ミルクボーイがアジャイルを説明したら

Tommy
6 min readJan 23, 2020

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序章

駒場「最近、うちのおかんがシステム開発に興味を持っててなぁ、名前は忘れたらしいんやけど、迅速に開発できて、仕様変更にも対応できる、素晴らしい開発手法を取り入れてるところがあるらしいんやわ〜。」

内海「そんなもんアジャイルに決まってるがなぁ〜! 今やシステム開発と言えば、アジャイル。素早く変化に対応できるってゆーのが特徴なんよ。そもそも名前が “迅速” を意味する英語やねんから、アジャイルに決まってるがなぁ〜。」

チームの人数

駒場「最初、オレもそう思たんやけどな、なんでも 40 人ぐらいで開発してるらしいんやわぁ〜。」

内海「ほなぁ、アジャイルちゃうかぁ…。アジャイルでは 5〜9 人ぐらいが推奨されてるからなぁ〜。40 人もおったら、とてもやないけど、コミュニケーションが成立するとは思われへんなぁ〜。効率の悪い伝言ゲームになるのは目に見えてるからなぁ〜。おかん、他にもなんか言うてなかったかぁ?」

スプリント

駒場「そー言えば、スプリントに区切って開発してるって言うてたわ。」

内海「ほな、アジャイルやないのぉ〜。スプリントってことは、その中でもスクラムってのを導入してるんとちゃうの? スプリント毎に実際に使えるものをリリースしてゆくから、常に使える状態でバージョンアップしてゆくんやろ? やっぱ、アジャイルやろぉ〜。」

駒場「オレもそう思たんやけどな、リリースは三ヶ月ごとらしいねん。」

内海「ほな、アジャイルと違うかぁ〜。アジャイルでは 1〜4 週間がスプリント期間やからなぁ〜。 三ヶ月は長過ぎるわ〜。三ヶ月もフィードバックがなかったら、開発チームの成長も製品の成長もぜんぜん迅速と違うもんなぁ〜。なんか齟齬があったら三ヶ月分も無駄になるしなぁ〜。もしもの失敗を小さくするのも大事なんよ、アジャイルは。ほな、やっぱアジャイルとちゃうわ〜。他にもなんか言うてなかったぁ?」

デイリースクラムミーティング

駒場「おかんが言うにはな、毎朝、朝会をやるらしいわ。」

内海「ほな、アジャイルに決まってるがなぁ〜。朝会は、スクラムでは “デイリースクラムミーティング” ってゆーて、実は別に朝でなくてもええんやけどな。チームやプロジェクトの変化を継続的に観察する大切なイベントやから、やっぱアジャイルやろぉ〜。」

駒場「オレもそう思たんやけどな、毎朝、一時間もかかるし、内容も進捗確認だけやから、自分の発言が終わったら、みんなあまり興味なさそうらしいねん。」

内海「ほなぁ〜、アジャイルとはちゃうなぁ〜。アジャイルでは十五分以内って言われてるし、そもそもカンバンを使ってるやろうから、進捗はそれぞれが自分で見るからなぁ〜。確かに予実の話しはするけど、うまくいった方法を共有したり、うまくゆかなかった障害を取り除くことが大事やから、進捗報告だけやったら、ただの儀式やん。そんなん、アジャイルとちゃうがなぁ〜。」

駒場「ほんでな、マネジャーがタスクをアサインして終わるらしいねん。」

内海「ほな、絶対にアジャイルとちゃうな。アジャイルでは、自分でタスクにサインナップするねん。そーやないと “タスクをやらされてる” ってゆー受身思考になってしまうやん。心理学とかゲーミフィケーションとかも利用して、生産性を高めてゆくもんなんやでぇ〜。それ、絶対、アジャイルとちゃうわぁ〜。おかん、他にもなんか言うてなかったかぁ?」

テスト駆動開発

駒場「おかんが言うにはな、 CI/CD ってゆーのをやってるらしいわ。」

内海「そしたら、やっぱりアジャイルやろぉ〜。常時結合試験、継続的デリバリーってやつや。アジャイル開発では動作するものを開発し続けるために、結合試験やデプロイを自動化するのは常識やもんなぁ。やっぱ、アジャイルやろぉ〜?」

駒場「オレもそう思たんやけどな、TDD できるプログラマーはおらへんらしいねん。それからな、テストコードは実装が終わってからまとめて書くってゆーてたわ。」

内海「ほな、絶対にアジャイルとちゃうがなぁ〜。そりゃぁテストコードがあれへんかったら、テストを走らせてもエラーは出んけども、常時結合試験の意味があれへんがな〜。テストコードがなかったら仕様変更もどんどん大変になってゆくんやで〜。リファクタリングはどうすんねんなぁ〜?」

駒場「作り終わった後で、時間があったらリファクタリングするってゆーてたわ。」

内海「そんなん、リファクタリングとちゃうがなぁ〜。ただの作り直しやん。ぐちゃぐちゃのコードを整理されたコードに書き直すのは、ムチャムクチャ大変やから、結局、実施せーへんに決まってるやん。ぜんぜん CI/CD とちゃうがなぁ〜。」

駒場「それからなぁ〜、 git のブランチも切ったらあかんらしいねん。」

内海「ほな、アジャイルとちゃうがなぁ〜。開発中は細かくブランチを切って、テストが通るようになってから、メインブランチにマージするのが一般的なやり方なんよ。メインブランチだけで開発するなんて、作業途中のコードをサーバーにプッシュできへんやん。それは、アジャイルとちゃうやろぉ〜。おかん、他にもなんか言うてなかったぁ?」

コミュニケーション

駒場「そう言えば、コミュニケーションを大事にしてるってゆーてたと思うわ。」

内海「それやったら、やっぱりアジャイルやないのぉ〜。”プロセスやツールよりも個人との対話” を大切にするんよ。やっぱ、アジャイルやろ〜。」

駒場「オレもそう思たんやけどな、オフィスは静まりかえってるらしいんよ。席もバラバラで、顧客との会議は週一の定例会議だけなんやて。」

内海「ほな、アジャイルと違うかぁ…。アジャイルでは、スクールバス一台分ぐらいの空間に顧客も含めて一緒に開発するのが良いとされてるからなぁ〜。疑問点を即座に解決せんと進みが遅なるやん。余計な管理作業も増えるしなぁ。ぜんぜんコミュニケーションを大事にしてへんやん。絶対、アジャイルとちゃうわぁ〜。よーわからんなぁ〜。その話しを聞いたおとんはどーゆーてんの?」

結末

駒場「おとんがゆーにはな、ウォーターフォールちゃうか? ってゆーねん。」

内海「それも絶対ちゃうやろ! ロイスに失礼や!! もうええわ!!!」

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