HOMMAの事業についてアップデート

本間 毅 Takeshi TED Homma
8 min readAug 3, 2018

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HOMMA ONE完成イメージ (予定地:Benicia, California) © HOMMA, Inc.

ご報告

2018年7月31日、HOMMAは初めてのメディア向け事業説明会を日本で開催しました。当日はほかにも多くの発表やイベントがあったので、メディアの集まり具合が正直心配だったのですが、パートナーであるPR会社のサニーサイドアップさんの頑張りや日頃お世話になっているメディア関係者の方々のサポートもあり、どうにか無事に終えることができました。

家版の”Tesla”「HOMMA ONE」試作公表ーー本間氏が手がける「成長する家」、米国市場で100戸の展開目指す

http://thebridge.jp/2018/08/homma-one

【挑戦者】シリコンバレー発。本間毅「住宅版テスラ」の未来

https://newspicks.com/news/3201027/

米住宅を変えるのは日本企業 — シリコンバレー発「HOMMA」が起こす住まいのイノベーション

https://japan.cnet.com/article/35123355/

アメリカの住宅市場にイノベーションを、シリコンバレー発「HOMMA, INC.」本間 毅氏が事業戦略を語る

https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1135861.html

IT系起業家 本間毅 氏が新たに挑むのは建売住宅「HOMMA(ホンマ)」

https://techwave.jp/archives/entrepreneur-takeshi-honma-unveils-homma-one.html

このPostの意図

事業説明会では一通りプレゼンを行い、すべてを説明したのですが、メディアで紹介いただける内容にも限りがあり、そのため誤解を生んだり説明不足な状態に陥ることも否めないので、改めて我々のビジネスについて説明させていただきたいと思います。

  1. HOMMAはどんなビジネスを展開するのか
  2. なぜそれが必要なのか
  3. HOMMAのプロダクトとは
  4. HOMMAのビジネスの優位性はなにか
  5. 今後はどのような展開をしていくのか

1. HOMMAはどんなビジネスを展開するのか

我々がやろうとしているビジネスは、米国の新築市場の9割を占めると言われている建売住宅の事業です。簡単に言えば、土地を買って、そこに家を建てて販売するモデルです。アメリカの最大手ホームビルダーは年間に4万戸を販売し、売上高は実に1兆円にも上ります。我々はそれと同じビジネスモデルで、土地の仕入れから住宅の設計・施工、最終的には販売までを行う準備をしています。

2. なぜそれが必要なのか

ひとことで言えば、既存のホームビルダーの建てている住宅では住生活にはイノベーションがなかなか起きないと考えているからです。私が拠点を構えるシリコンバレーには、電話をスマホに変えたAppleやGoogle、自動車をEV化し自動運転への先鞭をつけたTeslaといったイノベーティブな企業がたくさんありますが、このシリコンバレーにおいても住宅は時代遅れ。古い家を購入する人が市場の9割で、残り1割の新築住宅がホームビルダーの手によるものです。その住宅がプロダクションホームと呼ばれるもので、いまだに在来工法を用いて現場施工で建てられているため品質や工期などに問題があり、スマートホームやIoTと呼ばれる技術などもお客さん任せで、ホームビルダーはなるべく触らないで済ませようとしています。

HOMMAのミッションは未来の住生活を作ることです。そのためには、新築住宅をもっとイノベーティブにしていく必要があり、それを一定の規模以上に展開することで世の中に良いインパクトを与えられると考えています。

3. HOMMAのプロダクトとは

HOMMAのプロダクトのコアは住宅そのものです。ただし、箱としての家を売っているのではなく、そこで暮らす人のユーザーエクスペリエンスをデザインし、それを実現させるところまでをプロダクトとして考え、お客様に提供していきます。ですのでHOMMAはIoTを家に入れて売っていく会社ではなく、IoTも一つのツールとして、ユーザーエクスペリエンスをデザインして実現する家を作る会社ということになります。

したがって、HOMMAのプロダクトとは、家そのものであり、そこに導入される技術や機器であり、家全体がお客様に提供するUXでもあります。

4. HOMMAのビジネスの優位性はなにか

HOMMAのビジネスの優位性は主に3つに分かれます。

  1. 拡張性:建売住宅を展開することで、一軒一軒注文住宅で家を立てるよりもスピーディに成長することができます(参考:カリフォルニアでは注文住宅を建てるのに地域によっては2–3年かかるところもあります)
  2. ユーザーエクスペリエンス:HOMMAではユーザーエクスペリエンスをデザインし、そのデザインに従って、建築物である家をデザインし、必要なスマートホーム/IoTなどの技術を選んでいくので、最初からブレずに未来のユーザーエクスペリエンスを実現する住宅をつくることができます
  3. 技術:スマートホーム/IoTなどの技術は、できる限り施工段階から住宅にビルトインしてしまい、お客様が住宅を購入して引っ越してくる前にセットアップをある程度完了させておき、すぐに使い始められるようにしておきます。また、スマホアプリやAIスピーカーで照明や空調、ドアロックなどを操作することはもちろんですが、ユーザーの行動に従って家が自律的にそれらをコントロールするようにプログラムしているところもポイントです。さらに、施工面に目を向けると、現在は在来工法と現場施工の組み合わせで住宅を建てますが、今後は現場外施工技術による効率化・工期短縮、コスト効率・品質向上を目指していきます。

5. 海部さんの疑問に対する答え(IoT機器と家のライフサイクルの違いをどう埋めるのか)

NewsPicksより転載

https://newspicks.com/news/3219432

ライフサイクルの違いはおっしゃるとおりです。我々は基幹部分の機器(照明スイッチ、空調コントロール、ドアロック、センサー類)については少なくとも10年は持たせられることを目標に機器の選定・設置を行います。ただ、AIスピーカーなどについては2–3年で陳腐化することも容易に想像されるので、これらは簡単に着脱できるように設置を工夫し、かつ将来的には定期的に新しいものと交換するサービスなども必要かなと思っています。

Teslaが自動車会社であるように、HOMMAも住宅を作る会社です。しかし期待感も含めてスマートホーム/IoTといった側面だけが脚光を浴びてしまうのも事実で、我々はテクノロジーと建築という2つの異なった領域をつなぐことができる唯一の会社として、この部分にもしっかり取り組んでいきたいと考えています。

6. 今後どのような展開をしていくのか

HOMMA MASTER PLAN © HOMMA, Inc.

これが我々の今後4年間に渡るマスタープランです。まずは実験住宅を完成させたので、次は最初のプロトタイプとなる住宅を3−10戸建設し、その後は10戸まとめて、さらに100戸単位での開発と、規模と意味合いをどんどん発展させて行きます。

このビジネスはCapital Intensiveであり、一定規模以上の事業資金が必要になります。土地を買うお金と住宅を建てるお金を用意して、家が売れるまでそのお金は回収できない状態に固定されます。

したがって我々は土地の開発における利益を求めず、短期間で建設・販売が可能な土地に絞って購入するほか、資金調達の方法も銀行借り入れのみならずあらゆる手段を考えて実行する予定です。

HOMMA ONEにご協力いただく(現段階での)パートナー企業 © HOMMA, Inc

また、アメリカの住生活にイノベーションを起こすために、日本の優れた住宅関連企業の皆様とのパートナーシップを発表しました。これはアメリカにはない工業化されたキッチンやバス、品質の高い建具やキャビネットなど主に住宅の内部におけるプロダクトを、日本の企業とパートナーシップを組んで米国市場に導入することを見据えて、まずはHOMMA ONEで実験的に導入するという取り組みです。これ以外の企業様とも話は進んでおり、ジャンルも拡大していきたいと思っていますので、多くの皆様とお話したいと思っています。

最後に実験住宅として手がけたHOMMA ZEROの紹介ビデオをご覧ください。HOMMA ZEROは1969年築の住宅をフルリノベしたもので、建物のデザインや間取りはそのままですので、我々のデザインを表現しているものではりませんが、仕事に対する取り組みや家に対する考え方についてはおわかりいただけるのではと思います。

HOMMA ZERO紹介ビデオ© HOMMA, Inc.

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本間 毅 Takeshi TED Homma

Founder & CEO, HOMMA, Inc. シリコンバレーでスタートアップのCEOをしています。