エンジェル投資家-ジェイソン・カラカニスから学ぶエンジェルの生態1

Tomoki Fujii
Sep 3, 2018 · 7 min read

はじめに

エンジェル投資家と聞いて何を思い浮かべるでしょう?
事業で一山当てた成金たちか、VCよりも営利色の弱い支援家なのか。はたまた「王様達のヴァイキング」という激アツ漫画に出てくる坂井大輔のようなキャラクターか。

エンジェル投資家という言葉は先行しているが、その実態はなかなか明確になっていない感があると思います。彼らが何を考え、どのような生き様を歩んでいるのか。それらがわかってくれば、起業を考えているみなさまはエンジェル投資家との付き合い方において、他の起業家の卵達よりも一歩前に出られるのではないでしょうか。

その一助になれば良いと思い、今回シリコンバレーのエンジェル投資家であ、ウーバーなどに投資したことで巨万の富を得たジェイソン・カラカニス著の「エンジェル投資家」を要約する形で、彼らの生態に迫りたいと思います。
ジェイソン・カラカニスの活躍している場はシリコンバレーである上、エンジェル投資家と一言で言っても様々な性格の違いや起業家との関わりの違いがあると思います。それを勘案した上でも、彼の思考を学ぶことは、広く見てエンジェル投資家を理解する上で非常に参考になると感じました。

本著は一応「エンジェル投資家になりたい人」に向けて書かれたものではありますが、その内容はエンジェル投資家から出資を受けたい起業家にも参考になるものです。僕は、ほんの内容を起業家視点でまとめてみることとしました。

出展)https://goo.gl/rpuUTJ

そもそもエンジェル投資家とは?

VCと比較して理解してみましょう

そもそも何を持ってエンジェル投資家というのでしょう?一般的に、「VCや銀行から出資や融資を受けることのできないような起業家に対し、最初の資金提供を行う裕福な個人投資家」だと言えます。このエンジェルという言葉はもともと、米国でミュージカルを制作する際に資金提供するお金持ちのことを天使と呼んだことに由来します。

VC(ベンチャーキャピタル)というのは、LP(Limited Partner:有限責任組合員)である投資家から集めた資金で10年ほどのファンドを組成し、そのファンド内の資金をスタートアップなどに投資することで運用、リターンを得る組織をさします。そしてVCという組織の中で投資先の選定や実際の投資、資金の回収やLPへの報告などを行うのがベンチャーキャピタリストと呼ばれる方々です。

エンジェル投資家とベンチャーキャピタリストとの違いとして、
①個人か組織か
②投資資金が自分の資産か、他人から投資を受けたものか
③金銭的見返りが株式売却のみか、株式売却と管理報酬の2つか
④償還期間の有無
の4つがあげられるかと思います。

③に関しては、エンジェル投資家が金銭的見返りを得ることのできる場合として、投資先企業の株価が購入時より売却時の方が大きい状態で、株式を売却した場合のみです。例えば投資先企業がIPOやM&Aなど、いわゆる出口を果たした時にエンジェル投資家の懐は潤うでしょう。
一方VCは、それとは他に「ファンドの管理報酬」が得られます。これは何かというと、有望なスタートアップを選定し、投資し、時にはハンズオンで投資先の成長を促し、株式売却で現金化する。かつその過程でLPに対する報告なども怠らない、というようなベンチャーキャピタリストの活動に対するLPからの報酬のようなものです。通常ファンドの2~3%が毎年、管理報酬としてVCに払われます。

④に関しては、VCは一般的にファンドを組成すると、それを10年程度で償還する必要があります。どういうことかと言うと、そのファンドで組み入れた株式をできるだけ現金化する努力をし、利益を確定、投資家にリターンを分配すると言うことです。
一概に悪いこととは言えませんが、例えばあと数年じっくり事業拡大を行ってIPOに至る可能性のある企業を、償還期間が迫っているとの理由でVCが安く他の企業に売却させて現金化をする、と言うような可能性が無いとはは言えません。

一方で完全に自己資金で投資をしているエンジェル投資家には、そのような期限がありません。なので長く株式を保有して最適なタイミングまで待つ、と言うことができる強みはあります。

エンジェル投資家はハードワーカー

エンジェル投資はハイリスク・ハイリターンです。多くの顧客がつき、安定的な成長率を誇り、世間からの認知度の高いような企業にエンジェル投資家は基本的には投資をしません。それはVCの役割です。そうではなく、実績はゼロでやっとチームを組んだばかりのスタートアップに対し、将来の可能性にかけてリスク承知で出資をするクレイジーな人間、それがエンジェルだとジェイソンは言います。

彼らは企業価値が10億ドルを超える、いわゆる「ユニコーン」となり得るスタートアップに対して初期段階から投資をします。
例えば当初の企業価値が100万ドルのスタートアップに対して1%分、つまり1万ドル投資したとします。プロラタ条項(スタートアップが次の資金調達を受けるたび、追加で投資をすることで株式の希薄化を防ぐこと)を盛り込んでいたとしてそのスタートアップが時価総額10億ドルのユニコーンになったとします。
すると10億ドル×1%-(1万ドル+プロラタ条項による追加投資分)のリターンを得られます。プロラタ条項による追加投資額と税額にもよりますが、これでうん億円のリターンが得られたことになります。
これがさらに、時価総額が100億ドルを超えるデカコーン、さらに1000億を超える企業になると、そのリターンは計り知れません。

しかしながら、もちろんなんの実績も無いスタートアップはそのまま何にもなれずに消えていく場合が多く、リスクも非常に大きいのです。スタートアップの廃業率は5年で80%と言う数字もあります(嘘か誠かですが。)これこそ、エンジェル投資はハイリスク・ハイリターンと言うジェイソンの意味するところでしょう。

しかし将来的に成長しそうなスタートアップのみを選定・投資することでそのリスクを減らすことは可能かもしれません。そのためにジェイソンは毎週20社のスタートアップと面談し、常にユニコーン・デカコーンとなる種を探しています。それだけで週の20~30時間が取られる上、投資したスタートアップの進捗管理やアドバイスと言った業務もあり、非常にやることが多いみたいです。これこそ、エンジェル投資家はハードワーカーと言われる所以でしょう。


終わりに

今回はエンジェル投資家の簡単な概要のみまとめました。

次回からはもう少し特定的な、エンジェル投資家と向き合う際に起業家のためになるような情報を、本書から抜粋して紹介したいと思います。

Tomo

Tomoki Fujii

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