ToshihiroKaseda/加世田敏宏
6 min readJul 29, 2018

国際貿易×テクノロジー 〜 貿易決済の可能性と面倒な仕事の無視について

昨今、レガシーな産業をテクノロジーで革新する取り組みが広く行われている。

建設業、製造業、飲食業、物流業、保険業、医療などの分野で、多くのSaaS,マーケットプレイスが立ち上がっている。

これは既得権益の打破、資本と人材の流動性の増加という点で大変喜ばしいことだと思っている。

さて、私達Zenportも同様の文脈で、国際貿易(または国際物流)という分野でサービスを提供している。

少々ポジショントークも入るが、ここには他の分野には無い魅力があると思っている。特にグローバルマーケットへの展開を嗜好される人には尚更だ。

そこで今回はそんな方たちに、私からのラブレターの意味合いを込めて、二つの魅力を伝えていきたい。順に説明していこう。

  1. 世界でプロトコルが同じであるため、単一プロダクトでも海外展開しやすい

サービスを世界展開する際に、国によって業務プロトコルが同じかどうかは無視できない論点だ。

オンプレならまだいいが、SaaSのように各社へのカスタマイズが難しい製品では、この論点は死活問題になりうる。

選択したマーケットで、国内で閉じるか世界に展開出来るかが決まると言ってもいい。

さて、私はこの論点は二つの軸で切る必要があると思う。一つはCustomerへの近さ、もう一つは海外との関わりの濃さである。

まず一点目について述べよう。

一般的にCustomerに近い業務の製品はSaaSのような単一製品でも国を超えて使われる可能性が高い。

実際、国内のSaaS市場でも、CRMでは主にSalesforceが使われ、MAでは主にMarketoやHubspotが使われている。またCS(CX)では主にIntercomやZendeskが使われている。

一方で、Customerから離れるバックオフィス業務は現地製品が使われる傾向にある。例え日本でquickbooksやXeroを会計ソフトとして使っているという企業は聞いたことが無い。多くの企業はFreeeやMFを使っているだろう。

これは単純に、バックオフィス業務では行政への申請業務も増えるため、必然的に属国性が高くなる一方、Customerに近い業務ではそういった行政との関わりが薄いからだろう。

もちろん例外はあるだろうが、一般的にCustomerに近い業務をカバーするほうが、SaaSとしては国際展開しやすいと言えるだろう。

続いてもう一つの軸、国外企業との関わりの濃さを見ていこう。

当たり前だが、海外とのやりとりが多い業界ほど自国独自のルールに染まりにくい。

ちなみにこれは業界にもよるが、同時に業務にもよる。海外とのやり取りが多い業界でもドメスティックな業務もあれば、ドメスティックな業界でも海外と関わる業務はある。

さて、数ある産業の中で、唯一どの国でも同じプロトコルで行われている業務がある。

それが貿易業界だ。

これは国をまたぐことが前提なので、業務が属国性を限りなく排除するようなプロトコルになっている。

実際今提供しているプロダクトも、国ごとのカスタマイズは必要ない形になっている。

以上の議論をまとめると、海外に展開しやすいSaaSを作るには、Customerに近く、かつ海外との関わりが濃い業界をカバーするソリューションを提供すべきだろう。

そして、それを提供しているのがZenportとなる。世界で使われるB2Bソフトに関わりたい人にとっては、またとないチャンスを提供できることを約束する。

2. 1,500兆円の貿易決済(国際企業間決済)市場

先述したように貿易SaaSは海外展開しやすいという特徴を有する。しかしそれは、この分野が持つ真の魅力から見れば前座程度に過ぎない。

その真の魅力とは貿易決済(国際企業間決済)である。

一年間に貿易で取引される金額をご存知だろうか。

その金額、世界で実に1,500兆円。日本のGDPのほぼ3倍だ。

前々から言っているが、私がZenportを通してやりたいのはこの貿易決済の革新だ。SaaSはその布石でしかない。

昨今、個人間決済はAlipay,Wechatpay, Venmoなどのプレイヤーが世界で出現してきた。国内でもKyash, Paymo, Linepayなどがサービスを展開している。

ただ国際企業間決済はどうかというと、ここはいまだに一部の銀行が牛耳るマーケットになっている。

これは典型的な面倒な仕事の無視だと私は思っている。

実際この分野に取り組もうとなると、規制はどうするんだ、セキュリティはどうするだ、保証はどうするんだなど、出来ない理由が山程出てくる。スタートアップがやるなんて到底無理に思えるだろう。

ただ、だからこそチャンスがあると私は思う。ラリー・ペイジも言っているが、目指す山がでかいほど、ライバルは少なくなる。

実際出来るのかという点では、SaaSでユーザーと商流を抑えれば、十分勝機はあると思っている。

ECで購入する際、購入ボタンを押した後にわざわざ銀行のwebサイトに行って振込手続きするなんてしないことを考えれば、私達が取り組もうとしていることは十分妥当性がある。

あとはどうやって山を動かすかだ。

このデカいマーケットの革新に興味がある人がいれば、是非ともご連絡いただきたい。

まとめ

以上、2つの論点で国際貿易×テクノロジーの魅力を説いてきた。

ただ国際貿易に限らず、レガシー産業×テクノロジーの領域はどれも大きな魅力を有している。これを呼んだ読者の方がその領域にチャレンジされることを願ってやまない。

どうせやるならデカく行きましょう。

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ToshihiroKaseda/加世田敏宏

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