もしも西野カナが議事録を書いたら

toyama satoshi
3 min readJan 25, 2016

間違いなく長くなるし、結論が曖昧になる可能性も高い。一方で、議論の中の白黒つけられない微妙なニュアンスが丁寧に表現され、ミーティングに参加していない人にもその場の温度感が伝わるだろう。

議事録は、ミーティングの参加者のために議論の結論や議論の中で発生したタスク、次回の段取りを簡潔にまとめることに重点が置かれがちだが、「ミーティングに参加していない人への情報共有」までを目的に捉えると結論だけでは不十分だと思う。

その場合は、議論のプロセスやその場の空気を伝えることが、結論と同様に重要になる。特に不定形の業務の中では、結論よりも「どう考えて、どう思ってその結論にいたったか」が非常に重要になる。

その意味で西野カナさんの歌詞は、結論が出せず言葉にすることも難しい感覚的な状態をわかりやすく表現している好例だと思うので、簡単に紹介する。

西野カナが紡ぐ、曖昧で複雑な感情

西野カナさんといえば、「会いたくて震える」というキャッチーな愛称がネットで流行ったが、最近はもっと複雑な感情を歌っている。

例えばこの曲。

精一杯の想いを全部 今すぐ伝えたいの
でも傷つきたくない 嫌われたくない
でも誰かに取られたくもない
勇気を出して 明日キミにメールしようかな

西野カナ『GO FOR IT!』

散々悩んだあげく結局「メールしようかな」と思ってるだけ。こういう時は多分しないんだと思う。

もう一曲。

やっぱり優しい人がいい
もちろんそれはそうだけど
優しいだけじゃ Ah

「俺についてこい」と言われても
黙ってはついて行けないし
これってワガママかな?

中身が大事だって
初対面じゃ分からないし
勢いも大事だって
妥協もできないわ

西野カナ『もしも運命の人がいるのなら』

ワガママという自覚があっても結局妥協できない。なんだかんだ理由をつけて運命に身を任せたいようにも見える。

このように西野カナさんの歌詞を見ていると「結論は?」と聞きたくなってしまうものが多い。

しかし、現実にはこの歌詞のように結論が出せないものの方が多く自然なのかもしれないとも思える。ビジネスの世界の方が現実離れしていて、力づくで無理やり結論づけようとしているのかもしれない。

短くて的外れな結論を飾るより、長くてもありのままの想いを残すことが大切

結論を簡潔にすることが目的になり、結論っぽい言葉を結論にしたり、人から聞いたことを自分で咀嚼しないまま結論にしている人は意外と多いと思う。

そんな議事録では、結論に含まれているニュアンスが文字から伝わることはないだろうし、書いた本人が言葉で説明しても伝わらないだろう。

経営者に報告する資料であれば、結論が最重要で、言葉の精度を研ぎ澄ませるべきだが、その他大勢が読む資料や議事録の場合は、検討の過程や議論の痕跡を残すことにも重きを置いた方が、きっと上手くいく。

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