社会人学生として、帝京大学 理工学部 情報科学科の通信教育課程に2年次編入します

福本 晃之 | Teruhisa Fukumoto
20 min readApr 11, 2022

--

みなさんこんにちは。医療系のベンチャーでWebエンジニアをやっている福本です。ブログをすっかりサボって1年以上経過しました。許してくれ。

さて、この春からいわゆる”社会人学生”なるものに一念発起し挑戦してみようと思ったので、そのきっかけとか出願するまでの経緯をブログに残しておきたいと思います。

社会人になってから大学や大学院に入る話を周りで徐々に聞くようになってきた(気がする)ので、同じような道を考えている方の参考になれば幸いです。

誰だお前

初見の方も多いと思うので俗に言う”スペック”というか、「どういうヤツが入学しようとしたのか」みたいなことをまず書いておきます。

  • 職業: Webサービス開発(いわゆる”Web系エンジニア”)
  • 年齢: 30歳
  • 最終学歴: 私立文系卒
  • 性別: 男
  • その他: 東京で一人暮らし(独身)

なぜ大学に編入しようと思ったか

コンピュータ・サイエンス(以下CS)について色々と学びたい好奇心6割、学んだことをキャリアに活かしたい気持ちが4割といった感じでしょうか。

これまでの自分は仕事で必要になった技術だったり、興味のある技術を都度つまみ食いしながらやってきたのですが、基礎のある・なしで理解の速さとか深さが全然違うなぁ…というのをなんとなく感じてきました。

つまみ食い勉強の(個人的な)良くない点として、目の前の必要性がない or 興味が湧いてない技術をスルーしてしまう部分もあると思っていて、今の自分のやり方に限界があるのかもと考えるようになりました。

そういった経緯もあり、直近で11月にLPIC Level1 & 2月にAWS SAAと資格を取ってみたりしました。資格を取るにあたって、体系的に学ぶ楽しさ(&しんどさ)とか重要性を強く実感し直したところがあります。

自分の場合、例えばネットワーク周りはあまり興味を持てず苦手意識があったので、資格の強制力がなければ一生理解しようとしなかったかもしれません。

ワシはGodになりたいんじゃ

キャリアへの跳ね返りについては、学んだことがすぐ仕事に活きる or 転職で有利になる、みたいな分かりやすい成果にはあまり期待してません。転職で学生時代の専門の話を聞かれたり、CSの学位を求められたことも自分に関しては(今までは)特にないので。

ただ、今後どうなるかわからないので、選択肢は広く取れるようになりたいという気持ちはあります。

海外で働くとなるとビザが云々とか(知らんけど)、国内でも技術者の人口が増えたら色々とふるいにかけられたりとかあるかもしれない。ないかもしれない。が、持ってて損することもなさそうなので、備えておいた方が良いのではという打算的な考えがありました。

あとはまあ「CSを学ぶ(学んだ)こと対する憧れ」みたいな俗な気持ちも多少はあるので、仮にこのまま老人になったら死ぬ時に後悔するだろうなーと思いました。

…なんて考えをうっすらと持っていたところで、コロナ禍が続き自分の時間や環境のコントロールが(結果的に)しやすくなったことや、日常に変化が少なくなったことに対する意味のない焦燥感みたいなものもあり、良いきっかけだと思って受験・編入に踏み切りました。

なぜ帝京大学を選んだか

受ける大学に関してですが、以下の条件で絞るとあまり選択肢がなく、ほぼ自動的に帝京大学に決定しました。似たような条件で大学を決める社会人の方は多いのではないでしょうか。

  • 卒業により”工学学士”が取得可能なこと(最重要)
  • 物理的な通学が必要なく、土日や夜間に受講できること
  • これまでの生活水準を維持する前提で、学費が支払可能な範囲であること

他にこれらの条件を満たしそうな学校で、周りではUniversity of the People(UoPeople)で学ぶ方が多いように感じました。

しかし、自分は日常会話以上の英語力を持ち合わせておらず、”CS”と”英語”のいわゆる「2つのことを同時に学ぶ」状態になると思い候補から消しました。大変なことを承知の上でUoPeopleで学んでいる方、ほんと素直に尊敬する。

他に社会人大学生として技術的なことを学ぼうとすると、産業技術大学院大学(AIIT)放送大学、最近だとサイバー大学辺りがよく聞く選択肢です。これらも色々調べた結果、どうも得られる学位が工学学士ではなさそうな雰囲気があったので候補から外しました(この辺の判定がよくわかっていない)。

ちなみに、学士ではなく修士(大学院)へ進む選択肢も考えましたが、そもそも自分の社会人大学生となる動機が「CSの基礎を学び直すこと」だったので、すっ飛ばし過ぎて当初の目的を達成できなくなる可能性を懸念し大人しく大学から出直すことにしました。

ということで帝京大学の受験を決めたわけですが、この辺りはもう少し学ぶ場所の選択肢が増えても良いのかなと思います。いや、増えろ。

受験 ~ 出願 ~ 合格までの流れ

受験することを決めてから、出願し合格するまでの間にやったことを具体的に書いていきます。実際に受験を考えられている方以外は、この章については読み飛ばしてよいと思います(もちろん読んでもらえると嬉しいです)。

出願に必要なものを確認

2022年度の入試情報の公開は、2021年の11月末くらいに大学の公式HPで公開されました。

出願の申し込みは2022年2月1日に開始となりますが、直前になってから慌てるのがイヤだったので、出願に必要なものを含めてチェックしました。

内容をチェックした結果、出願の申し込み(2021年2月)より前に準備できるものとそうでないものがあることに気づきました。出願の申し込みをしてはじめて入手できる書類がほとんどですが、そうでないものも一部ありました。

自分の場合、具体的に以下が事前に準備可能なものでした。

  • (編入時のみ)大学の卒業証明書・成績証明書
  • (編入時のみ)単位認定に必要な大学のシラバスおよびそのコピー
  • 健康診断書(出願から3ヶ月以内 のもの)
  • 証明写真(出願から3ヶ月以内 のもの)

なので、上記については可能な限り出願申し込み前に手元に揃うように動きました。

出願の事前準備

先ほどの書類のうち大学の卒業証明書と成績証明書、および証明写真については普通に(?)入手するだけなのでここでは省きます。

自分の場合、用意が最も面倒だったのは「大学のシラバス(のコピー)」でした。というのも、大学のシラバスなぞ既に手元になく、出身大学は(地元である)関西にあるためです。

とりあえずシラバスを取り寄せる必要があったので、自分の所属していた大学学部の学生センター窓口に「2015年卒の者だが、諸般の事情によりシラバスを請求したい」という旨の怪文書もといメールを送りつけました。

「pdfをもらってコピーするか〜」と甘えたことを考えていましたが、メールにて「物理のシラバス原本しか置いていないので、大学に来て好きにコピーしていってくれ」的な返信を頂きました。

ということで日時を大学と調整し(コロナ禍と試験期間で常に空いているとは限らなかった)、帰省のついでに大学に立ち寄ってコピーすることにしました。成績証明書に自分が取得した単位の講義が書いてあるため、証明書を片手に必要なものをマークをしながらシラバスを鬼の形相でコピーしました。とても楽しかったです。

とはいえ、編入時に認定される単位の数がここで決まるので、めんどくさくてもここをスキップするのはナシですね。シラバスのpdfデータを持っていたり、原本を郵送してくれる大学だともう少し楽に準備できるかもしれません。

あとは健康診断書ですが、これは出願前に大学のHPから指定の書式でダウンロードできました。

なので、書類の指定項目を検査できる病院をググって、出願から逆算して3ヶ月を超えない時期に健康診断を(自費で)受けました。”雇用時健診(法定検診)”というものであれば、概ね検査項目は満たしているように思います。病院によって対応できる項目が異なるので、念のため事前にチェックしましょう。

私の検査した病院では、持ち込んだ健康診断書に1週間ほどで診断結果を記載し書類を発行してくれました。病院によっては健康診断の予約や書類の発行にもっと時間がかかるかもしれないので、できれば早めに診断しておくことをオススメします。

また、書類自体はダウンロードできませんが、”志望理由書”については事前に書く内容を推敲してPCで書いておきました。

「この熱い志があれば600字くらい余裕やろ」と思っていましたが、いわゆる「小論文形式(である体、行頭一字下げ等)でかしこまった文章を書く」という経験を久しくしていなかったため、書いてみると意外と大変でした。これも事前に準備しておいて良かったです。

ちなみに、学費についても銀行で現金で振り込む(三菱UFJだと手数料が無料になる)予定だったので、ピッタリの金額を事前に下ろしておきました。

出願・書類の提出

事前に準備できるものは準備した上で、満を持して2月1日に出願の申し込みを行います。書かなければいけない書類も多いし、学費の振り込みや書類の郵送もあったので、2月1日は有給休暇を取得して出願しました。

有給休暇はすべてを癒す。いいね?

最も面倒だったのは、書類の多くがボールペンで手書きだったことです。特に志望理由書は600字近くを手書きで書く必要があったので、事前に内容を推敲してあったにも関わらず書き終わるのに2時間近くかかりました。

他に手間だったのは誓約書で、これは連帯保証人(≒保護者なので親)に自筆で署名を貰った上に、当人の印鑑で捺印をする必要があります。これは事前に両親にお願いしていたので、ダウンロードした瞬間に速達で実家に送りました。

そんなこんなで手元に大量の書類一式が揃ったところで、書類ごとにクリアファイルに分け付箋を貼るという気遣いもした上で、郵便局から大学に書類を送りました。

編入であればシラバス関連の書類が少なからず含まれているはずなので、郵便受けから郵送できず、郵便局で書き留めで送る必要があります。

ちなみに、ここまで(事前準備含め)書類のマネジメントがかなり大変だったので、Notionのタスクボードで進行を管理していました。これは「ちょっとノリで大学受けるか」では管理しきれない量なので、大学受験には気合が必要だということを改めて感じました。

Notionはいいぞ(だが仕事で使うのは反対派)

…と、ここまで計らずも手書き書類に関する怨嗟の含まれた文章を書いてしまいましたが、出願プロセスは調べていた去年度のものと比較するとかなり良くなっていたように思います。

例えば、証明写真は画像データをアップロードすればOKで書類印刷時に必要箇所に写真が表示されていたり(去年度までは写真を切り貼りしないといけないと聞いており震え上がっていた)、名前や生年月日も自動で挿入されるなどシステム面も改善されていたように思います。これには素直に感謝しています。

無事合格

出願した翌日には、書類および出願が受領された旨と選考結果が3月2日に通知される旨の連絡が大学からメールで来ました。書類に不備があった場合は再提出の連絡が来るそうなので、この段階でおおよその心配はなくなりました。

あとは結果通知をひたすら待つだけで「小論文のウケが悪かったらどうしよう」とか「入学じゃなくて編入だから意外と定員の枠が少ないんじゃないか」みたいな勘繰りを、約1ヶ月くらいしていました。

そして当初の予定通り、3月2日に選考結果がメールで届き無事合格していました。久しぶりに「やったー」という言葉がおじさんの口から出てきました。

同じリンク内に学生証やら教材の案内があるので、それを確認して4月の履修登録までの準備を進める感じとなります。対戦ありがとうございました。

認定された単位について

4月になると学校のメールアドレスが発行されるとともに、CampusSquareと呼ばれるポータルサイトにログイン可能になります。このポータルから履修登録する感じになりますが、ここで成績・取得単位の照会ができるので編入時に認定された単位の確認ができます。

自分が卒業した大学は”経済学部 経済学科 情報コース”と文系で情報寄りの専門でしたが、結果としては以下のように単位認定されました。

  • 編入時の認定単位数: 32単位
  • うち10単位は、卒業した大学の情報系の講義で認定されたもの
  • 自分は基本情報技術者試験の資格を持っており、これに加えて2単位が認定されそう

自分はたまたま情報系のコースに居たのもあり、そうでない一般的な文系出身よりも少し多めに認定されたのかなぁという所感です。ありがてえありがてえ。

他の方の記事や自分の認定された単位の内容を見るに、一般的な文系大学を卒業していれば20~30単位程度は認定される雰囲気があります。また、認定される単位数的に英語や一般教養などの非情報・非理系科目をもう一度取る必要がなさそうなので、学びたい講義に集中できそうです。

今後について

入学するまで

数学や物理などの科目を履修することになりそうなので、とりあえず高校レベルの数学や物理をやり直しています。具体的には、平日の夜と休日にスタディサプリを進めて、参考書で練習問題を解いたりしています。

実際に入学された方の記事を読むと「物理や数学は勉強で無限に時間が溶けるので、事前に学んでおいたほうが良かった」と書かれており、私の感覚としても理解できたので先にやっておこうという感じです。

オッサンになってからやり直してみると、大学入試では数学を選択していたはずなのに内容を結構忘れていてツライ。物理に関しては高校で勉強していなかった(選択が生物と化学だった)ので、文字通り何もわからないです。

勉強自体は楽しく続けられているので、入学後にモチベーションが下がることはなさそうです。一方、(予想通りとはいえ)新しい技術に触れる時間が少し減っているので、学びの時間の配分とはこれからも向き合っていかなければならないと思っています。

入学した後

まだ始まっていないので、そこまで深く考えていません。

ストレート(3年)で卒業できればベストですしそれを目指す所存ですが、まぁ自分のお金と時間だし最悪1~2年くらい留年しても良いかなと考えています。

大学でのめり込めるような分野や領域を見つけたら、卒業後に大学院に進んでみる…というのも興味があります。ただ、最短でも3年後の話ですし、その時にアカデミックなモチベーションを保てているかはわからないので、考えすぎても仕方ないですね。

その他

社会人学生になるにあたり、本筋ではない割とどうでもいいことをとりとめもなく書いておきます。

”社会人学生”というキャラをゲットした

せっかく”社会人学生”という若干レアなキャラを入手できたので、ネタとして積極的に使っていきたい。自分は特にインパクトのある経歴があったり特徴のある見た目ではないので、掴みとしては良いかもしれない。

  • カラオケの会計時なんかに「あ。自分、学生です」と言って、すかさず学生証を提示して1人だけ学割料金にしたい
  • 「学生時代に力を入れたこと(通称: ガクチカ)」を何も見ずにスッと言えるようになりたい

なんか既にスベっている気がするので、もしスベっているのを見かけたら愛想笑いしてください。

色々と学割が使えそう

学生証や学校ドメインのメールアドレスを入手できるおかげで、Amazon PrimeとかApple製品なんか購入時には学割が使えそう。ちょっと調べて見るだけで、色々なサービスが学生向けプランを用意しているみたいです。いくつかは既に切り替えてみました。

あと前から興味があったので、ついでに脱毛とかもしたい。卒業する時にはツルツルでありたい。

参考になった記事

受験を考えるにあたり、お世話になった先人達の記事を置いておきます。

自分より年輩であったり家庭のある方も居り、(一般的に)時間や可処分所得・体力などといった点で自分より制約が大きいであろう方々の挑戦の記録は、受験を踏み切るにあたり大いに励みになりました。

--

--

福本 晃之 | Teruhisa Fukumoto

Web Developer at Smartround.inc / Computer Science Student at Teikyo Univ / Kotlin(ktor), TypeScript(Vue), Ruby(Rails), Terraform, Python etc...