モバイルアプリ時代のプロトタイピングに求められるもの

Keisuke Tada
5 min readJan 26, 2016

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先日 Cookpad TechConf というイベントに登壇して、モバイルアプリのプロトタイピングについて話した。最近のモバイルアプリのプロトタイピング手法とその実例について取り上げたが、今回の発表で踏み込めなかった背景の話について書き残しておこうと思う。

モバイルアプリのインタラクションプロトタイピング

なぜモバイルアプリでプロトタイピングが必要なのか

一言で言うと、モバイルアプリを作るのが大変だから、ということだと思う。自分の実感値だけど、モバイルアプリは Web アプリに比べて作っている時にどうも小回りが効かない感じがする。もちろんどういうものを作るかによるんだけど、基本的に Web アプリのようにとりあえず良さそうなアイディアを実装して試す、みたいなことはやりにくい。自分は元々実装するのが好きだし、速く実装始めたほうが最終的なゴールまで速くたどり着けると思っていたけど、実際に iOS アプリを作って直し続けているとそういうわけではないことが分かった。

なぜ Web アプリとモバイルアプリでこのような違いが起こるのかというと、Web アプリとモバイルアプリでのプロトタイプのコストと精度のバランスの違いだと思う。詳しくは The Fidelity Curve: How to weigh the costs and benefits of creating UI mockups に書いてあるが、要は Web アプリだと静止モックとか動作モックとかに時間をかけるより実装しちゃったほうが時間がかからない割に精度が高くなるけど、モバイルアプリだと実装コストが高いからその穴を埋めるために動作モックはコスパがいい、という話。これは自分の経験と照らしあわせても納得感が高くて、かかる時間が同じで精度が高くなるのであれば、プロトタイピングによって確かめられることの確度が上がるし、最終的なアウトプットまで速くもっていけるから良い。ただ、結局プロトタイピングは確かめたいことに合わせて精度をどこまで持っていくか、ということが決まって、その精度を達成するために最短でどのような方法を取るのがベストか、ということに尽きるので、精度が上がって時間が同じという都合の良い方法がなければ目的によってプロトタイピング手法を変えていくほうが良い。

そのような理由があって、今回の発表ではモバイルアプリのプロトタイピング、特にかかる時間と精度のバランスが良い動作モックについて詳しく取り上げた。最近のプロトタイピングツールの発展はすごくて、学習コストが低くて手間もかからず高精度なプロトタイプを作ることのできるものが増えている。

この中でも個人的に好きなのが Flinto for Mac で、とにかく手軽さとプロトタイプの精度がすごい。動作モックを作ってそれを元に議論をしたりヒアリングをしたりする時、他人に見せるときの精度を結構上げないとモックを触る人に余計な補完を強いることになって、本当に確かめたいことが確かめられているか不安になる、ということがよくあるけど、Flinto for Mac で素早く作ることのできるプロトタイプの精度だと十分だと思うことが多い。

プロトタイプは自分でイメージできるかということよりも、他人がイメージできるかということのほうが大事で、他人からのフィードバックをどれだけ早期に得るか、ということがプロダクトの品質を速くあげるということに繋がると思っている。プロトタイピングは立てた仮説を検証するための手段なので、自分のできることをただやるのではなく、何がベストなやり方かを意識することが重要、という話でした。

プロトタイピングを経た結果のアウトプットが気になる人は、Holiday の iOS アプリを触ってみてください。ダウンロードはこちら

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