先日、モナバコ(monabako)というWebサービスをリリースしました。
sarahahなどのQ&Aサービスのインターフェースにモナコインを組み合わせたアプリケーションです。質問者はモナコイン付きで質問をします。質問を受け取った者はその質問に回答することで初めてそのモナコインを受け取れるという仕組みです。質問はモナコインなしでも行なえます。
既存のQ&Aサービスと差別化されている点は回答することにインセンティブがあることです。モナバコの質問一覧ページではより多くのモナコインが付いた質問が優先的に表示されるため、本気で質問に答えてもらいたい投稿者のモナコイン付き質問は回答者の目に留まりやすくなります。
さて、今日はWebアプリケーションに暗号通貨を組み入れることの意味について私の考えを述べていこうと思います。
日本で流行っている暗号通貨の中でサードパーティ製のアプリケーションが一番充実しているモナコインを例に、ある架空の事例を考えてみます。
Aさんは前々から暗号通貨の世界で情報収集をしていましたが、トレードが苦手なため利益は出ず、マネタイズが出来ていませんでした。しかしTwitterでの活動は長く続けていたので、フォロワーだけは沢山いました。
ある日、彼女はタイムラインでたまたま見つけたモナバコというサービスに登録し質問の募集をしてみました。するとフォロワーからモナ付きの質問がいくつも届いたのです。質問に答えていくとアカウントのモナコイン残高はどんどん増えていきました。
モナバコをきっかけにモナコインに興味をもつようになりました。monappyというサービスではモナコインで決済を行うフリマ機能もあり、食料品までも買えることを発見します。彼女はモナバコで手に入れたモナコインをmonappyに送金し、食料を手に入れることに成功したのです。
ここで一番重要なポイントは、Webサービス間でお金の移動が簡単にできることです。
既存のWebサービスでは、それぞれ独自に日本円を入金させる仕組みがあり、入金した日本円はポイントに変換されそのサービス内で消費するしか選択肢はありませんでした。たとえポイントが余ったとしても、出金/換金はできないのが一般的です。そのため各社は自社内で使える選択肢を増やすためにプラットフォーム内のサービスを拡充させてきました。例えばニコニコ動画でニコニコポイントを購入すると、電子書籍やゲーム、有料ブログの購読などに使えます。
ニコニコ動画、DMM、モバゲーといったサービスがこのモデルです。
ユーザは入金したお金をそのプラットフォーム内のサービスで消費するしか選択肢はなく、出金/換金などは基本的に出来ません。サードパーティ開発者視点で見た場合も、プラットフォーム手数料など多くの懸念材料があります。
プラットフォームに依存せず、独自の入金システムを持つサービスはどうでしょう。例えばnoteはクレカで入金させ、自社内のポイントシステムでお金の管理が行われています。しかし、noteで自身が持つポイントを別のサービスで利用するには必ず銀行を通さなければなりません。noteで有料記事を販売しお金を稼いだ人が、それを使ってメルカリで買い物をしようとした場合、一度銀行に出金しそしてメルカリに入金することで初めて成り立ちます。
さて、ビットコインやモナコインといったインターネット上で自由に流通させることができる共通通貨がある今、プラットフォームを作ったり銀行入出金を強制させることはナンセンスです。各事業者が運営するWebサービス間でダイレクトにお金の移動ができるからです。
未来のWebサービスはユーザにとって多くのメリットがあります。
- 銀行を使った資金移動の手間を省ける
- 銀行手数料がかからない
- 余ったお金を別のサービスで利用できる
開発者のメリットを挙げるとすれば、
- 参入障壁がかなり低い
- プラットフォーム手数料がないため、初期コストも抑えられる
などが考えられます。もちろん、価格変動リスクやコインのハッキングリスクも存在するため、課題はまだまだ山積みです。
はじめに述べた架空の事例は既に実現可能なものです。モナバコでモナコインを受け取りながら回答しているユーザも存在し、monappyでは実際に食料品を出品しているユーザも少なからず存在します。
ツイッターでの信用を食料に変換する、これは今まで存在しなかった経済圏です。
この未来のWebサービスの形は始まったばかりで規模はまだ小さいです。暗号通貨をサービスに組み入れた事例は数えるほどしか存在しません。
しかし、暗号通貨を保有する人の数は確実に増加しており各事業者がサービスに組み込む流れは確実にやってくると思われます。
あなたがもしエンジニアなら、ビットコイン/モナコインの入出金機能を持つサービスを作ってみると必ず面白い発見があるはずです。一緒に新しい世界を作っていきましょう。