人類史上最もHardな意思決定『キューバ危機』から学ぶ意思決定のすすめ方

Teruhisa Fukumoto
Feb 11 · 8 min read
ホワイトハウス内閣会議室で開催された国家安全保障会議の執行委員会(ExComm)の様子

みなさんこんにちは。

チャットボット開発のスタートアップでエンジニアをやっている福本です。最近はjavascriptをゴリゴリ勉強しています。

さてタイトルにもある通り、この記事は”意思決定について”です。

このブログで歴史モノを扱うのははじめてですが、僕は歴史がすごく好きで、物心ついた時から伝記なんかを読み耽っていました。「事実は小説より奇なり」とは言ったもので、フィクションはノンフィクションを永遠に越えられないと思っています。

数ある歴史の中でも今回は『キューバ危機』と呼ばれる、アメリカで実際に起きた危機的状況を取り上げ、その乗り越え方から色々と学んでいきたいと思います。

キューバ危機に関してご存知の方が少ないと思うので、最初にあらすじをご紹介してから、実際に行われた意思決定について取り上げていきたいと思います。


あらすじ

1964年10月14日、アメリカのU-2偵察機がとんでもない情報を入手し帰還した。キューバ上空から撮影した写真に、ソ連によって建設された核ミサイル基地が写っていたのだ。

アメリカのお膝元であるキューバに基地があれば、ソ連はいつでもアメリカに核攻撃できる。ソ連による大胆極まりない奇策に、ホワイトハウスは揺れた。

キューバに基地があれば、北米のほぼ全ての都市が射程圏内に

これに対しアメリカはキューバ周囲の海上封鎖を宣言、既にキューバへ進行していたソ連軍とぶつかれば、未曾有の大惨事 — 核戦争が勃発する。

この途方もない危機的状況に立ち向かったのは、当時最年少でアメリカ大統領に抜擢されたジョン・F・ケネディその人であった。

自国民 約1億4,000万人[引用]を天秤にかける意思決定。
人類史上最も緊迫した13日間は既に始まっていた。

意思決定のすすめ方

驚くことに、最終的な責任を負うケネディ大統領本人が、意思決定を行う委員会の検討会議へ出席しないことが多かったという。

このような行動を取った理由として、極めて強い権限を持つ大統領が議論に参加すれば、気を遣ってメンバーが忖度し、議論が本来あるべきではない方向に向かうなど、会議体に良くない影響を与える可能性があったからです。

頭でわかっていても、これを実行できるリーダーがどれくらい居るでしょうか?会社が潰れるかもしれない意思決定の場に、自分が出ない選択を取るCEOはそう多くないはずです。

ケネディ大統領は対応策を検討するため、外交や軍事の専門化だけでなく、ポーカーの名手キューバ事情に詳しい商社マンといった、さまざまなバックグラウンドを持つ人材を招集したそうです。(引用『武器になる哲学』)

これが後に『ExComm』と呼ばれる会議体の形成につながり、最終的に核戦争を回避することにつながります。

会社には文化や採用戦略がありますから、通常であればどうしても似通った人材が集まってしまいがちです。

しかし、そうなれば不確実性には対応できなくなってしまいます。
文化や雰囲気を作り上げながらも、多様な人材を受け入れてくことはとても重要なテーマですね。

これは月並みな言葉で表現すれば”相手の立場になって物事を考える”ということです。

ケネディ大統領は「この行動を取ったら相手国にどんな影響があるか」ということを一番に考えて、危機の対応に当たったみたいです。

危機の期間中、ケネディ大統領は、自分のやっている行動の中で、なによりもまず、こういう行動をとったらフルシチョフあるいはソ連に、どんな影響を与えるかをはかり知ろうと、より多くの時間を費やした。彼の慎重熟慮を導いたものは、フルシチョフを侮辱したり、ソ連に恥をかかせたりしないという努力であった。それは、彼らに付託されているソ連の安全保障とか国益のゆえに、対米対応策をエスカレートしなければならないと思いこませないようにすることだった。- ロバート=ケネディ『13日間 キューバ危機回顧録』

ケネディ大統領は相手の立場になることを突き詰めたからこそ、過剰にソ連を刺激することなく、キューバ危機を平和的解決に導くことができたのです。

人は忙しくなればなるほど自分中心に物事を進めてしまいますが、相手あっての仕事ですから、この原則を常に忘れずに何事も進めていきたいですね。

ケネディ大統領は、弟である司法長官のロバート・ケネディと大統領顧問のセオドア・ソレンソンに『悪魔の代弁者』になることを命じ、討議中に出た提案の尽くに弱点と穴を突きつけていきました。

悪魔の代弁者とは、”議論において多数派や決まりかけた提案に対し、あえて批判や反論をする役割”のことです。

これによって、一つしかないと思われた選択肢(=ミサイルによる先制攻撃)にいくつものアイデアが加わるなど、委員会の提案のクオリティは格段に向上しました。あえて提案の穴を突くことで、提案者はそれを埋めようとしたからです。

会社の会議やミーティングで「こいつ、ウゼえなあ…」って思うくらい、疑問を投げかけたり細かい指摘をする人は居ないでしょうか?

その人こそが、悪魔の代弁者です。

自分が嫌われる代わりに、結論や意思決定の質を上げてくれる重要な存在です。短絡的な感情で悪魔の代弁者を拒絶してしまえば、あなた達の提案の質はどこかで天井にぶつかることでしょう。

最後に

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
キューバ危機を通じて、意思決定のすすめめ方について学ぶのは以上です。

さて、みなさんは日々を生きていく中で、どれくらい意思決定をしているでしょうか?

スタートアップやベンチャー企業に関わる方々であれば、毎日のように意思決定をする機会があるでしょう。逆に、生まれてから死ぬまで何となく生きて、死の際まで意思決定をしない人生を歩む方もいらっしゃると思います。

今までであれば、「まあ人それぞれだよね。」で良かったことだと思います。

しかし、多くのことを機械やプログラムが代替してくれるこれからの時代、どれだけ高いレベルで意思決定を積み重ねていけるかによって、豊かな人生を生きていけるかどうかが決まります。

なぜなら、人の意思はその人そのものであり、機械が置き換えるものでは決してないからです。

にもかかわらず、日常生活を送る中で意思決定の進め方について直接的・体系的に学ぶ機会はほとんどありません。

しかし、今回のキューバ危機をはじめ、過去には想像を絶するような困難な意思決定をした人が数多く存在します。

それが、僕が歴史を学ぶ理由です。
その楽しさや大切さが皆さんに少しでもお伝えできれば幸いです。

自分にとって大切なことは、絶対に自分が決めなければならないのです。人生とは、そういうものではないでしょうか。

人間の理知と精神は、解決不可能と思われることもしばしば解決してきた。これからもまたそうできると私は信じている。- John F Kennedy “ The strategy of peace”

Teruhisa Fukumoto

Written by

ex.Zeals VPoE → MedPeer Engineer, Ruby&Python, Gotanda.rb&js Organizer

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