかりにくいと思うのでデータを用いて説明します。Fivyのダミーデータ上では「初回通話時間」の場合、60秒を境に急激に継続率が伸びているのに対して「通話回数」に関しては、なだらかな相関を見せています。これはつまり「初回通話時間60秒以上」を達成項目としてプロダクトを改善した方が、通話回数を増やす施策を打つよりも圧倒的に工数対効果が高いことを判断できるようになるということです。
最終的には以下のような認識をチーム内で共有できると良いでしょう。
60〜120秒の通話を初回通話で経験しているユーザーの内48%は7日間継続している。(60秒以下のユーザーと比較すると30%もの差がある)
つまり、初回通話で60秒以上の通話を経験しているユーザーの数を最大化できれば、7日継続ユーザーの数を効率よく増やすことができる。
これが本項冒頭のアウトプットイメージの詳細です。
さて、これで「初回通話時間60秒」というMagic Numberが決まりました。(実際はまだ決まってないですが。)
次に進みます。
2. Funnel設計
次は「1. Magic Numberの発見」で決定したものをゴールにし、以下の手順に沿ってFunnelを設計します。(Funnel分析についてはこちらを参照。※良いソースがなかった。)
- Magic Numberを達成しているユーザーの初日行動履歴を抽出
- もっとも共通して見られる行動を主にしてFunnelを構築
これも見てもらった方がイメージがつきやすいかと思います。
こんな感じ。
つまり「1分以上通話してもらう←ローディング待ってもらわなあかん←マッチせなあかん←Likeしてもらわなあかん←リストまでたどり着いてもらわなあかん←起動してもらわなあかん」といったような形で敷いた線路の上で、どのタイミングで離脱したかを可視化するということです。
画像の例では「LikeとMatchの間で40%も落ちてるからそこがボトルネックだよね」と分かる感じ。
これだけでも充分改善プロセスは回せるのですが、ALTR THINKではもう一歩踏み込んだ形で改善フローを回そうと試みています。それが以下です。
ここでは「初回起動から5日間で何日起動した日があったか」をL1〜5という指標を用いて表し、それぞれに対してFunnelを表記しています。(L5が5日連続起動)
何故かというと、非継続ユーザーから順次Funnel最適化していった方が圧倒的に工数対効果が高くなるからです。L1の指標を改善して、L1の割合が減ってきたらL2の改善を行って。。。というようなイメージです。
さてさて、ついにこれで改善の下準備が終わりました。
3. 仮説の立案/実行/測定
上記で洗いだしたボトルネックに対する仮説を任意のイテレーション毎に立て、スプリントで実装し検証する。というフローになります。ボトルネックの特定から改善施策を出すためにデータを深堀りしたり色々やるわけですが、チームとして様々なアイデアを生み出し、フラットに検討していけると良いかなと感じます。DesignSprintなんかはここのフェーズの上での方法論ですね。(Pocketの事例が分かりやすいです。)
ALTR THINKではグロースハッカー風な人を絶賛募集中です
私自身「グロースハッカーってどこからどこまでよ」って思ってるクチですが募集してます。興味があれば mrg.tky@altrthink.com までお願いします。森口直通です。是非に。かなーりデータの宝庫だと思うのでやりがいあると思います。
(あ、関係ないですがAndroidエンジニアの募集もしてます。)
ではでは